SUPER GT 富士スピードウェイ
SUPER GT 第5戦 富士の決勝レースが6日(日)、富士スピードウェイで行われた。

GT500クラスはARTA NSX-GT(野尻智紀/小林崇志)、GT300クラスはNo.55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー)が、共にポールポジションから今季初勝利を挙げた。同一チームによる両クラスのポール・トゥ・ウインは、SUPER GT史上初の快挙となる。

GT500 クラス

優勝:No.8 ARTA NSX-GT
野尻智紀
初優勝することができて嬉しいのですが、もういろんな感情が湧いてきて、少し混乱しています(苦笑)。カートで走っていた時にサマーキャンプで(監督の鈴木)亜久里さんに認められて、そこからはずっとこのチーム(ARTA)にサポートしてもらい、GT500にステップアップしたのもARTAからで“縁”を感じていました。20周年の今年は何としても結果を残さなきゃ。それがプレッシャーになった時もありますが、まずはこうして初優勝できて、嬉しいし、ホッとしています。勝因の一つにブリヂストンタイヤのパフォーマンスがあると思いますが、路面温度が心配したほどには上昇しなかったことも見逃せないと思います。これは自分たちにとってラッキーでしたね。ただ最初は35周走る予定でスタートしたのですが、100Rなどのように高荷重のポイントでは少し厳しくなったので、実際には少し早めにピットインすることになりました。まだフロントの跳ねる感じは残っているので、反対にクルマの伸び代はまだあると思っています。鈴鹿までにチームはきっと、もっと素晴らしいクルマに仕上げてくれると思うので、鈴鹿でも良いレースができると思います。

小林崇志
もう、周りの総ての人たちに感謝、ですね。GT300で経験を積んで、今年からGT500に再挑戦できることになりましたが、自分としてはこれがゴールだとは思っていなくて、ここで結果を出すことを自分に課していました。まだまだ、自分のドライビングなどで足りない部分があることは分かっていて、野尻選手と話し合ったりしながら、自分のドライビングを磨いてきました。今日のレースでも交替した時に10秒のマージンがありましたが、一生懸命タイヤマネージメントしていると、なかなかペースを上げることができず2位のクルマに2秒差にまで迫られてしまいました。そこでラジオでピットと話しながらドライビングを工夫しているうちにペースも上がってきて、マージンも5、6秒まで拡がって行きました。このチームで、いろんな人たちに支えられてきたからこその優勝だと思うので、やはり“感謝”ですね。もう一つ、やはり(GT300で)4年間お世話になった高木(真一)さんにもお礼が言いたいです。GT500で2年戦った後、GT300に移ったのは、ある意味“クビ”を言い渡されたようなもの。それなのに高木さんは、ドライビングテクニックだけでなく、様々なことを教えてくれました。今年、GT500に復帰することができたのも、そしてそのGT500で優勝することができたのも、高木さんの教えがあったからこそ。本当にありがとうございました。

2位:No.23 MOTUL AUTECH GT-R
松田次生
今年はなんでこんなに大変なレースばっかりなんでしょうね。今回は本当にかなりハードなバトルで、4レースぐらいした感じ(苦笑)。そのくらい良い仕事ができたと思っているし、こんなにハードならギャラを増やしてほしいですよね(笑)。前半を担当したロニー(クインタレッリ)もずっと38号車にプッシュされていて、タイヤもキツイって言っていたんですけど、自分の方(後半スティント)が長いからタイヤは大丈夫かなって思いながら、でもできるだけ頑張ってプッシュしました。最後の10周はもうタイヤもズルズルで、石浦(宏明/No.38 ZENT CERUMO LC500)くんには迷惑かけるぐらいブロックしちゃいましたけど、どうしても2位が獲りたかったから……。でも、いつ抜かれてもおかしくないくらいの状況でした。次の鈴鹿1000kmは優勝も狙いつつ、しっかりと上位で終わって、大きなポイントを獲れるよう頑張りたいと思います。

ロニー・クインタレッリ
2016年第2戦以来となる久しぶりの表彰台です。優勝ではないですが、まず僕たちの目標である表彰台に戻れました。予選で2位をキープできたのがすごく良かったですね。スタート直後はなんとか8号車(ARTA NSX-GT)についていきたかったんですが、今週末は予選からレースを含め、彼らのほうがポテンシャルが高かったですね。ウェイトハンディの部分もあるので、ある程度仕方のないことだと思います。後半、次生が粘りの走りを見せてくれました。ランキングのほうもかなりレクサス勢との差を詰めることができたので、次の鈴鹿1000kmがとても楽しみです。今日、僕らが選んだタイヤは温度レンジの幅が広かったので、天気のことは気にならなかったし、影響もありませんでした。これからいつものパターンでポイントを獲っていきたいですね。あとは、クルマとタイヤのポテンシャルをあと少し引き出して、チャンピオン争いに加わりたいですね。

3位:No.38 ZENT CERUMO LC500
立川祐路
昨日までクルマのバランスに苦しんでいて、ウォームアップを走った時にもそれがまだ改善し切れていなかったので、グリッドでもちょっと(セットを)変更してもらい、それが決勝に向けて良い方向にいきました。予選で固めのタイヤを選んでいたこともあって(スティントの)後半、石浦(宏明)に変わるまでに3番手まで順位を上げることができて、自分のできることはきっちりできたかなと。それに結果的に表彰台までこられたので、チャンピオンシップを考えてもまずまずかなと思っています。石浦に変わってからも(23号車と)コンマ差で争っていたので、なんとか抜けるかなと思ったんですけど、松田(次生)選手もしぶとかったですね。次の鈴鹿1000kmはさらにハンディも効いてくるので上位にいくのはなかなか難しいと思うんですけど、長いレースなのでうまく戦い切れれば上位フィニッシュできるレースではあるので、しっかり頑張りたいと思います。

石浦宏明
いや、悔しい。ここで4点(2位と3位の得点差)多く獲れたらデカいな、と思ってましたから。今回は、予選まであまり良くなかったですね。決勝のスターティンググリッドでもだいぶセット変更をしたし、グリッド上でもやりましたね。昨日から正直小さなトラブルもあったのですが、そういうのがなければもっと前からスタートができたので、残念です。まず、予選で36号車(au TOM'S LC500)に負けたのが悔しかった。条件を考えると僕らはワンリスしか絞られてないし、予選3位くらいでいなきゃいけなかったのに、その中でうまくクルマを仕上げられなかったんです。なんとか挽回したかったですね。夏の三連戦で何点獲れるかが勝負の中で、表彰台が大きなポイントになっているし、それ以外は急に(ポイントが)小さくなるので、ここで(大きなポイントを)獲って、鈴鹿ではガマンのレースにするというのが僕の中での理想でした。だから、チームのためにも2位が欲しいという気持ちで走ってました。後半、固い方のタイヤを着けたんですが、他のチームからは、涼しくなるし柔らかい方がいいんじゃないの?とか色々言われたので、エンジニアとも相談したんです。一瞬そうするかと思ったのですが、ピットインする直前に立川さんがNo.36を抜いてペースも良さそうに見えたので、もしかしたらウチのクルマの特性に(固いほうが)合ってるんじゃないかと思い、直前で固い方を選びました。鈴鹿1000kmは厳しいレースでしょうが、いい戦いがしたいです。

GT300 クラス

No.55 ARTA BMW M6 GT3
高木真一
(優勝できて)最高です! 今年はARTAが20周年ということで(監督の鈴木)亜久里さんからは『タイトルを獲れ!』とはっぱを掛けられていますが、GT500とダブルでポール・ツー・ウィンなら、それ(タイトル獲得)に匹敵するんじゃないか、と自分自身で感激しています。良いクルマを用意してくれたチームと、期待以上のドライビングを見せてくれたショーン(ウォーキンショー)にも感謝しています。レース前にショーンからは20秒くらいギャップをつくってほしい、と言われていたんですが実際には10秒弱のギャップしか築けなかった。でも今日のクルマは素晴らしかったので、これならショーンも大丈夫だろう、と思っていたら大丈夫どころか、僕のベストタイムをあっさりと更新するほどの速さを見せてくれて。終盤、谷口(4号車の谷口信輝)が4秒差にまで近づいてきましたが、そこからは反対に引き離す力走で…。だから本当にショーンにも感謝しています。あと、ブリヂストンが素晴らしいタイヤを用意してくれたことも大きかった。昨日も話しましたが、BMW M6 GT3用のタイヤとLEXUS RC F GT3用のタイヤを一緒に開発していて、LEXUSでは良いデータが出ているけれど僕たちはテストもしていないタイヤを選んだんですが、スティントの最後だけ、少し厳しくなりましたが、後は安定して高いパフォーマンスを発揮してくれました。僕のイメージでは鈴鹿にも合っているような気がするので、その辺りで苦手な鈴鹿を攻略、タイトルを狙いたいですね。

ショーン・ウォーキンショー
優勝できて嬉しいです。クルマのフィーリングは最高だったし、タイヤもスティントの最後までパフォーマンスが安定していました。それにピットストップではチームが完璧な仕事でサポートしてくれました。何よりも、前半のスティントで大きなギャップを築いてくれた高木(真一)さんのドライビングも素晴らしかった。だから今日優勝できたことで、チームに関わってくれている総ての人に感謝しています。次回は鈴鹿1000kmですが、僕たちは公式テストではあまりいい結果が出せていません。でも、今回履いたタイヤを使うことをベースに、それに合わせてクルマをインプルーブして行けば、良い結果に繋がるんじゃないか、と今日のレースで手ごたえを感じることができました。これまで使ったことのないタイヤだから、ロングランも初めてでしたが、完璧なスティントになりました。もちろん今日と同じようにチームも、僕たちドライバーも、全員がノーミスで精一杯のレースを戦うことで、いい結果に繋がると思いました。

2位 No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG
谷口信輝
戦略? なかったですよ。行くだけですよ。ただまぁ、気温も路面温度も天気も全然読めなかったこともあるので、ソフトめのタイヤで行ってみて、半分くらい持つのかな、という思いでスタートしました。持たなければ、次に固め(のタイヤ)を入れなきゃいけないし…。ある意味、行きあたりばったりでした。でもまぁいいところまで行けましたね。俺に変わってから少しして、トップがその先にいたものだから、キャッチしたかったんですよ。でも今日のオートバックス(No.55 ARTA BMW M6 GT3)は速かった。優勝できなかったのは残念ですが、70kg(のウェイトハンディを)積んでいる中での2位なので、もう万々歳ですよ。良かったし、うれしいです。ランキングトップになったので、さらにがんばります。

片岡龍也
今回は正直、“良くて表彰台に乗れるかな”と思っていたんですけど、意外と気温が下がってくれたことでタイヤがもってくれました。とはいえ、最初はおとなしめにポジションキープというかタイヤをなるべく労って走りましたけど。そのなかで想定していたよりいい状態でレースが進められたし、思ったより前の55号車ともギャップが拡がらなかったので、優勝も見えるかなとちょっと期待しちゃったんですけど、さすがに今日の55号車は速かったですね。ウェイトとか条件から考えれば上出来な結果なんですけど(優勝が見えて)欲が出ちゃったぶん悔しいですね(苦笑)。実は最後、理由は分からないんですけど、ガソリンが足らないかもしれないということで途中で谷口(信輝)さんがペースを上げられなくなっちゃったんです。ミスとは言いませんが、そういうちょっとしたことで(ポイントを)取りこぼしたりしたらチャンピオンシップに響くので、このあと、しっかりチームとミーティングしたいと思っています。これでさらに重くなるので、次の鈴鹿1000kmは淡々といきますよ。

3位:No.31 TOYOTA PRIUS apr GT
嵯峨宏紀
タイヤ無交換を前提にタイヤ選びをしていました。ただ、apr+ブリヂストン+プリウスのパッケージとしては、タイヤ無交換をやって成功したという前例がなかったんです。なので、正直どうなのかなという思いもありました。でも今後戦略の幅も拡がると思うので、失敗してもとりあえずやってみようということになりました。結果、今回無事に形になりました。後半、スバル(No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT)が追い上げてきましたが、それでもなんとか追いつかれることなくうまく逃げ切れたので良かったです。プリウスとしてというか、31号車が本来いるべき位置に戻ってくることができたと思うので、今後は今までのようにこの位置を維持することができるようなレースをやっていかなきゃいけないと思うし、若い久保(凜太郎)の成長にも期待している部分もあるし、今後の僕たちに期待してもらいたいですね。

久保凜太郎
今回、ブリヂストンが固めでいいタイヤを用意してくれて、それならタイムも良いし無交換でいけるだろうというのは昨日の公式練習の時からある程度読めていました。なので、とにかく序盤は温存して温存して、あとは(嵯峨)宏紀さんに任せるしかなかったんですが、そのなかでも順位を上げることができたので良かったと思っています。 後半は見ていて心臓が痛かったですね(笑)。その走りはちょっとタイヤが苦しそうだったんですけど、それでもすごくいいラップで走ってくれて、本当に宏紀さんに感謝です。SUPER GTでは初めての表彰台で、いまはまだ大丈夫ですけど、もう少しで泣きそうです(苦笑)。次の鈴鹿はプリウスにとって相性の良いサーキットになりますので、今回の表彰台が弾みになって、鈴鹿も良いレースができるんじゃないかなと思います。

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カテゴリー: F1 / SUPER GT