スーパーフォーミュラ | トヨタ:第1戦 鈴鹿 レースポート
鈴鹿サーキットで行われた新型シャシー「SF19」での最初のレースとなった2019年スーパーフォーミュラの開幕戦は、4度もセーフティカーが導入される大荒れの展開の中、12番手スタートから見事にレースを戦い抜いたニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)が勝利を挙げた。山下健太(KONDO RACING)が3位で表彰台を獲得。ルーキーの坪井翔(JMS P. MU/CERUMO・INGING)がスーパーフォーミュラデビュー戦で5位入賞を果たした。
2019年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1戦が4月20日(土)、21日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。
同シリーズでは今季よりシャシーを一新。新たに採用された「SF19」は、ドライバーの頭部保護デバイス「ヘイロー(Halo)」の採用など最新の安全装備を取り入れた他、前輪の幅拡大や空力的な改良などにより、「クイック&ライト」なキャラクターを追及。また、スーパーフォーミュラならではの「オーバーテイクシステム」もこれまでの5回の回数制限から通算使用時間(回数は自由)へと変更され、更に追い抜きの多い、エキサイティングなレースが期待される。
TOYOTA GAZOO Racingは、この新生スーパーフォーミュラにTRDから、今季も6チーム11台に専用レーシングエンジン「TRD Biz-01F」を供給する。
今季の参戦体制では、ドライバーとチームには幾つかの変更があった。昨年最終戦までタイトルを争ったニック・キャシディがVANTELIN TEAM TOM'Sへ。キャシディが在籍していたKONDO Racingには2016年のシリーズチャンピオン、国本雄資が6年間在籍したJMS P. MU/CERUMO・INGINGから移籍する。
そのJMS P. MU/CERUMO・INGINGには、昨年全日本F3で19戦中17勝を挙げてチャンピオンに輝き、SUPER GTでも活躍を見せた坪井翔がステップアップ。また、UOMO SUNOCO TEAM LEMANSには、欧州のGP2やフォーミュラ2で戦ってきた24歳のロシア人ドライバー、アーテム・マルケロフが加わる。
新チームでの2人、そして若き有望な2人のルーキードライバーを加え、山下、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)、石浦宏明(JMS P. MU/CERUMO・INGING)の7名は昨年同様の体制で参戦。TOYOTA GAZOO Racingは6チーム11台体制で、SF19での初年度チャンピオンを目指す。
予選
20日(土)は好天に恵まれ、快晴の下で予選が行われた。午後3時45分、気温20度、路面温度25度で日差しは暑さを感じさせるも、やや強い風の吹く中でに20分間のQ1が開始。
ミディアムタイヤでのアタックが義務づけられ、今季より20台中12台がQ2進出という、より狭き門となったQ1では、開始早々にルーキーの坪井が縁石に乗ってコントロールを失いクラッシュ。赤旗中断となってしまった。
7分ほどの中断の後にセッションが再開されたが、またもすぐにマルケロフがデグナーカーブの2つめでクラッシュし再び赤旗中断。そこからの再開後にもルーキードライバーがスピンした際に直後にいた中嶋が避けられず接触。Q1は赤旗中断3回、中嶋とルーキー3人がアタック出来ずに姿を消すという大荒れの展開となってしまった。
残り5分強で再開されたQ1は、各車一発アタックでセッション終盤にタイムがどんどん塗り替えられていき、13番手、14番手となった大嶋と石浦がQ1敗退。トヨタ勢は7番手の平川を先頭にキャシディ、国本、山下、関口、小林の6台がQ2進出を決めた。
Q1での赤旗を受けて予定よりも30分程遅れて午後4時46分にQ2(7分間)が開始。ここでは小林が速さを見せ3番手。平川6番手、関口7番手、山下8番手でQ3へ。国本は僅か0.04秒及ばず9番手でQ3進出ならず。キャシディも12番手でグリッド確定となった。
午後5時を過ぎ、コースもかなり日が陰って気温、路面温度も下がっていく中で行われたQ3(7分間)も終盤のアタック合戦となったが、関口が最上位5番手、山下6番手、平川7番手、小林8番手で3,4列目から決勝レースに臨むこととなった。
決勝
21日(日)は、午前中かかっていた雲も晴れ、暖かな日差しの下、気温25度、路面温度37度というコンディションで午後2時に43周(250km)もしくは90分で戦われる決勝レースのスタートが切られた。
3列目5番手グリッドの関口が好スタートを切り4位へ、更に3位を狙っての追撃を続け、3周目に3位へと浮上。チームメイトの平川もこれに続き、4周目に4位へポジションを上げた。
一方、予選で12番手と後方スタートを強いられることとなったキャシディは6周目終了時点で先陣を切ってピットイン。
8周目に2位を走行していた車両がペナルティを受けることとなったため、関口が2位、平川が3位へと表彰台圏内へ浮上した。
しかし、9周目に平川はスローパンクチャーに見舞われコース脇にストップ。同時にクラッシュ車両も発生したため、セーフティカーが導入された。このタイミングで多くの車両がピットイン。関口もピットへ向かったが、ピットアウトしようとした際にトランスミッションのトラブルに見舞われスローダウン。惜しくもレースを終えることとなってしまった。
このセーフティカーラン中、小林、国本ともう一台がピットへ向かわず、小林が首位浮上。その後方、ピットインを終えた組では、早めのピット作戦が見事にはまったキャシディが実質的な2位へと順位を上げ、12周目の再スタートでオーバーテイクシステムを利用して前車をパス。ピット義務を終えた車両でのトップに浮上した。
15周目、最後列スタートからトップ10圏内まで順位を上げていた中嶋が後続車両に接触されクラッシュ。この日2度目のセーフティカーが導入された。
このタイミングで2度目のピットインという変則的な作戦に出た石浦だったが、ピットから再発進できずこちらもリタイア。
ピットに入らないまま首位を走り続ける小林は、後続との差を広げてピットインしたいところだったが、その後も2度にわたってアクシデントによるセーフティカーが導入。計8台が戦列を去るという大荒れの展開となり、なかなか後続との差を広げられないままレースは終盤へ。
首位の小林は、2位に10秒ほどの差をつけて、ファイナルラップを目前にタイヤ交換義務を果たすべくピットイン。この間に9台がストレートを通過し、小林は10位でレースに復帰した。
小林のピットインで首位に立ったキャシディがトップでチェッカーを受け、12番手スタートからの今季初勝利。自身2度目のスーパーフォーミュラ勝利、そして新生「SF19」での初ウィナーに輝いた。
6番手スタートから着実なレースを戦い抜いた山下が3位表彰台。ルーキー坪井がスーパーフォーミュラ初戦で5位入賞、国本が6位でポイントを獲得した。
ニック・キャシディ (VANTELIN TEAM TOM'S 37号車)
クレイジーなレースでしたが、スーパーフォーミュラというレベルの高いレースで勝てて本当に最高の気分です。この週末はセットアップなどで苦戦していたので、正直なところ勝てるとは思っていませんでしたが、このカテゴリーでは何が起こってもおかしくないので、プッシュし続けました。幸運もあったと思いますが、10点が獲得出来て最高の結果になりました。諦めずに努力を続けてくれたチームのおかげです。次のレースまでにスピードを取り戻し、また上位を争いたいと思います。
山下健太 (KONDO RACING 3号車)
SF19になって初めてのレースですが、テストは良い感じで走れていたので、正直予選はもう少し良い位置に行けると思っていました。しかし、やはりそんなに甘くはありませんでした。6番手からミディアムタイヤでスタートしましたが、決勝のペースも思ったより良くなく、ソフト勢にどんどん抜かれてしまいました。セーフティカーのタイミングで上手くピットイン出来、戻った後はソフトタイヤだったので、自分のペースでミディアム勢をかわして3位でレースを終えられました。でも、終わってみれば前の2人は去年と同じだったので、やはり2人とも強いなという印象です。まだ初戦で、これから6戦もあるので、勝てるように頑張ります。
カテゴリー: F1 / スーパーフォーミュラ
2019年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1戦が4月20日(土)、21日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。
同シリーズでは今季よりシャシーを一新。新たに採用された「SF19」は、ドライバーの頭部保護デバイス「ヘイロー(Halo)」の採用など最新の安全装備を取り入れた他、前輪の幅拡大や空力的な改良などにより、「クイック&ライト」なキャラクターを追及。また、スーパーフォーミュラならではの「オーバーテイクシステム」もこれまでの5回の回数制限から通算使用時間(回数は自由)へと変更され、更に追い抜きの多い、エキサイティングなレースが期待される。
TOYOTA GAZOO Racingは、この新生スーパーフォーミュラにTRDから、今季も6チーム11台に専用レーシングエンジン「TRD Biz-01F」を供給する。
今季の参戦体制では、ドライバーとチームには幾つかの変更があった。昨年最終戦までタイトルを争ったニック・キャシディがVANTELIN TEAM TOM'Sへ。キャシディが在籍していたKONDO Racingには2016年のシリーズチャンピオン、国本雄資が6年間在籍したJMS P. MU/CERUMO・INGINGから移籍する。
そのJMS P. MU/CERUMO・INGINGには、昨年全日本F3で19戦中17勝を挙げてチャンピオンに輝き、SUPER GTでも活躍を見せた坪井翔がステップアップ。また、UOMO SUNOCO TEAM LEMANSには、欧州のGP2やフォーミュラ2で戦ってきた24歳のロシア人ドライバー、アーテム・マルケロフが加わる。
新チームでの2人、そして若き有望な2人のルーキードライバーを加え、山下、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)、石浦宏明(JMS P. MU/CERUMO・INGING)の7名は昨年同様の体制で参戦。TOYOTA GAZOO Racingは6チーム11台体制で、SF19での初年度チャンピオンを目指す。
予選
20日(土)は好天に恵まれ、快晴の下で予選が行われた。午後3時45分、気温20度、路面温度25度で日差しは暑さを感じさせるも、やや強い風の吹く中でに20分間のQ1が開始。
ミディアムタイヤでのアタックが義務づけられ、今季より20台中12台がQ2進出という、より狭き門となったQ1では、開始早々にルーキーの坪井が縁石に乗ってコントロールを失いクラッシュ。赤旗中断となってしまった。
7分ほどの中断の後にセッションが再開されたが、またもすぐにマルケロフがデグナーカーブの2つめでクラッシュし再び赤旗中断。そこからの再開後にもルーキードライバーがスピンした際に直後にいた中嶋が避けられず接触。Q1は赤旗中断3回、中嶋とルーキー3人がアタック出来ずに姿を消すという大荒れの展開となってしまった。
残り5分強で再開されたQ1は、各車一発アタックでセッション終盤にタイムがどんどん塗り替えられていき、13番手、14番手となった大嶋と石浦がQ1敗退。トヨタ勢は7番手の平川を先頭にキャシディ、国本、山下、関口、小林の6台がQ2進出を決めた。
Q1での赤旗を受けて予定よりも30分程遅れて午後4時46分にQ2(7分間)が開始。ここでは小林が速さを見せ3番手。平川6番手、関口7番手、山下8番手でQ3へ。国本は僅か0.04秒及ばず9番手でQ3進出ならず。キャシディも12番手でグリッド確定となった。
午後5時を過ぎ、コースもかなり日が陰って気温、路面温度も下がっていく中で行われたQ3(7分間)も終盤のアタック合戦となったが、関口が最上位5番手、山下6番手、平川7番手、小林8番手で3,4列目から決勝レースに臨むこととなった。
決勝
21日(日)は、午前中かかっていた雲も晴れ、暖かな日差しの下、気温25度、路面温度37度というコンディションで午後2時に43周(250km)もしくは90分で戦われる決勝レースのスタートが切られた。
3列目5番手グリッドの関口が好スタートを切り4位へ、更に3位を狙っての追撃を続け、3周目に3位へと浮上。チームメイトの平川もこれに続き、4周目に4位へポジションを上げた。
一方、予選で12番手と後方スタートを強いられることとなったキャシディは6周目終了時点で先陣を切ってピットイン。
8周目に2位を走行していた車両がペナルティを受けることとなったため、関口が2位、平川が3位へと表彰台圏内へ浮上した。
しかし、9周目に平川はスローパンクチャーに見舞われコース脇にストップ。同時にクラッシュ車両も発生したため、セーフティカーが導入された。このタイミングで多くの車両がピットイン。関口もピットへ向かったが、ピットアウトしようとした際にトランスミッションのトラブルに見舞われスローダウン。惜しくもレースを終えることとなってしまった。
このセーフティカーラン中、小林、国本ともう一台がピットへ向かわず、小林が首位浮上。その後方、ピットインを終えた組では、早めのピット作戦が見事にはまったキャシディが実質的な2位へと順位を上げ、12周目の再スタートでオーバーテイクシステムを利用して前車をパス。ピット義務を終えた車両でのトップに浮上した。
15周目、最後列スタートからトップ10圏内まで順位を上げていた中嶋が後続車両に接触されクラッシュ。この日2度目のセーフティカーが導入された。
このタイミングで2度目のピットインという変則的な作戦に出た石浦だったが、ピットから再発進できずこちらもリタイア。
ピットに入らないまま首位を走り続ける小林は、後続との差を広げてピットインしたいところだったが、その後も2度にわたってアクシデントによるセーフティカーが導入。計8台が戦列を去るという大荒れの展開となり、なかなか後続との差を広げられないままレースは終盤へ。
首位の小林は、2位に10秒ほどの差をつけて、ファイナルラップを目前にタイヤ交換義務を果たすべくピットイン。この間に9台がストレートを通過し、小林は10位でレースに復帰した。
小林のピットインで首位に立ったキャシディがトップでチェッカーを受け、12番手スタートからの今季初勝利。自身2度目のスーパーフォーミュラ勝利、そして新生「SF19」での初ウィナーに輝いた。
6番手スタートから着実なレースを戦い抜いた山下が3位表彰台。ルーキー坪井がスーパーフォーミュラ初戦で5位入賞、国本が6位でポイントを獲得した。
ニック・キャシディ (VANTELIN TEAM TOM'S 37号車)
クレイジーなレースでしたが、スーパーフォーミュラというレベルの高いレースで勝てて本当に最高の気分です。この週末はセットアップなどで苦戦していたので、正直なところ勝てるとは思っていませんでしたが、このカテゴリーでは何が起こってもおかしくないので、プッシュし続けました。幸運もあったと思いますが、10点が獲得出来て最高の結果になりました。諦めずに努力を続けてくれたチームのおかげです。次のレースまでにスピードを取り戻し、また上位を争いたいと思います。
山下健太 (KONDO RACING 3号車)
SF19になって初めてのレースですが、テストは良い感じで走れていたので、正直予選はもう少し良い位置に行けると思っていました。しかし、やはりそんなに甘くはありませんでした。6番手からミディアムタイヤでスタートしましたが、決勝のペースも思ったより良くなく、ソフト勢にどんどん抜かれてしまいました。セーフティカーのタイミングで上手くピットイン出来、戻った後はソフトタイヤだったので、自分のペースでミディアム勢をかわして3位でレースを終えられました。でも、終わってみれば前の2人は去年と同じだったので、やはり2人とも強いなという印象です。まだ初戦で、これから6戦もあるので、勝てるように頑張ります。
カテゴリー: F1 / スーパーフォーミュラ