2025年F1 スペインGP 決勝:トップ3インタビュー&記者会見全文

終盤のセーフティカー導入によって一時的に展開が混乱したが、ピアストリは冷静なリスタートと的確なレースマネジメントでランド・ノリスを抑えきり、今季5勝目、キャリア通算7勝目を挙げた。
3位にはフェラーリのシャルル・ルクレールが滑り込み、戦略的なタイヤ選択と再スタートでの果敢な攻防によって、マックス・フェルスタッペンを逆転。レース終盤のターン1およびストレートでの小競り合いは議論を呼ぶ場面となったが、ルクレール自身は「問題ない」と振り返った。ピアストリ、ノリス、ルクレールの3名は表彰台上でも明るい表情を見せ、スペインGPの熱戦を締めくくった。
Q:オスカー選手、完璧な週末を締めくくる勝利でしたね。予選のペースを見て、もう少し楽に勝てるのではないかと思っていましたが、非常に見事なレース運びでした。
オスカー・ピアストリ:そうだね、マックスが3ストップを試してきたのはちょっと意外だったし、実際にかなりうまくいきかけてた。でも全体として素晴らしい週末だったと思う。必要なときにしっかりペースを出せたし、チーム全体がやってきたことに誇りを持ってるよ。FP1はあまりよくなかったけど、そこから立て直せたし、モナコの結果からいい形で巻き返せたのは嬉しいね。完璧な週末だったと思う。
Q:今季5勝目で通算7勝目となりました。カナダGPに向けて、ご自身のパフォーマンスについてどのように感じておられますか?
ピアストリ:文句のつけようがない。今シーズンは本当にいい感じで進んでるし、今回の週末はまさに求めていた内容だった。必要なときにすべてを実行できたし、それ以上望むことはないよ。今回もまた素晴らしいクルマを用意してくれたチームには感謝してる。今はレースに勝つのが本当に楽しいし、チームのみんなにも楽しんでもらえてたら嬉しい。観客の応援も素晴らしかったし、たくさんの人が来てくれてたのが印象的だった。渋滞はすごかったけど、それだけファンが集まってるってことだからね。来られてよかったと思う。
Q:再スタートも非常に上手く決めておられました。後方ではさまざまなバトルが展開されていましたが、何かコース上のスクリーンでご覧になっていましたか?
ピアストリ:ヒュルケンベルグが6位でフィニッシュしたのは見た(実際は5位だったけど)、かなり印象的だね。自分のリスタートはタイム的には問題なかったと思うけど、リアタイヤがあんまりご機嫌じゃなくて、6速でもホイールスピンしてた。だから完璧ではなかったけど、まあ十分だったと思う。それに燃料が軽くなった状態でのグリップ感にちょっと慣れが必要だった。予選に戻ったみたいな感じだったよ。でも全体的にはうまくマネジメントできたと思う。
Q:では2位に入ったランド選手にうかがいます。再スタートではいろいろなことが起きていましたが、レースをうまくまとめ上げた印象です。どのように感じていらっしゃいますか?
ランド・ノリス:その通りだと思う。オスカーは本当にいいレースをしてた。自分には彼のペースに匹敵する力はなかったけど、できる限りのことはやったつもり。レースは長いし、最後まで何が起きるかわからないからね。再スタートでは2人ともけっこうスライドしてたけど、楽しかったよ。チームとしてワン・ツーを決められたことが一番嬉しい。
Q:そして3位に入ったシャルル選手です。最後の再スタートで一気に流れが来て、非常に満足感のある表彰台だったのではないでしょうか?そのときの状況を教えてください。
シャルル・ルクレール:そうだね、あの瞬間は前のクルマのスリップストリームを取るためにポジション取りの争いをしてた。マックスは俺をイン側に押し込もうとしてたけど、そこはタイヤカスが多くて滑りやすいから、できるだけ避けたかった。だから逆に彼を外側に追いやるようにしてたら、少し接触した。でも幸い大きな影響はなかった。昨日は予選をある程度犠牲にして今日にかけてたけど、それがうまくいった。通常の展開だったら4位が妥当だったけど、セーフティカーに助けられて表彰台を取れた。すごく嬉しいよ。
Q:マックス選手はレースの大半を3位で走行していましたが、あの瞬間にチャンスが訪れたとき、どのような思いで仕掛けられたのですか?
ルクレール:エンジニアからマックスが新品のハードタイヤで最終スティントを走ると聞いて、「これはチャンスだな」と思った。たぶん選択肢がなかったんだと思うけど、とにかくハードは明らかに厳しいタイヤだったから、自分には可能性があると感じてた。だからいいリスタートを決めることに集中したし、実際にチャンスが来たんだ。
Q:その際にマックス選手との接触がありましたが、どう受け止めていらっしゃいますか?
ルクレール:俺としては、前のマクラーレンのスリップストリームを取りに行こうとしてただけなんだけど、少し左に寄ったらマックスが全く動かなかった。それで軽く当たった。特に問題があったとは思ってない。すべてうまくいったよ。

記者会見
Q:オスカー選手、本当に見事な勝利でした。レース中はさまざまな出来事がありましたが、コクピットからはどのようにマネジメントされていましたか?
オスカー・ピアストリ:(ランドに)お前、俺のデオドラント使った?
(ランド)いや、自分の使った。
(ピアストリ)それ女物か?
(ランド)いや、チョコレートの香りのやつだよ。
……ごめん、今デオドラントの話してた(笑)。で、質問はレースのマネジメントだったね?大体はコントロールできてたと思う。マックスが3ストップ戦略を取ってきたのはちょっと意外だったし、それがあそこまで機能しそうだったのもびっくりした。でも、それ以外はブルーフラッグでの処理を除けば、そんなに苦労しなかった。抜くのに少し手間取ったけど、必要なときにペースを上げられたし、戦略にも集中できてた。ピットストップも良かったし、本当にチームとしていい仕事ができたと思う。
Q:今回の週末は非常に強力な内容だったように見えました。これまでのF1キャリアの中で最も良い週末だったと思われますか?
ピアストリ:間違いなく上位には入る。これが一番だったかどうかはわからないけど、かなりいい週末だったのは確かだね。結果もそうだけど、先週のモナコから改善すべき点を見つけて、それを今回しっかり直せたことに満足してる。自分たちが目指していたレベルに戻れたのが嬉しい。
Q:ランド選手にもお伺いします。今日のレースも素晴らしかったですが、2位でフィニッシュするまでの重要な場面について教えていただけますか?
ランド・ノリス:2位で終わるまでに何があったか? まずマックスをすぐに抜けたのが大きかったと思う。
Q:スタートでは3台が並走する形になっていましたが、ターン1ではどのような状況だったのでしょうか?
ノリス:えっ、3台並んでたの?そうだったんだ(笑)。正直あんまり覚えてないけど、ライトが思ったより早く消えて、ちょっと出遅れた。スリップストリームも使えなかったし、オスカーは前を譲ってくれなかったしね(笑)。1コーナーでは無理に突っ込むリスクは取りたくなかったから、大人しく行った。レースは長いし、あそこで全部決まるわけじゃないからね。結果的にオスカーは昨日も今日も良かったし、俺もいいペースだったけど、彼を追いつめるには足りなかった。
Q:シャルル選手、再スタートでマックス選手を抜いて3位に浮上されました。その瞬間のことを教えてください。
シャルル・ルクレール:マックスがハードタイヤで出てきたって聞いたときに、「これはきついな」って思った。残り5周であのタイヤは合ってないし、セーブも必要ないから完全に勝負どころだと判断した。あの最終コーナーで彼がかなり攻めてたけど、出口でリアが流れて、それでサイド・バイ・サイドになった。で、ピットストレートで前に出たときに少し接触があった。
Q:マックス選手は無線で「当てられた」と発言していましたが、その点についてはどうお考えですか?
ルクレール:もし逆の立場だったら、俺も文句を言ってたと思う。3位をかけた戦いだったから、お互い何でもやるつもりだっただろうし。マックスも、あのタイヤじゃ抜き返すのが難しいのはわかってたと思う。だから全力で取り返そうとした。俺の視点では、イン側からしっかり抜いて、彼がダーティなラインに押し込もうとしてきたけど、俺はその前の周でのミスを見てたからスピードでは勝ってた。前のマクラーレンのスリップストリームを取りに行こうとしてちょっと左に寄ったら、マックスが全然動かなくて、そこで軽く当たった。特別なことがあったとは思わない。
Q:今回でモナコとバルセロナ、異なる2つのサーキットで表彰台を獲得されました。マシンへの自信は高まっていますか?
ルクレール:今日の表彰台はセーフティカーに助けられた結果だから、そこまで自信があるわけじゃない。普通の展開だったら4位が妥当だったと思う。でも、クルマのことは少しずつ理解が深まってきてるし、どうセットアップすれば速く走れるかも見えてきた。ただ、そのために結構極端な方向に振らないといけなくて、正直あまり快適ではない。近いうちにアップグレードが入らないと、コンスタントに表彰台を争うのは難しいと思う。

記者からの質疑応答
Q:シャルル選手、先週モナコで2位に入られた際は少し落胆されたご様子でした。今回の表彰台は、今季ここまでで最も満足のいく結果でしたか?
シャルル・ルクレール:うーん、2位や3位で舞い上がるタイプじゃないけど、今回は嬉しかった。正直この週末はそんなに期待してなかったからね。でもモナコのときはフリー走行からずっと速かった分、あの結果にはがっかりしてた。今回は違って、最初からずっと厳しかったし、予選もある程度犠牲にしてレースにかけた。その賭けが、ちょっと運にも助けられて表彰台という形で報われたんだと思う。そういう意味ではサプライズだったし、週末としては良かったけど、全体のパフォーマンスにはまだ満足してない。そこは早く改善する必要がある。
Q:シャルル選手、ミディアムタイヤでのペースにはもっと期待されていましたか?
ルクレール:いや、正直そんなに期待してなかった。最初のスティントのミディアムはかなり良かったけど、最後のミディアムはあまり良くなかった。第2スティントを長めに取って、最後を短くしたかったから、その分マネージメントが必要だったし、それでちょっと犠牲にした部分もある。でも、今の自分たちの状況を考えれば、それがベストだったと思うし、実際結果的にも正しかったと思う。
Q:オスカー選手、ランド選手にお伺いします。レース終盤、マックス選手とジョージ選手の間で起きた接触についてどう思われますか?ランド選手はクールダウンルームで「マリオカートみたいだった」とおっしゃっていましたね。
ランド・ノリス:オスカーがその件について面白いこと言ってたから、彼にパスするよ(笑)。
オスカー・ピアストリ:チームメイトって最高だな(笑)。正直、あの出来事の全体像はよく分かってない。マックスがポジションを譲ってたようにも見えたし、何が起きたのか少し混乱してる。ブレーキしなかったのか、誤解があったのか、よく分からない。とにかくあれは小さい接触じゃなかったし、映像で見ても変な感じだった。詳細がわからないと何とも言えないけど、見た目はあまり良くなかった。
ノリス:さっき言ってたのとは違うけど(笑)。正直、マックスがどう言ってたのかも、ジョージがどう感じてたのかも聞いてないから、今はコメントするべきじゃないと思う。
Q:オスカー選手、ランド選手にお伺いします。今後のサーキットでマクラーレンが今ほど支配的にならない場所はあると思われますか?
オスカー・ピアストリ:正直、よくわからない。例えばイモラではもっと速いと思ってたけど、逆に負けたし。今回のバルセロナでは、レッドブルが本命だと思ってた。でも結果的には、自分たちの方が少し上だった感じがする。レース中は戦略面で彼らに少し脅かされたけど、純粋なペースでは自分たちの方が強かったと思う。だから、これからのサーキットの中にはライバルが強くなる場所もあるだろうし、逆に自分たちがもっと強くなる場所もあるかもしれない。できれば後者が多いといいけど、正直予想は難しい。
ノリス:そういうサーキットがないと願いたいけどね。チームは本当にいい仕事をしてくれてる。シーズン序盤では車に関していろんな批判もあったけど、技術指令(TD)が出ても、実際には何も変わってない。今のマクラーレンは全体的にバランスが取れていて、グリッド上で一番いいマシンだと思ってる。だからこのクルマを毎週末ドライブできるのは誇りだし、チームに感謝したい。ただ、オスカーも言ってた通り、予選ではまだ脆さがある。昨日みたいに大きく差がつくこともあるけど、ほとんどの予選は0.01秒とか0.001秒差の戦いだし、必ずしも楽勝というわけじゃない。レースでは今のところ自分たちが一歩先に出てるけど、他のチームも確実に差を詰めてきてる。シーズン序盤より今の方が差は小さくなってるし、これからもそうなるはず。だからこそ、自分たちは地道に努力を続けていく必要がある。
Q:ランド選手にお伺いします。あなたはメンタルヘルスについて積極的に発信されてきましたが、良い日もあれば悪い日もある中で、ネガティブな思考にどう向き合っておられますか?
ノリス:難しいよ。正直、うまくいかない日にはどうしても頭の中でいろんな声が鳴り止まない。でも最近は、そういう声を前向きなエネルギーに変える方法を少しずつ覚えてきたと思う。それを改善のきっかけにしたり、自分を理解する材料にしたりしてる。たぶん、これは俺だけじゃなくて多くの人に共通することだと思う。誰にでもいい日もあれば悪い日もあるしね。でも、俺にはちゃんと周りに信頼できる人たちがいて、自分がうまくやれてるかどうかを教えてくれる。その人たちの声だけを聞くようにしてる。他の人の声やネットのコメントは気にしない。自分を理解してくれる人たちの言葉だけが重要だと思ってる。だから、信頼できるチームや人間関係が何よりも大事だよ。厳しい日もあるけど、そういう日をどう捉えて、どう成長につなげるかが大事なんだ。
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