ヘルムート・マルコ、レッドブルF1強制退任説を否定「圧力は一切なかった」
ヘルムート・マルコは、20年間在籍したレッドブルから「追い出された」とする報道を否定し、自身の退任はあくまで自発的な決断だったと強調した。

82歳のマルコはRTLの取材に対し、次のように語っている。

「いいえ、私は決して辞めるよう圧力をかけられたわけではない」

そのうえで、決断のきっかけはアブダビGPだったと説明した。

「アブダビの最終戦が、自分の中で『今がやめる正しいタイミングだ』と思った瞬間だった」

ミンツラフCEOとの協議と決断
マルコは、月曜日にドバイでレッドブルのCEOであるオリバー・ミンツラフと会ったことを明かした。

「私は自分の意思を伝えた。多少の議論のあと、彼はそれを受け入れた。引き留めようとはしたが、私の決意が固いことを理解した」

マルコは、日常業務からは完全に退くものの、「中立的な観客」として「1戦か2戦」だけグランプリを訪れる可能性があるとも述べている。

部分的残留案を拒否し“完全撤退”を選択
オーストリア放送協会ORFに対しては、次のように付け加えた。

「この件については、誰とも事前に話していない。夕食の前にミンツラフに自分の希望を伝えた。部分的に残る案も検討されたが、『やるなら完全にやる』と私は言った」

さらに、レッドブルの筆頭オーナーであるチャレーム・ユーウィッタヤーも協議に加わり、最終的な結論は「友好的なものだった」と説明した。

フェルスタッペンへの報告と別れの感情
マルコは翌朝、マックス・フェルスタッペン本人に退任を伝えたという。

「そこにはある種の哀愁があった。彼との関係は、私がこれまで築いたドライバーとの関係の中で最も近いものだった。意見が対立することも、ほとんどなかった」

タイトル結果にかかわらず“区切り”だった
さらに、オーストリア紙『Krone』に対しては、タイトル争いの結果に関係なく、引き際としてふさわしい時期だったと語っている。

「もしタイトルを獲っていたとしても、引退するには良いタイミングだった。獲れなかったという事実も、私にとっては同じくらい十分な理由だった」

ノリスへの評価と今後への懸念
新王者ランド・ノリスについて、マルコは次のように評価した。

「彼はミスをしなかった。我々と同じくらい良い後半戦を過ごしていた。批判する点は何もない」

また、ドイツ紙『Bild』は、レッドブルがマルコに対し、2026年分の年俸全額、約1,000万ユーロを退職金として支払うと報じている。

同紙のコラムニスト、ミヒェル・ミレフスキーは、マルコやクリスチャン・ホーナーといった大物の離脱によって、F1には「キャラクターの空白」が生まれつつあると警鐘を鳴らした。ピットウォールに立つ強烈な個性としては、もはやトト・ヴォルフだけが残り、あとはエンジニア出身の代表が並ぶ時代になっていると指摘している。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング