クリスチャン・ホーナー レッドブルF1を正式離脱 約1億ドル規模の和解成立

ホーナーは2005年の参戦開始以来、レッドブルを牽引し、8度のドライバーズタイトルと6度のコンストラクターズタイトルを獲得。若干31歳でチーム代表に就任した彼は、レッドブルをF1屈指の強豪へと押し上げた。
しかし7月のイギリスGP直後、突如としてチーム代表およびCEOの職を解かれ、その後は社内役職から段階的に外されていった。8月には関連会社の取締役職からも解任され、今回の発表で完全にその関係に終止符が打たれた。
声明の中でホーナーは「レッドブル・レーシングを率いることは名誉であり特権だった。最大の満足は、才能ある人材を集め育て、世界有数の自動車ブランドを打ち負かしたことだ」と振り返り、ファンやスポンサーへの感謝を表明した。一方で、顧問のヘルムート・マルコへの言及はなかった。
レッドブル本社のコーポレートプロジェクト兼投資部門CEO、オリバー・ミンツラフも「彼の尽力と革新的な思考は、レッドブルを最も成功したチームの一つに押し上げた」と功績を称えた。ミンツラフこそが、最終的にホーナー解任を決断した人物とされている。
和解に伴い、ホーナーは数か月間F1パドックから離れることになるが、来年後半には復帰が可能になる見通しだ。当初交渉段階で示された強制的な長期活動停止からは、大幅に短縮された形となる。また今回の和解には、ホーナー復帰時に人材流出を防ぐ制限条項が含まれている可能性が指摘されている。ただし労働法上の制約から、実効性は不透明だ。
ホーナーは2030年までの長期契約を結んでいたが、ミンツラフやマルコとの間でチーム運営権を巡る対立が表面化。親会社が統制権を強めようとする一方、ホーナーは現状維持を望み、その衝突が決定打になったとみられている。オーストリアGPとシルバーストンでの不振も重なり、イギリスGP後に解任が決まった。
この人事異動の直後、ミルトンキーンズ本社ではマーケティング責任者のオリバー・ヒューズと広報部門責任者のポール・スミスもガーデニング休暇に置かれ、その後退任。数週間後、ホーナーはレッドブル・テクノロジー傘下のすべての取締役職から外れ、後任としてローラン・メキースが据えられた。
2025年シーズン、マクラーレンはより多用途性の高いマシンで優位に立っているが、ホーナー体制下でピエール・ワシェの技術グループが開発したマシンはすでに3勝を挙げている。そのうち1勝は新チーム代表メキースの指揮下で達成されたもので、マックス・フェルスタッペンは依然としてタイトル争いに残っている。
去就についてはアルピーヌ買収説が浮上し、バーニー・エクレストンとの提携話も取り沙汰されている。しかしルノー首脳は参戦継続を強調しており、現時点で実現の可能性は低い。今後ホーナーは、単なる従業員ではなく何らかのチームオーナーシップを伴う復帰を模索するとみられる。
ホーナーは「ローラン、マックス、裕毅、そしてレッドブル・テクノロジー・グループの全員に未来の成功を祈っている」と述べた。
「彼らはこれまで通りファンのためにトラックで成功を収め、最大限の努力を続けると確信している。そして来年にはRB22の後部に初のレッドブル/フォード製エンジンが搭載されるのを楽しみにしているし、エキサイティングなRB17を楽しみにしている」
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング