レッドブル・ホンダF1:2020年 第1戦 オーストリアGP 決勝レポート
2020年のF1世界選手権 開幕戦オーストリアGPの決勝が開催され、レッドブル・ホンダF1はマックス・フェルスタッペンは好スタートを切ったものの電気系トラブルで11周目にリタイアし、アレクサンダー・アルボンもルイス・ハミルトン(メルセデス)に初表彰台を阻まれたあと、パワーユニットの電気系トラブルでリタイアとなった。

決勝のマックス・フェルスタッペンは、ルイス・ハミルトンが予選でイエローフラッグを無視したことで3グリッド降格ペナルティを受けたため2番手からスタートしたが、ポールのバルテリ・ボッタス(メルセデス)がフェルスタッペンの前を守った。

ミディアムタイヤでスタートしたフェルスタッペンはターン1で3番手グリッドからスタートしたランド・ノリス(マクラーレン)のアタックを抑えて2番手を守る。ノリスはアタックに失敗したものの、そのままアルボンとハミルトンの前を守った。

その後、今度はアルボンがノリスにプレッシャーをかけ始め、3周目にはF2時代のライバルだったノリスをターン4でオーバーテイクして3位に浮上する。続いてハミルトンも4周目にノリスをパスして、グリッド降格ペナルティのミスを取り返していく。しかし、前走するボッタスとフェルスタッペンとの差はかなり開いており、5周目に入った時点で、ボッタスとフェルスタッペンの差は5秒、フェルスタッペンとアルボンの差は2.7秒となっていた。

アルボンはここから4周に渡りハミルトンからのプレッシャーをいなし続けるが、9周目のターン3でついにワールドチャンピオンに捕まると、ターン4に向けてのDRSゾーンでオーバーテイクされてしまった。

そして11周目、マックス・フェルスタッペンに不運が訪れる。ターン1でいきなりスピードを落としてしまったフェルスタッペンは何とかしてトラブルを修正しようとしたが、修正できずにピットイン。一度はピットから出たものの、リタイアとなった。

フェルスタッペンのリタイアによってハミルトンがチームメイトのボッタスから7秒遅れの2位に浮上し、アルボンが3位に復帰。アルボンから3.8秒遅れでノリスとセルジオ・ペレス(レーシングポイント)が続く展開となった。

18周目、次のリタイアとなったのがダニエル・リカルド(ルノー)だった。リカルドもフェルスタッペンと同じく突然失速したあとピットインし、そのままリタイアとなった。時をほぼ同じくして、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がPUのトラブルに悩まされていたランス・ストロール(レーシングポイント)をパス。ストロールはズルズルと後退し、21周目の終わりにリタイアとなった。

先頭を快走していたボッタスは2位ハミルトンに5秒のリードを築いており、ハミルトンと3位アルボンの差は11秒に開いていた。アルボンに後ろには4位ノリス、5位ペレス、6位ルクレール、7位カルロス・サインツ Jr.(マクラーレン)が続いた。

26周目のターン3でケビン・マグヌッセンがコースアウトした結果、27周目にセーフティカーが導入される。

このマグヌッセンのコースアウトは、各チームにピットストップを判断させることになり、マシンが次々とピットインしてタイヤを交換し、ミディアムを選択したペレスを除く全員がハードタイヤを選択した。全マシンがピットインしたため、タイム差は縮まったものの、順位の入れ替わりはなかった。
31周目にレースが再開。ボッタスはハミルトンに対してリードを守り続け、アルボンも3位を守る。

ハミルトンは徐々にボッタスとの差を詰めていき、45周目を迎える頃には0.5秒差まで詰め寄る。アルボンは3位を堅守し、4位に浮上していたペレスの2.5秒前を走っていた。

ジョージ・ラッセルがリタイアした結果、52周目に2度目のセーフティカーが導入される。アルボンはこのタイミングでピットインしてソフトタイヤに履き替え、ペレスの後方、4位でレースに復帰する。

55周目にレースが再開すると、アルボンはすぐに追撃モードに入り、ターン3でペレスのインサイドに飛び込んで3位を奪い返した。

しかし、直後にキミ・ライコネン(アルファロメオ)のマシンの右フロントタイヤが外れてリタイアしたため、3度目のセーフティカーが導入されてしまう。

アルボンは一時的にペレスに3位を譲るが、セーフティカー導入中に再び前に出ると、61周目のリスタートのタイミングで今度はハミルトンに勝負を挑む。ターン3の出口でハミルトンとの距離を詰めたアルボンは、アウトサイドからオーバーテイクを仕掛ける。

オーバーテイクは成功かと思われたが、アルボンのリアタイヤにハミルトンが接触。アルボンはグラベルに突っ込んでしまい、最下位まで後退してしまった。そして不運はここで終わらず、アルボンは69周目にパワーを失い、そのままリタイアとなってしまった。

ボッタスはそのままハミルトンを抑えて開幕戦でシーズン初勝利を挙げたが、ハミルトンはアルボンとの接触で5秒ペナルティを受けたため、2位はルクレール、3位はノリスとなった。ノリスはこれでF1初表彰台を記録した。ハミルトンは4位で終え、5位にサインツ Jr.、6位にペレスが続いた。

7位にピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ)が入って新チームに初ポイントを持ち帰り、8位はエステバン・オコン(ルノー)、9位はアントニオ・ジョヴィナッツィ(アルファロメオ)、10位はベッテルとなった。開幕戦は完走が11台のみという波乱のレースとなった。

マックス・フェルスタッペン
「何が起きたのかまだ良く分かっていない。調査して原因を突き止めるつもりだけど、当然、こういう形ではシーズンを始めたくなかった。昨シーズンとは違ってスタートは良かったけれど、スタート直後から、バルテリが速いから優勝を狙うのは相当難しくなることは分かっていた。表彰台は確保できたと思うし、開幕戦3位フィニッシュは上々の結果になったと思うけれど、今となっては何もできない。これがレースだし、どうしようもない。結果を変えることはできない。このレースウィークエンドのためにハードワークをしてくれた全員にとって残念な結果になってしまったけれど、次のレースに向けて集中して、ベターな結果を願うだけだ」

アレクサンダー・アルボン
「マシンを降りたばかりだから自分の発言に気を付ける必要があるけれど、フラストレーションが溜まっているとしか言いようがないね。勝利を掴めていた可能性は十分にあったと思う。素晴らしい戦略が用意できていたし、ピットクルーも最高の仕事をしてくれていた。セーフティカーに助けられた部分があったのは確かだけれど、マシンのフィーリングはとても良かった。今日のハードタイヤはそこまで強くなかったし、メルセデスがリスタートで冷えたタイヤを用意するのは分かっていたから、セーフティカーから数ラップで彼らをオーバーテイクするプランを立てていた。ルイス(ハミルトン)を完全にオーバーテイクできたと思っていたし、次のラップでボッタスを仕留めるつもりだった。ルイスとの接触はかなりタイミングが遅かったから驚いた。僕はアウトサイドギリギリを走っていて、ルイスにあれだけスペースを与えていたけれど、彼がクラッシュを狙わない限り前に出られることは分かっていた。今回は僕が仕掛けて、ルイスが守るという形だった。昨シーズンのブラジルより悔しいとは言わない。でも、ブラジルは痛み分けだったのかもしれないけれど、今回は違う。もちろん、今はもう次のレースウィークエンドに集中するべきだ。次も同じチャンスを得るためには運が味方する必要もあるけれど、状況を見守りたいね」

クリスチャン・ホーナー(F1チーム代表)
「開幕戦は非常にフラストレーションが溜まる結果になった。言葉が出てこないほどだ。有利なタイヤを履いて2位を走っていたマックスを早々に失ってしまったのはもちろん痛かったが、アレクサンダーが好位置に付けていて、非常に力強いパフォーマンスを見せていた。レーシングポイントに一時的にポジションを譲ってソフトタイヤを手に入れるという戦術も正しいタイミングで採用できていた。しかし、リスタートでアレクサンダーがルイスをパスしたあと、どういうわけかルイスがここ3レースで2回目のアルボンとの接触をしてしまい、アルボンのレースを終わらせてしまった。ルイスの判断ミスだったのは明らかで、彼は5秒のペナルティを受けたわけだが、アレックスにとって非常に痛かったことに変わりはない。その後、PUのトラブルでリタイアしなければならなくなった。原因は調査中だ。優勝が狙える位置につけていたにもかかわらず両ドライバーリタイア、ノーポイントでレースを終えるのは非常にフラストレーションが溜まる。良かったのは競争力を示せたことだが、次のレースウィークエンドに向けてもう少しペースを見出す必要がある」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1 / F1オーストリアGP