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レッドブル・レーシングのテクニカルディレクター、ピエール・ワシェは文化やバックグラウンドの違いがあっても、コミュニケーションの支障にはならないとし、ホンダとの“ワークス”関係によってシャシー側の自由度が大きく広がったと語る。

ホンダとマクラーレンのパートナーシップがうまくいかなかった理由のひとつに英国と日本の文化の違いがあったことが挙げられている。

しかし、昨年からホンダとのパートナーシップをスタートさせた姉妹チームのトロロッソは、スタッフのために日本文化のセミナーを開催するなど、その点に配慮してきた。

今年からレッドブル・レーシングもホンダのパートナーに加わったが、ピエール・ワシャはすべてがスムーズに進んでいいると語る。

「新たなパートナーシップのスタートですから、相手がどのようなコミュニケーションを取るのか、学んでいかねばなりません。昨年から、いい意味で驚きの連続です。ホンダはとてもオープンな人が多いですし、我々にはレースに勝利するという共通の目標があります。こうした同じ考え方が、関係構築に役立っているんです」とピエール・ワシャはコメント。

「初めて一緒に仕事をする場合、どのようにコミュニケーションをとればいいのかを考える必要があります。これは、会社や組織としての関係以外にも当てはまることだと思います」

「私はフランス人なので、英語でのコミュニケーションに苦しむ気持ちはよくわかります。ただ、ホンダとのコミュニケーションについてはそれが問題になるとは思えません。このパートナーシップはかねてから臨んでいたものですし、お互いの組織構造や人物について理解していくプロセスのほうが大切だと思っていました。だから、ここまでは、すべてがとてもスムーズに進んでいます」

レッドブル・レーシングチーム代表のクリスチャン・ホーナーがプレシーズンテストの前に言及していたように、新シーズンに向けたスムーズな移行は、トロロッソのおかげでもある。ワシェはそれがコミュニケーションや仕事上の人間関係だけでなく、テクニカル面においても効果があると考えている。

「昨シーズンのトロロッソとホンダのパートナーシップは、今季の我々にかなりの効果をもたらしてくれています。ギアボックスの配置などドライブトレインをホンダのパワーユニットとどう組み合わせるのかといったことを考えるのにとても参考になりますし、エンジンマッピングやギアボックスのコントロールなどについても同様です」

「トロロッソのおかげで、パワーユニットについての理解が深まっていますし、逆にホンダにとっても、我々のマシンにパワーユニットをどう合わせていくのかということを知ることができているのではないでしょうか」

「さまざまな側面で、この連携は素晴らしいものだと言えます。デザイン部分では、ホンダのパワーユニットのおかげでシャシー側の自由度が大きく広がりました」

「シャシー側、パワーユニット側ともに、お互いのアイデアを出し、その折衷案を探ることが必要でした。互いにとってベストなバランスが見つかれば、最大のパフォーマンスを得られるわけです。例えば、冷却について考えるとき、ホンダは排気系の取り回しについて検討してくれます。そのおかげで、我々車体側はダウンフォースやメカニカルグリップを増加させることができるようになるのです」

「このように、なんでもオープンに話し合える関係性は、これまでなかったものです。というのも、我々は‘ワークス’ チームではなかったからです。でも、今はホンダがRed Bullファミリーのために懸命に取り組んでくれるので、シャシーとの統合は素晴らしい仕上がりですし、パフォーマンスを最大限に引き出せるのではないかと思っています」

レッドブルもメルボルンに向けて車体のセットアップと開発に取り組んできたが、新パワーユニットを使ってみて、シーズンの目標はより明確になったようだ。

「パフォーマンスについてはある程度予測を立てられます。難しいのは、燃料についてまだ疑念がある点です。10年前と比べて、エンジンモードがパフォーマンスに影響を与えるのを見ることが多くなりました。さらに、テストのあったバルセロナとメルボルンはタイプの違うサーキットですから、ライバルたちがメルボルンにどんな仕様を持ち込むのかも分かりません」とピエール・ワシェは語る。

「ホンダは期待通りのパフォーマンスをもたらしてくれました。我々がトップ争いに近づけていることは、大きな前進です。昨年の序盤は、トップからかなり離されていたので、今その位置にいることは大きな希望です。目標は勝つことです。それは揺るぎません」

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