ピエール・ガスリー、MotoGPテック3に出資 現役F1ドライバー初の参画
MotoGPが新たな時代へと踏み出している。リバティ・メディアによるシリーズ買収をきっかけに、二輪の最高峰はこれまで以上に国際資本と他カテゴリーの人材を引き寄せ始めた。その象徴的な動きが、テック3の新オーナーグループにピエール・ガスリーが名を連ねたことだ。

MotoGPが、かつてリバティ・メディア体制下で世界的な成長を遂げたF1と同じ軌道を描けるのか。その可能性を測る上で、今回の投資はひとつの分岐点となる。

テック3は昨年末、長年チームを率いてきたエルヴェ・ポンシャラルから経営のバトンを引き継ぎ、新たな投資家グループのもとで再出発した。その中心人物がギュンター・シュタイナーであり、そこにIKONキャピタル、ボルト・ベンチャーズ、メイン・ストリート・アドバイザーズといった国際的な投資会社が加わった。そして今回、現役F1ドライバーであるガスリーの参画が正式に明らかになった。

現役F1ドライバー初のMotoGPチーム投資
テック3は、ガスリーを「現役F1ドライバーとして初めてMotoGPチームに投資した存在」と位置づけている。この事実は、長年噂レベルで語られてきたF1ドライバーのMotoGPチーム参入が、ついに現実のものとなったことを意味する。

「テック3というブランドの強さと、MotoGPというスポーツの長期的な成長に強い確信を持っている」とガスリーは語った。

「テック3には、まだ引き出されていない大きなポテンシャルがある。このチームの価値をさらに高めていく手助けができればうれしい」

ガスリーは過去にもスポーツ分野への投資経験を持ち、フランス3部リーグのサッカークラブ、FCヴェルサイユの共同オーナーでもある。だが、世界最高峰カテゴリーのチームに現役ドライバーとして関与するのは異例であり、その象徴性は小さくない。

リバティ・メディア効果がもたらす連鎖
今回の動きは、単なる個人投資にとどまらない。MotoGP全体を取り巻く環境が変わりつつあることを示している。

F1がリバティ・メディア体制下で商業的価値を高め、ストーリーテリングを刷新し、新たなファン層を獲得していった過程を、多くの関係者が目の当たりにしてきた。シュタイナーもその一人であり、F1での経験をMotoGPに持ち込もうとしている。

近年、ルイス・ハミルトンがMotoGPマシンをテストした過去や、F1関係者の関心が取り沙汰されてきたが、ガスリーの参画によって「可能性」から「現実」へと一歩進んだ形だ。

ピエール・ガスリー MotoGP KTM テック3

変革期にあるテック3とKTMの行方
テック3は現在、KTMと緊密な関係を築くサテライトチームとして活動している。近年は実質的にセカンド・ファクトリーチームのような立ち位置となり、レッドブルをタイトルスポンサーに迎え、ファクトリー契約ライダーを擁してきた。

一方で、2026年はチームにとって大きな決断の年でもある。KTMとの契約は年末で満了を迎え、2027年の850ccレギュレーションを見据えた将来像を描く必要があるからだ。

チーム代表のニコラ・ゴヨンは、経営移行期の難しさを認めつつも、実務面では大きな混乱がなかったと明かしている。

「12月31日まではポンシャラルが率いていて、新体制は1月1日から本格的に始動した。その間は少し奇妙な状況だったが、スポンサーもライダーも変わらず、結果的に移行はスムーズだった」

KTM側も、テック3との関係継続を最優先事項と位置づけており、新オーナー体制のもとでも協力関係を維持したい意向を示している。

F1とMotoGPの距離は、確実に縮まっている
ガスリーの投資は、MotoGPがもはや二輪だけの世界に閉じた存在ではないことを示している。リバティ・メディア体制のもとで、F1と同様にグローバル展開と商業的拡大を目指す中、異なるカテゴリーのスターや資本が自然と交差し始めた。

現役F1ドライバーがMotoGPチームのオーナーグループに加わるという事実は、その変化を端的に物語っている。テック3の新章は、同時にMotoGP全体の新章でもある。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / ピエール・ガスリー / MotoGP