F1 中国GP
ルイス・ハミルトンが、週末を完全に支配し勝利を飾ったF1中国GP。日本GPで失態をみせたハミルトンだが、上海では他を寄せ付けない力強いパフォーマンスをみせ、タイトル獲得へ向け7ポイント差へとリード広げた。

3回のフリー走行、予選の3セッション、そして決勝でファステストラップと、週末の全てセッションで最速タイムを記録したルイス・ハミルトン。今シーズン、ハミルトンが決勝レースでファステストラップを記録したのは、実はこの中国GPが初めて。チャンピオンシップの首位に立つドライバーが、これまでファステストラップを記録していなかったことは意外な事実といえる。

スタートでのハミルトンは完璧だった。ソフトタイヤを履いた2台のフェラーリを全く寄せ付けず1コーナーをクリア。この時点で勝負は8割方決まってしまったといえる。

フェリペ・マッサのタイトル獲得を狙うフェラーリ・チームにとっては、何としてでもハミルトンの前に出なければならなかった。特にライコネンは、前でハミルトンを抑えマッサをアシストすることが大命題だったといえる。しかし、フェラーリが選択したソフトタイヤは序盤のトラックコンディションでは期待通りのパフォーマンスを発揮することはなかった。

上海でのフェラーリのパフォーマンスはマクラーレンに遠く及ばなかった。事実、予選を失敗したマッサは、ハミルトンとライコネンより1周早くピットイン。パフォーマンスの差は歴然だった。その後、ピットストップ後もフェラーリの両ドライバーはハミルトンの前にでることはできず、フェラーリは万策が尽きた。

そして、ライコネン2番手、マッサ3番手で進行したレースの残り7周目。ロングストレートでライコネンが減速し、ターン14でマッサを前に行かせた。それが意図的だったのは、ストレートの通過速度で明らかだった。予想はしていたものの、F1がチームスポーツだということを改めて考えさせられた瞬間だった。

2002年のオーストラリアGPでフェラーリがとったあからさまなチームオーダー。それ以降、F1ではチームオーダーが禁止された。

チームオーダー禁止違反を騒ぐつもりはない。今回のレースに比べれば、今シーズンのドイツGPでのマクラーレンドライバーの行為の方がよっぽど露骨に感じたほどだ。「F1はチームスポーツなのだから、タイトル争いをしているドライバーを前に行かせるのは当然だ。他のスポーツでも当たり前に行われていることだ。」と“大人の見方”をすることはできる。

しかし、前年度のチャンピオンであり、今シーズン10戦でファステストラップを記録している“レーシングドライバー”が、スロットルを緩めて他のドライバーを前に行かせる姿は、モーターレーシングファンとしては、やはり悲しいものがあった。非力なマシンでも全力でレースをし、2連続表彰台を飾ったフェルナンド・アロンソンの活躍を見た後だけに、なおさらそう感じる。

残り1戦。ロバート・クビサがタイトル争いから脱落し、ハミルトンとマッサの一騎討ちとなったタイトル争い。その差は7ポイント。

どんなレース展開になったとしても、レース後は“どちらか”がチャンピオンになっている。いまいち、エキサイティングな気分になれないのは、決戦のときまで、まだ1週間あるからだろうか・・・。(F1-Gate.com)

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