日産、サバイバル戦となったニュルブルクリンク24時間レースを走破
2014年のニュルブルクリンク24時間レースは6月22日にフィニッシュを迎え、2台の「NISSAN GT-R NISMO GT3」がフィニッシュラインを越えた。
世界有数の過酷なレースの舞台となるのは、25kmを超すノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)。160台以上のマシンに600人を超えるドライバー達が世界でも厳しいことで知られるレースイベントでの勝利に挑んだ。
日産勢で今イベントのヒーローとなったのは、2013年GTアカデミー・ドイツの卒業生、フローリアン・ストラウスだった。#80 GT-Rのドライバー、ルーカス・オルドネスが風邪で体調不良となり決勝への参加ができなくなったことから、9ヶ月前にレースを始めたばかりのストラウスが代役として、ブラインドコーナーの多い172のターンを誇るノルドシュライフェでのべ8時間の走行を担うことになった。
「先日のVLNレースでこのコースを走ったばかりだったので、あまり緊張はしませんでした」とフローリアン・ストラウスは述べた。
「序盤は少し不運があったので、また追いつけるようにすべてを確実に進めたいと思いました。千代さん(#30 GT-R)に追いついた時には一緒にいいバトルができました。クラス違いの遅い車を追い越しながらでしたので、とてもエキサイティングでした。チームのために最善を尽くせるよう、落ち着いていいリズムを築くように自分に言い聞かせました」
フローリアン・ストラウスの語る不運とは、レース1周目でアレックス・バンコムが駆る#80 GT-Rが接触し、修復のためにピットに入らなくてはならず周回遅れになってしまったこと。マシンは、その後のレースでは戦闘モードに復帰した。バンコムは上位陣同様のペースを記録するなど最善を尽くしたが、ニック・ハイドフェルドとストラウスにとって、その先の壁はあまりに高すぎた。
ニック・ハイドフェルドは#80 GT-Rで素晴らしいスティントを見せたが、夜間走行中に他車と接触し、その流れが乱れてしまいまった。
「このサーキットの超高速区間、フォックスホールを抜けた後に、黄色いシグナルが目に入り、その直後にダブルイエローになりました。これが点灯すると、時速60kmに落とさなくてはなりません。突然のことで、できる限り減速したのですが、その先にマシン2台がコースを塞いでいたのです。どちらか一台にぶつかるか、コースアウトするかを選ばなくてはなりませんでした。マーシャルがいるかもしれないと思ったのでコースアウトを避けて、塞いでいた一台にヒットしました」
この時のダメージにより、#80 GT-Rは1時間ほど走行ができなくなったが、レースに戻ると順調に走行を続けた。
「全体としてはレースを楽しめましたし、願っていた順位ではありませんでしたが、初参戦のニュルブルクリンク24時間をフィニッシュできてよかったです」とニック・ハイドフェルドは続けた。
「私たちのペースは、トップ10フィニッシュに相当するものでした」
レースの序盤8時間では、ミハエル・クルム、星野一樹、千代勝正、田中哲也が駆る#30 Nissan GT-R NISMO GT3が快走を見せましたが、深夜12時を過ぎた直後、チームに無線が入り、アクシデントがあったと告げられた。皮肉にもそれは、その後ニック・ハイドフェルドがアクシデントに遭うポイントと同じ場所だった。
フォックスホールを出た後、星野一樹は停車していたマシンを避けて、やむを得ずバリアに激しく衝突してしまいた。星野一樹はGT-Rをピットまで戻したが、調査の後、フレームが修復できないほどダメージを負っている事が分った。チームは現地時間午前2時30分、正式に#30のリタイアを届け出た。
日産勢最上位は、山内一典、ジョルダン・トレッソン、トビアス&ミハエル・シュルツの駆るシュルツ・モータースポーツの#24 GT-R。クラス11位でのフィニッシュを果たした。
「このイベントがどれほど壮大なチャレンジであるか、私たちはニュルブルクリンクに来る前から覚悟していました」とニスモのグローバルヘッドオブブランド、マーケティング&セールス、ダレン・コックスは述べた。
「何年もこのイベントに参戦しているベテランチームと真正面からの戦いを挑んだ、私たちの今日の成果を誇りに思います。ノルドシュライフェへのアタックは素晴らしい挑戦です。フローリアン(ストラウス)がやり遂げたことを、特にうれしく思います」
「コースの外では、今回のニュルブルクリンク24時間は素晴らしい内容となりました。NISMO.TVのライブストリーミングを通じて、熱心なファンのみなさんに興奮を味わっていただき、NISMO Race Camp(特設テント)には、非常に多くのお客様をお迎えしました」とコックスは続けた。
「コースではパンク、アクシデント、ほかの不運にも見舞われ、望んでいた結果には届かなかったかもしれませんが、全力を尽くしました。来年、また戻ってきます」
千代勝正
「僕にとって初めてのニュル24時間レースで、このために練習の機会もいただき、しっかり準備して挑みました。今回の結果は残念でしたが、一樹さんが無事で良かったです。マイケルさん、哲也さん、一樹さんと経験豊富な先輩と一緒に参加できたことで、今後の経験につながったと思います。引き続き、ブランパンシリーズもがんばります。来年、またチャンスがあればぜひ参加したいです」
星野一樹
「やっとトップカテゴリーでの参戦がかなった今年のチャレンジでしたが、ナイトセッションでのアクシデントによりレースを終えることとなり残念な結果でした。また、このプロジェクトに携わったNISSAN /NISMO、 RJNのチームスタッフ、ドライバーにも申し訳ない気持ちです。ニュルでのGT-Rのポテンシャルは感じました。後は細かいセッティングや、タイヤとのマッチングを進める必要があります。トップカテゴリーで戦ったことで、優勝するために必要なことが具体的にわかったことは、収穫です。今回も、日本からたくさんの応援ありがとうございました。今年は残念な結果でしたが来年はリベンジしたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします」
田中哲也
「前回のVLNで新車をシェイクダウンし、マイナートラブルを解消しながら今回の本番に向かって、しっかりと準備をして臨むことが出来ました。その結果、走り始めから前回のセッティングに比べ良くなっていて、木曜日、金曜日の調子も上々で、かなり戦える状態となっていました。しかし、いざ、予選のフルアタック、決勝スタートなどでは、ドイツ勢が速く、そして強かったです。トップ3を目指すには何が足りないか、ということが見えました。 決勝の結果は残念でしたが、アクシデントの状況がかなり難しい状況ではあったことは理解でき、何より一樹にけが無くて良かった。千代は初年度とはいえ、しっかりと準備が出来ていた思います。今回のレースを通じて得たものも多く、ニュル24Hをいかに戦うかが明確に分かったと思います。チームにとっても、ドライバーにとっても、来年に向けて、有意義なレースになったことは間違いないです」
ミハエル・クルム
「クルマの調子はよく、よい位置にいました。4名のドライバーは皆1つずつスティントを完了したので、どのタイミングでどのタイヤを選べば良いか等は把握していました。でも夜になって暗くなると、かなりコースは厳しいものになりました。下の方のクラスの速度の遅いクルマたちが本当に遅くなったんです。そして急にあちこちでスピンする車両が発生し事故が増えていました。 僕のスティントの終盤にタイヤバーストがあり、幸運にも被害を最小限にしてピットに戻ることができたので、あまりタイムをロスせずに済みました。続いて一樹に交代して、既にコースが危険な状態になっていることで心配していました。残念ながら彼にアクシデントがありましたが、怪我しなかったのは本当に良かったと思います。見通しの悪いコーナーを250km/hで進入して、黄旗のない状態で突然コースの真中に停止車両があることを想像してみてください。本当に無事で良かった。 彼はそのまま側壁に衝突して、レース継続はできなくなりましたが、もっと重要なのは一樹が怪我がなく無事だったことです。私たちはリタイヤを余儀なくされましたが、GT-Rのポテンシャルを改めて確認しました。ミスなく走り続けたら必ず10位以内にはフィニッシュできたと思います。まだまだやらなければならないことはたくさんありますが、もし来年も参戦できるなら、さらに開発をすすめてクルマを速くしたいと思っています。方向性は間違っていないので、上位チームと戦えるポテンシャルは持っています」
カテゴリー: F1 / 日産
世界有数の過酷なレースの舞台となるのは、25kmを超すノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)。160台以上のマシンに600人を超えるドライバー達が世界でも厳しいことで知られるレースイベントでの勝利に挑んだ。
日産勢で今イベントのヒーローとなったのは、2013年GTアカデミー・ドイツの卒業生、フローリアン・ストラウスだった。#80 GT-Rのドライバー、ルーカス・オルドネスが風邪で体調不良となり決勝への参加ができなくなったことから、9ヶ月前にレースを始めたばかりのストラウスが代役として、ブラインドコーナーの多い172のターンを誇るノルドシュライフェでのべ8時間の走行を担うことになった。
「先日のVLNレースでこのコースを走ったばかりだったので、あまり緊張はしませんでした」とフローリアン・ストラウスは述べた。
「序盤は少し不運があったので、また追いつけるようにすべてを確実に進めたいと思いました。千代さん(#30 GT-R)に追いついた時には一緒にいいバトルができました。クラス違いの遅い車を追い越しながらでしたので、とてもエキサイティングでした。チームのために最善を尽くせるよう、落ち着いていいリズムを築くように自分に言い聞かせました」
フローリアン・ストラウスの語る不運とは、レース1周目でアレックス・バンコムが駆る#80 GT-Rが接触し、修復のためにピットに入らなくてはならず周回遅れになってしまったこと。マシンは、その後のレースでは戦闘モードに復帰した。バンコムは上位陣同様のペースを記録するなど最善を尽くしたが、ニック・ハイドフェルドとストラウスにとって、その先の壁はあまりに高すぎた。
ニック・ハイドフェルドは#80 GT-Rで素晴らしいスティントを見せたが、夜間走行中に他車と接触し、その流れが乱れてしまいまった。
「このサーキットの超高速区間、フォックスホールを抜けた後に、黄色いシグナルが目に入り、その直後にダブルイエローになりました。これが点灯すると、時速60kmに落とさなくてはなりません。突然のことで、できる限り減速したのですが、その先にマシン2台がコースを塞いでいたのです。どちらか一台にぶつかるか、コースアウトするかを選ばなくてはなりませんでした。マーシャルがいるかもしれないと思ったのでコースアウトを避けて、塞いでいた一台にヒットしました」
この時のダメージにより、#80 GT-Rは1時間ほど走行ができなくなったが、レースに戻ると順調に走行を続けた。
「全体としてはレースを楽しめましたし、願っていた順位ではありませんでしたが、初参戦のニュルブルクリンク24時間をフィニッシュできてよかったです」とニック・ハイドフェルドは続けた。
「私たちのペースは、トップ10フィニッシュに相当するものでした」
レースの序盤8時間では、ミハエル・クルム、星野一樹、千代勝正、田中哲也が駆る#30 Nissan GT-R NISMO GT3が快走を見せましたが、深夜12時を過ぎた直後、チームに無線が入り、アクシデントがあったと告げられた。皮肉にもそれは、その後ニック・ハイドフェルドがアクシデントに遭うポイントと同じ場所だった。
フォックスホールを出た後、星野一樹は停車していたマシンを避けて、やむを得ずバリアに激しく衝突してしまいた。星野一樹はGT-Rをピットまで戻したが、調査の後、フレームが修復できないほどダメージを負っている事が分った。チームは現地時間午前2時30分、正式に#30のリタイアを届け出た。
日産勢最上位は、山内一典、ジョルダン・トレッソン、トビアス&ミハエル・シュルツの駆るシュルツ・モータースポーツの#24 GT-R。クラス11位でのフィニッシュを果たした。
「このイベントがどれほど壮大なチャレンジであるか、私たちはニュルブルクリンクに来る前から覚悟していました」とニスモのグローバルヘッドオブブランド、マーケティング&セールス、ダレン・コックスは述べた。
「何年もこのイベントに参戦しているベテランチームと真正面からの戦いを挑んだ、私たちの今日の成果を誇りに思います。ノルドシュライフェへのアタックは素晴らしい挑戦です。フローリアン(ストラウス)がやり遂げたことを、特にうれしく思います」
「コースの外では、今回のニュルブルクリンク24時間は素晴らしい内容となりました。NISMO.TVのライブストリーミングを通じて、熱心なファンのみなさんに興奮を味わっていただき、NISMO Race Camp(特設テント)には、非常に多くのお客様をお迎えしました」とコックスは続けた。
「コースではパンク、アクシデント、ほかの不運にも見舞われ、望んでいた結果には届かなかったかもしれませんが、全力を尽くしました。来年、また戻ってきます」
千代勝正
「僕にとって初めてのニュル24時間レースで、このために練習の機会もいただき、しっかり準備して挑みました。今回の結果は残念でしたが、一樹さんが無事で良かったです。マイケルさん、哲也さん、一樹さんと経験豊富な先輩と一緒に参加できたことで、今後の経験につながったと思います。引き続き、ブランパンシリーズもがんばります。来年、またチャンスがあればぜひ参加したいです」
星野一樹
「やっとトップカテゴリーでの参戦がかなった今年のチャレンジでしたが、ナイトセッションでのアクシデントによりレースを終えることとなり残念な結果でした。また、このプロジェクトに携わったNISSAN /NISMO、 RJNのチームスタッフ、ドライバーにも申し訳ない気持ちです。ニュルでのGT-Rのポテンシャルは感じました。後は細かいセッティングや、タイヤとのマッチングを進める必要があります。トップカテゴリーで戦ったことで、優勝するために必要なことが具体的にわかったことは、収穫です。今回も、日本からたくさんの応援ありがとうございました。今年は残念な結果でしたが来年はリベンジしたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします」
田中哲也
「前回のVLNで新車をシェイクダウンし、マイナートラブルを解消しながら今回の本番に向かって、しっかりと準備をして臨むことが出来ました。その結果、走り始めから前回のセッティングに比べ良くなっていて、木曜日、金曜日の調子も上々で、かなり戦える状態となっていました。しかし、いざ、予選のフルアタック、決勝スタートなどでは、ドイツ勢が速く、そして強かったです。トップ3を目指すには何が足りないか、ということが見えました。 決勝の結果は残念でしたが、アクシデントの状況がかなり難しい状況ではあったことは理解でき、何より一樹にけが無くて良かった。千代は初年度とはいえ、しっかりと準備が出来ていた思います。今回のレースを通じて得たものも多く、ニュル24Hをいかに戦うかが明確に分かったと思います。チームにとっても、ドライバーにとっても、来年に向けて、有意義なレースになったことは間違いないです」
ミハエル・クルム
「クルマの調子はよく、よい位置にいました。4名のドライバーは皆1つずつスティントを完了したので、どのタイミングでどのタイヤを選べば良いか等は把握していました。でも夜になって暗くなると、かなりコースは厳しいものになりました。下の方のクラスの速度の遅いクルマたちが本当に遅くなったんです。そして急にあちこちでスピンする車両が発生し事故が増えていました。 僕のスティントの終盤にタイヤバーストがあり、幸運にも被害を最小限にしてピットに戻ることができたので、あまりタイムをロスせずに済みました。続いて一樹に交代して、既にコースが危険な状態になっていることで心配していました。残念ながら彼にアクシデントがありましたが、怪我しなかったのは本当に良かったと思います。見通しの悪いコーナーを250km/hで進入して、黄旗のない状態で突然コースの真中に停止車両があることを想像してみてください。本当に無事で良かった。 彼はそのまま側壁に衝突して、レース継続はできなくなりましたが、もっと重要なのは一樹が怪我がなく無事だったことです。私たちはリタイヤを余儀なくされましたが、GT-Rのポテンシャルを改めて確認しました。ミスなく走り続けたら必ず10位以内にはフィニッシュできたと思います。まだまだやらなければならないことはたくさんありますが、もし来年も参戦できるなら、さらに開発をすすめてクルマを速くしたいと思っています。方向性は間違っていないので、上位チームと戦えるポテンシャルは持っています」
カテゴリー: F1 / 日産