MotoGP ヤマハ カタルニアGP
ロッシとビニャーレスがともにリタイアという悔しい結末
Monster Energy Yamaha MotoGPは、バレンティーノ・ロッシとマーベリック・ビニャーレスがともにマルチクラッシュによりリタイアする残念な結果となった。幸いふたりに怪我はなかった。

ロッシは4番グリッドからスタート後、5番手で第1コーナーを抜けてホルヘ・ロレンソ(ホンダ)、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)とバトルを展開。


一旦、7番手に後退し、2ラップ目で5番手に上がったところでアクシデントに見舞われた。目の前で発生したクラッシュを避けようとするも、滑ってきたマシンと接触して転倒。すぐさまマシンを起こしてピットまで戻ってきたが復帰はならなかった。

チームメイトのビニャーレスは、レース主催者の裁定によるペナルティで6番グリッドへと後退。その分を取り返すべくモチベーションを高めて臨み、第1コーナーはそのままのポジションに留まったものの、第2コーナーから第3コーナーにかけて果敢に攻めて4番手に浮上、さらに2番手に上がってオープニングラップを終了した。2ラップ目の初めにM・マルケス(ホンダ)に抜かれて3番手を走行中、ロッシとともに第10コーナーの多重クラッシュに巻き込まれて転倒。そのままリタイアとなった。

この結果、ロッシはトップから68ポイント差のランキング5位、ビニャーレスは100ポイント差となりランキング8位から11位に後退。ヤマハはコンストラクターズランキングでひとつ上げて3位、Monster Energy Yamaha MotoGPはチームランキング4位に後退している。

決勝翌日の月曜日にはカタルニア・サーキットでIRTAテストに参加し、2週間後のオランダGPに向けて準備を開始する。

クアルタラロが2位を獲得、初表彰台を達成!
ファビオ・クアルタラロがカタルニアサーキットで2位を獲得し、PETRONAS Yamaha Sepang Racing TeamはMotoGPわずか7戦目で表彰台をゲットした。クアルタラロは12日前、腕上がりの症状を緩和するため右前腕の手術を受けたばかりだった。チームメイトのフランコ・モルデビリは残り8ラップ、トップ10走行中に転倒リタイアとなっている。

ポールシッターのクアルタラロはスタートで7つポジションを下げたが、すぐさま挽回してハイペースを披露。終盤では熾烈な2位争いを展開し、MotoGP参戦7戦目で自身初、そしてチームにとっても初めての表彰台を獲得した。シリーズポイントでは合計51に伸ばして9位につけている。

一方のモルビデリは今季4回目のトップ10入りを目指して順調に走行していたが、残り8ラップの第7コーナーで転倒。幸い怪我はなく、ランキングでは合計34ポイントで12位となっている。

Monster Energy Yamaha MotoGP
バレンティーノ・ロッシ(DNF)
「ここまでずっと順調だっただけに非常に残念な結果となりました。プラクティスでは予定通りに作業を進めてきましたし、タイヤチョイスも間違いありませんでした。午前中のウォームアップからすでに気持ちよく乗れていて、決勝ではより一層、よい状態になっていました。そして2ラップ目のあのコーナーでペトルッチに仕掛けてペースが上がっていたところに目の前でクラッシュが発生。それを避けきれずに転倒してしまいました。好レースを確信していただけに悔しい結果ですが、前回のムジェロに比べて調子が上がっていたこと、ウイークをエンジョイできたことはよかったと思っています」

マーベリック・ビニャーレス(DNF)
「誰かが非常に速いスピードでインに入って来るのが見えたので、クラッシュを避けるためにマシンを起こしました。ドビツィオーゾ選手が目の前にいて、そのふたりだけが転倒すると思った矢先、私のリアタイヤにも当たりました。結局、転倒を避けきれず残念な結果となりました。その一方でとてもハッピーでもあったのです。好スタートを切って、いい走りができていました。フルタンクの状態でここまでできるまでにマシンを仕上げられたことで、今回ここで試したことが間違っていなかったことを証明することができました。オープニングラップからフロントをプッシュしていけたことは私にとってとても大きな意義があり、次のアッセンでもうまくいくかどうかトライしてみるつもりです。もしもマルケス選手についていくことができていたら、どうなっていたか。それは誰にもわかりませんが、マシンは実際にとても好調で、チームがすばらしい仕事をしてくれたことは間違いない事実です。これからもこの調子をキープできるようハードワークを続けていくだけです」

マッシモ・メレガリ(チーム・ディレクター)
「非常に残念で、なかなか受け入れられない悔しい結果です。ロッシ選手もビニャーレス選手も好成績を目指せるはずでしたが、どうすることもできなかったのです。つまりスタート時の目標とはまったく別の結果になったのです。私たちにとっては本当に不運でしたが、レースは常にフェアなもの。私たちにできることは、よかったところに焦点を当てて評価することだと思っています。ふたりが表彰台争いのグループに加わり、またこの位置まで浮上しつつあることを確信できました。次のアッセンにも希望をつなげることができました。明日はIRTAテストに参加してさらに向上を目指し、おもに加速のスムース性を追求していきたいと考えています」

PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team
ファビオ・クアルタラロ(2位)
「ハードなレースのなかで、このような結果を勝ち得たことをとてもうれしく思います。今季最高とも言えるスタートで、ポジションダウンは2つだけ。そのあと第4コーナーでミスをして、さらに4つ下げてしまいました。それでも表彰台を目指す気持ちは失っておらず、懸命に走り続けて終盤には2番手に上がりました。アドレナリンと術後の薬のおかげで大きな問題は起こりませんでしたが、最後の数ラップになると痛みはじめていました。それでも表彰台の喜びのほうが上回っていました。ヨーロッパラウンドに入ってから非常に好調で、今週は全セッションのなかで最低が2位でした。でも、これで満足せずに、これまで通りに作業を続けていかなければなりません。このようなチャンスをくれたチームに感謝しています。そしてPETRONAS Yamaha SRTの初表彰台に貢献できたことをうれしく思います」

フランコ・モルデビリ(DNF)
「私にとっては悔しい結果になりましたが、評価できるところも多くありました。ニュータイヤでハイスピードが出ており、昨日のクラッシュから立ち直ることができたことは大きな収穫です。ただスタートで遅れ、レース中もブレーキのフィーリングに苦戦。タイヤチョイスは間違っていなかったと思いますが、十分にマシンを止めきれなかったため安全策を採り、タイヤのよいところを生かすことができませんでした。そして、攻めに転じた際にコーナーではらみ、転倒してしまったのです。明日のテストのなかで、もっといろいろなことを理解し、マシンの状態を上げていけるように作業に取り組みます。クアルタラロとPETRONAS Yamaha SRTファミリーに、MotoGP初表彰台のお祝いを伝えたいと思います」

ウィルコ・ズィーレンベルグ(チーム・マネジャー)
「クアルタラロ選手の2位獲得に歓喜しています。私たちのライダーが表彰台に上る日を待ち望んでいたので、本当に幸せな気持ちです。一方で今回はモルビデリ選手が転倒リタイアとなり明暗が分かれてしまいましたが、それまでは彼も非常によく乗れていたのです。我がチームにはふたりのライダーがいます。そして常にふたりの好成功を願っています。次のアッセンではそれを実現したいと思います」

ラズラン・ラザリ(チーム代表)
「表彰台に上る日が必ず来ると信じていましたが、それがいつ実現するかは想像できませんでした。毎週、それを望みながら戦ってきて、ついに現実となったのです。今はチーム全体が感動に包まれており、心からクアルタラロ選手の成功を喜んでいます。結成から1年にも満たないチームにとって、とても重要な一日になりました。MotoGP参戦を目指しそれが実現し、これまでにすでに2回のポールポジションと表彰台を獲得。チームとライダーの見事なパフォーマンスに感銘を受け、このプロジェクトに誇りを感じています。一方でモルビデリ選手は残念な結果となりましたが、この表彰台がチーム全体のモチベーションをさらに上げてくれると思っています。この成功を支えたひとりひとりを祝福します」

鷲見崇宏 (MS開発部モトGPグループリーダー)
「まずは、果敢な走りで自身初のMotoGPクラス表彰台を獲得したルーキーのクアルタラロ選手、それを支えたチームを心から祝福したいと思います。今季発足したばかりの新チームがですが、ライダーとともに成長してこうした結果を得てくれたことは、ヤマハにとって大きな喜びです。我々は、前回イタリアGPでの苦戦後、分析を行いレースに向けた戦略について見つめ直し、新たな思いでカタルニアGPに臨みました。路面コンディションは昨年から大きく異なる状況でしたが、ヤマハライダーは金曜日のプラクティス開始から着実にセットアップを重ね、全4ライダーがセカンドロー以内を獲得し、決勝でのライバルとの戦いに向けて準備を整えることができました。レースでは、ファクトリーチームのロッシ、ビニャーレス両選手とも好スタート後、2周目に他車の転倒に巻き込まれてリタイヤとなってしまいました。ライダー、チームともに手応えを感じていただけに、レースアクシデントとはいえ信じがたい光景に言葉を失いました。悔しさの一方で、難しいコンディションの中で車両パフォーマンスを高められたことに対し、ライダー、チームはポジティブな思いを抱いています。次戦はオランダGPですが、今回の決勝までのよい流れを再現し、皆さんにヤマハライダーの活躍を見ていただけるよう全力で取り組んでまいりますので、引き続きご声援をよろしくお願いします」

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カテゴリー: F1 / MotoGP