MotoGP ヤマハ バレンシアGP
Movistar Yamaha MotoGPのバレンティーノ・ロッシとマーベリック・ビニャーレスは、難しいコンディションのなかで大健闘を見せたが、ともに転倒する不運。ロッシはグリッド16番手から3位まで浮上したが、13ラップ目に天候悪化のため一時中断。その後、再開された2ヒート目では2番手を走行中に転倒してしまったが、再スタートして13位でチェッカー。一方のビニャーレスはポールポジションからスタートしたが12ラップ目で転倒。再開後は13ラップ時点の順位で行われたため、出場することはできなかった。

ロッシはグリッド16番手から絶好のスタートを切り、第1コーナーまでに5台をパス。フルウエットのコンディションに適応し、わずか2ラップで7番手まで浮上した。続いてチームメイトのビニャーレスをパスし、さらに前方で数台が転倒したこともあり、4ラップ後には3番手に浮上した。表彰台の可能性が見えてきたことで、より一層、アグレッシブさを増したロッシは、前車との7秒以上の差をわずか7ラップで詰めてゆく。しかし14ラップ目、コンディションの悪化のため赤旗が提示されてレースは中断となった。

現地時間15:00、13ラップ時点の順位でグリッドに並び、14ラップで競われた2ヒート目。ロッシは3番グリッドからスタートしてポジションをキープ。2ラップ目の後半くらいから再び雨が強まったが、ロッシは追撃の手を緩めることなくA・リンス(スズキ)に挑んでゆく。そして7ラップ目についにとらえて2番手に上がり、さらにプッシュを続けた。しかしそれから3ラップ後の第12コーナーで転倒。大きく順位を下げることとなったがマシンに駆け寄り再スタート。13位でコースに復帰し、最後までそのポジションをキープし、完走を果たした。

一方のマーベリック・ビニャーレスはポールポジションからのスタートだったため、オープニングラップでは滑りやすい路面の限界点を判断するという難しい仕事も課されることとなった。リスクをかけすぎず、2番手で第1コーナーに進入すると、コンディションを確認しながら、もう1台を先行させて3番手。さらに5ラップ目までに8番手へと後退してロッシの後方につけることとなった。2台でともにポジションアップを図ろうとするなかで、ビニャーレスは11ラップ目にファステストラップを記録。ところが12ラップ目に転倒してリタイアを余儀なくされた。幸い大きな怪我はなかったが、レース中断前の転倒だったため2ヒート目に出場することはできなかった。

この結果、ロッシとビニャーレスはそれぞれランキング3位と4位を獲得。コンストラクターズランキングは3位、Movistar Yamaha MotoGPもチームランキング3位を獲得して2018シーズンを終了した。Movistar Yamaha MotoGPは2日後の火曜日、2019シーズンに向けた初の公式IRTAテストに参加するため、再びここリカルド・トルモ・サーキットに戻ってくる。

ザルコがトップサテライト、シャーリンは最終戦で2度目のトップ10入りを果たす
2018シーズン最終戦はウエットコンディションで行われ、途中、天候悪化のため中断をはさむ難しい展開のなか、Monster Yamaha Tech3のヨハン・ザルコとハフィス・シャーリンが大健闘を見せた。

ザルコはグリッド4列目から最初の13ラップで5番手に浮上。このあとコース上の水の量が多くなりレースは一時、中断となったが、再開後の残り14ラップで7位を獲得した。これによってシリーズポイントを158に伸ばしサテライト勢ではトップのランキング6位でシーズンを終えた。

チームメイトのハフィス・シャーリンもまた見事なレースを展開した。1ヒート目では、ひとつひとつ着実にポジションアップを図って1周目の21番手から10番手まで浮上。再開後も雨と格闘しながら懸命に順位をキープし、今季2度目のトップ10入りを果たすとともに、ランキングではルーキー勢では2番手を獲得した。

Movistar Yamaha MotoGP
バレンティーノ・ロッシ (13位)
「最後の4ラップは路面のコンディションがとてもひどい状態でした。チームのため、ヤマハのために、最終戦でどうしても好成績を獲得したかったのですが、残念ながらミスをおかしてしまいました。本当に悔しい気持ちでいっぱいです。状況はマレーシアのときとよく似ていて、原因が何だったのか、はっきりとはわからないままですが、きっと、最後のところでより多くの注意を払わなければならなかったのでしょう。このように残念な結果になりましたが、パフォーマンス自体は決して悪くはありませんでした。あの瞬間までは走りをエンジョイできていましたし、非常に好調だったのです。そしてランキング3位を獲得できたことはとてもよかったと思っています」

マーベリック・ビニャーレス (DNF)
「転倒後も肩にちょっと痛みがあるくらいで、幸い大きな怪我はありませんでした。いずれにしても非常に難しい戦いで、序盤は技術的トラブルもあってなかなかペースが上がりませんでした。それでも周回を重ねるうちに集中できるようになり速さも出てきたので、少し無理をしてしまったのかもしれません。チャンピオンシップのことを考えて何とかロッシ選手の前に出たいと思っていたのですが、彼は非常に速くてなかなか抜き返すことはできませんでした。この転倒がなければリンス選手やドビツィオーゾ選手とトップ争いをしていたかもしれないと思うと残念です。でも、ウエットレースで上位争いができたのはこれで3回目になるので、このことは喜んで良いと思っています。正直に言えば、最後の5レースにはとても満足しています。私自身、非常に安定していましたし、自信を持って走ることができました。マシンの状態を把握し、進むべき方向がはっきり見えてきたことで自信を取り戻すことができたのだと思います。これは2018年の収穫のひとつです。シーズンの初めに状況をしっかり理解することができれば、何事にも冷静に対処し、同じミスをおかすこともなくなるはずです。明後日のテストでは、おもにエンジンに取り組むことが課題になります。新たなシーズンのスタートにモチベーションが上がっています!」

マッシモ・メレガリ (チーム・ディレクター)
「シーズン最終戦がこのような結果になり非常に残念です。ロッシ選手もビニャーレス選手も1ヒート目はとても順調だったので、なおさらその思いが強くなります。午前中のウォームアップではロッシ選手が好調で、グリッド16番手からでも上位争いに加わるチャンスがあると考えていました。私から見れば彼のライディングは驚異的ですらあり、実際には上位どころかトップ争いを展開したのです。ところがそのあとレッドフラッグが振られ、3番グリッドから再スタートしなければならなくなりました。そしてここからまたすばらしいレースを見せてくれたのです。それだけに、本来の速さと実力を結果に結びつけることができなかったことが残念でなりません。ビニャーレス選手も非常にアンラッキーでした。技術的なトラブルを抱えながらも懸命にコントロールして4位争いを展開していましたが、自己ベストを記録した直後に転倒してしまいました。大きな怪我がなかったことを真っ先に喜ぶのは当然ですが、12ラップ目に転倒したため再スタートのグリッドに並べなかったことは心残りです。このような形でシーズンを終えることは望んでいませんでしたが、難しい状況のなかでふたりが全力でプッシュしてくれたのですから、それ以上を要求することはできません。一年を通して難しい戦いを強いられてきましたが、最後になってよいきざしも見えてきました。明後日から始まる最初の公式テストでも、この方向性を維持して前に進んでいきます」

Monster Yamaha Tech3
ヨハン・ザルコ (7位)
「非常にタフな戦いでした。激しい雨が降るなかで順調にスタートを切りましたが、コース上の水の量が非常に多かったためコントロールが難しく、大勢のライダーが転倒しました。再スタート後は思うようにペースが上がらず、ついていくのが難しくなりましたが、最も重要なのは完走してトップサテライトを獲得すること。これがシーズン開幕当初からの最大の目標だったので、こうして実現することができてとてもうれしく思います。この2年間、非常によい状態で戦うことができました。私自身、チーム、またヤマハとともに歩んだ歴史の集大成として、このような結果を得られたことを誇りに思いとても満足しています。ランキングにおいては5位獲得も不可能ではないと思っていたのですが、今日はリンス選手が非常に速く、まさに完璧な走りだったので、彼の健闘を讃えたいと思います。最後に、このすばらしい2年間を支えてくれたすべての人にお礼を言います。来年からピットは別々になりますが、今までと変わらず喜びを分かち合える関係が続くと思っているので、新たな挑戦にも前向きに取り組むつもりです」

ハフィス・シャーリン (10位)
「まず初めに、チームのみんなにお礼を言いたいと思います。ウエットコンディションのなかでトップ10を獲得できるとは考えていませんでした。今日のレースでは多くのドラマがあり、多くのライダーが転倒しまいましたが、レースが中断された時点ですでに、私は10位まで上がっていました。フルウエットのレースを完走したのは今回が初めてで、そのなかでまた多くのことを学びました。ランキングにおいてはトップルーキーを逃しましたが、4ポイント差まで近づくことができました。フランコ・モルビデリ選手にはおめでとうと伝えたいと思います。最後にスポンサーのみなさま、家族やファンのみなさま、私をサポートしてくださったことに感謝します。MotoGPに出場できることを非常に幸せに感じています。来週からはまた新しい旅が始まりますが、今まで同様、ハードワークに励みます。みなさま、本当にどうもありがとう!」

エルベ・ポンシャラル (チーム・マネジャー)
「2018シーズンが、ようやく終わりました。バレンシアは毎年、フィナーレにふさわしい好天に恵まれてきましたが、今年はそうはいかず、難しいコンディションのなかで悪戦苦闘することになってしまいました。しかし終わってみれば、そのことによって、よりエキサイティングで面白い展開になったと言うこともできるでしょう。路面状況は刻々と変わり、グリップが十分でないため多くの転倒車がありました。そして思ってもみなかった結果になり、いつもとは違う顔ぶれが表彰台に並びました。チーム2年目のザルコ選手がトップサテライトの座とともにランキング6位を獲得したことを、私は心から誇りに思い満足しています。彼は今日もまた、ヤマハ勢最高位を獲得したのです。決して最速ではありませんでしたが、今日は最後まで走り切ることが最も重要でした。それをザルコ選手は成し遂げたのです。2年前、チームはザルコ選手とフォルガー選手を擁して冒険の旅を始めました。ザルコ選手とは2年間ともに戦い、2回のトップサテライトと昨年のトップルーキーを獲得。この結果を見れば、ともによい仕事ができたと思いますし、その成果を誇りに感じます。ザルコ選手には、この2年間の努力について感謝の気持ちを伝えたいと思っています。彼は常に、速さと賢明さを兼ね備えたプロフェッショナルでした。新たなチャレンジにおいても成功をおさめられるよう期待しています。一方、シャーリン選手は、ミシュランタイヤ装着のMotoGPマシンでウエットコンディションを走るのはほぼ初めての経験だったので、今回は多くのことを学ぶよいチャンスになったと思います。彼のニックネームは魚の意味を持ち、魚はたいてい水の中でハッピーです。それでもトップ10などは夢にも思っていなかったことですが、彼は今週、フリープラクティスから今日の決勝までにライディングスタイルを進化させ、トップとの差を大きく縮めたのです。彼がウエットコンディションに非常に特別なフィーリングを持っていることは間違いなく、おそらくMoto2での経験がMotoGPに生かされているのだと思います。最後になりましたが、この場を借りてもう一度、ヤマハのみなさま、エンジニアをはじめすべての人に、心からの感謝を伝えたいと思います。ザルコ選手を擁した2年間、そして今年はシャーリン選手も加わって成し遂げてきた大きな成果は、ヤマハの多大なるサポートがあってこそ可能になったのです」

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カテゴリー: F1 / MotoGP