MotoGP ロードレース世界選手権 日本グランプリ ツインリンクもてぎ
フルウエットのコンディションのなかで行われたMotoGP 日本グランプリ。Movistar Yamaha MotoGPのマーベリック・ビニャーレスは終始、安定した走りを見せて9位でゴール。バレンティーノ・ロッシは絶好のスタートを切ったあと8位を走行していたが、S字コーナーで転倒してそのままリタイアとなった。

予選14番手、グリッド5列目からのスタートとなったマーベリック・ビニャーレスは、好ダッシュを見せて一気に8位へ浮上。

タイヤが暖まるのを待つ間、3ラップ目には一旦、アレックス・リンス(スズキ)とバレンティーノ・ロッシに先行を許したが、この後退は長くは続かなかった。

3ラップ後にはホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)をパス。続いてバレンティーノ・ロッシが転倒したためマーベリック・ビニャーレスは再び8位へ浮上。その後もウエット路面に慣れるにつれて少しずつペースを上げ、順調に周回を重ねてゆくが、前を行くエレイシ・エルパルガロ(アプリリア)からはすでに大きく離されていた。

レース後半に入るとロレンソが再び追い上げてきたため、残り6ラップは8位キープに目標を切り替えてバトルを展開。身体を伏せて懸命に逃げ切りを図るが、抑え切れずに9位でチェッカーを受けた。

バレンティーノ・ロッシもグリッド12番手から好スタート。すぐさまチャージを開始し、3つポジションを上げてオープニングラップを終えた。その後も上位グループを逃すまいと懸命に食らいつき、6ラップ目にはロレンソをパス。しかし第8コーナーで転倒を喫し、再スタートすることはできなかった。

この結果、マーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシはそれぞれ、ランキング3位と5位をキープ。コンストラクターズ・ランキングではヤマハがトップから29ポイント差の3位。チーム・ランキングではMovistar Yamaha MotoGPがトップから43ポイント差の2位につけている。

ヨハン・ザルコが8位獲得! 野佐根航汰は不運な結果
Monster Yamaha Tech3 Teamのヨハン・ザルコは、難しいコンディションのなか8位獲得と健闘。降り続く雨のなか、ポールポジションからスタートしたヨハン・ザルコは序盤、リズムをつかんでトップグループに加わりバトルを展開。その後、少しずつポジションを下げて8位でチェッカーを受けた。

野佐根航汰は、前日のフリープラクティス第4セッションの転倒で右手を骨折した状態で果敢にも決勝に臨んだ。スタート直後にいくつか順位を上げていたが、4ラップ目に転倒してリタイアとなった。

中須賀克行、日本人トップの12位でポイント獲得
これまでのレース活動で経験のない最後列の8列目23番グリッドからスタートしたYAMALUBE YAMAHA FACTORY RACINGの中須賀克行は、 スコット・レディング(ドゥカティ)やサム・ローズ(アプリリア)らとのバトルをしながら徐々に順位を上げ、さらにレース途中でのリタイアライダーも手伝って12位でフィニッシュ。グランプリポイントを4ポイント獲得した。

中須賀克行は今年で連続6回目の日本グランプリ参戦となるが、いずれもポイント獲得権内でゴールしており、その記録を更新することになった。また、2012年にスポット参戦したバレンシアGPでは2位、2011年にスポット参戦したバレンシアGPでは6位に入っており、出場したMotoGPクラスの全レースでポイントを獲得していることになる。

チームはこのあと南半球へ移動。1週間後にフィリップアイランド・サーキットで行われるオーストラリアGPに出場する。

Movistar Yamaha MotoGP
マーベリック・ビニャーレス (9位)
「午前中のセッションの状況からは、15位以内が目標でした。それを考えれば、予想よりも良い結果と言えます。決勝では序盤からプッシュ。必要なリスクをかけてベストを尽くしましたが、いずれにしても今日のこのような状況では、これが精いっぱいでした。今はもう、次のオーストラリアのことを考えています。タイトル獲得のチャンスについては最後までわからないと思いますが、少なくとも、オーストラリアではマシンもタイヤも異なり、間違いなく状況が変わります。大好きなコースなので、とても楽しみにしています」

バレンティーノ・ロッシ (DNF)
「非常に厳しいレースウイークが終わりました。ウエット・コンディションに手間取り力を発揮することができず、セッティングもなかなか思うように進みませんでした。決勝ではA・エスパルガロ(アプリリア)に食らいついていこうとしたのですが、残念ながら転倒という結果に終わってしまいました。シーズンも残り少なくなってきているので、このあとはとにかく良いレースができるよう尽力します。特に来週と再来週は重要で、このなかでできるだけ多くのデータをヤマハにフィードバックし、来年に向けたマシン開発に役立ててもらいたいと思っています」

マッシモ・メレガリ (チームディレクター)
「日本に到着した時点では、このような難しい展開になるとは思っていませんでした。問題解決のために懸命に努力してきましたが、最後まで答えを見つけることはできませんでした。ライダーたちは、ほとんどすべてのセッションでリア・グリップ不足に悩まされ、今日の決勝も同様の状態でしたが、マーベリックとバレンティーノは最後までベストを尽してくれました。依然、難しい課題が残されていますが、次回オーストラリアで、今後のために何らかの解決策を見つけたいと思います」

Monster Yamaha Tech3 Team
ヨハン・ザルコ (8位)
「厳しいレースでした。スタートはうまくいったし、序盤のフィーリングもとてもよかったのですが、リアが少しスライドするような状態でした。それでもなんとかコントロールしながら周回を重ねていきました。一方でフロントの感触はまずまずで、ブレーキングは思い通りでした。何台かに先行され、4番手を走っていたときは、フロントにもう少し自信が持てるようになってからトップを追いかけようと考えていました。しかし想像とは逆の展開になってしまったのです。ブレーキングのフィーリングはずっとよかったにもかかわらず、タイヤを消耗してしまったのです。ストレートではスロットルを慎重にコントロールしてグリップを探しましたが、スピンが収まらず、ライバルたちに抜かれてしまいました。終盤で順位を下げたのは、これが原因です。でもあきらめず、来週のオーストラリアでまたトライしたいと思っています」

野佐根航汰 (DNF)
「今日は痛み止めを打ってウォームアップを走りましたが、その感触から、決勝レースに出場することを決めました。コースコンディションは午前中よりも厳しい状態で、もし怪我がなければ走りきれていたかもしれませんが、転倒リタイアとなり、不完全燃焼で終わってしまいました。このような結果となり、Tech 3、ヤマハ、そしてファンの皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、僕にとってこの3日間は夢のような時間でした。チャンスをくれたチーム・マネージャーのポンシャラルさんとヤマハに感謝します。そしてファンの皆さん、応援ありがとうございました」

エルベ・ポンシャラル (チームマネージャー)
「総合的に見れば、Monster Yamaha Tech3 Teamにとっては順調なレースウイークになったと思います。昨日はヨハン・ザルコがポールポジションを獲得。私たちチームの面々はもちろんですが、モチュールをはじめとするチームのパートナーたちにとっても最高にうれしい出来事でした。このような難しいコンディションになってしまったので、大変なレースになることは始めからわかっていました。コース上にはすでに深い水たまりができていて、雨は一向に止む気配がありませんでしたが、そのような中でヨハンは絶好のスタートを切り、終盤までトップ3にくらいついて行きました。残り5ラップくらいまでは楽に後続を抑えていたのですが、最後の最後でリアタイヤのグリップが落ちてペースが上がらなくなりました。最後は残念な展開になりましたが、8位獲得によって貴重なポイントを手にすることができました。総合的には良いウイークになったと評価しており、支えてくれたヤマハに感謝します。一方の野佐根航汰は、ウイーク初日の金曜日に素晴らしい走りを見せてくれたので、決勝はトップ10入りを期待することとなりました。しかし残念ながらフリープラクティス第4セッションの序盤で転倒し、右手を骨折してしまいました。そのような状態にもかかわらず彼は決してあきらめず、ひと晩のうちに何とか治そうと懸命に治療に励みました。そして今日の午前中のウォームアップ・セッションでは好調でしたし、本人もホーム・グランプリを走りたい気持ちが強かったので出場を決定したのですが、おそらく少し無理があったのでしょう。判断は間違っていなかったと思いますが、怪我の状態が決して良くないことはわかっていましたし、特にハードブレーキングが多いこのコースでは、非常に難しいチャレンジになったことは否めません。その意味で航汰には、とても感謝しています。彼は将来きっと、素晴らしいMotoGPライダーになるでしょう。私たちにとっては、彼をチームに迎えたことは喜ばしい経験でした。次のチャンスでは彼のフル・ポテンシャルを発揮させてあげたいと思います。チームのみんなに感謝し、これから荷物をまとめてオーストラリアへ向かいます。雨が降らないことを望んでいます」

AMALUBE YAMAHA FACTORY RACING
中須賀克行 (12位)
「今大会は本当に苦しかったです。朝のウォームアップ走行で、ようやく自分の走りやすいマシンセットを見つけることができ、さらにファクトリーチームのデータも参考にさせてもらってマシン全体のフィーリングが良くなりました。最後列からのスタートはこれまでのレース活動で経験がないけれど、シグナルが遠くて見づらかったですね。スタート時も、第1コーナーでのライン取りで巻き込まれるのを避けるために、少し引いて様子を見ました。苦しいレースウイークでしたが、ライバルとしっかりとレースすることができましたし、最終的に12位に入ってポイントを獲得。しかも開発ライダーとしては、いいデータも残せたので、昨日までのフラストレーションは解消されました」

鷲見崇宏 監督
「朝からマシンセッティングをいろいろと変えて、ウエットではありましたがコンディションが一定だったのが幸いして、うまく改善することができました。最後列スタートという厳しい状況でしたが、なんとか勝負のできるマシンを中須賀手に渡すことができました。一方で、マシンを開発するという立場では、レースウイークの3日間ともウエットコンディションというのはほとんど記憶にないのですが、そうした環境下でリアルなデータを得ることができたので貴重な3日間となりました。ファクトリーチームそして中須賀選手の走行データとフィーリングを元に、さらなるマシン開発を進めます」

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カテゴリー: F1 / MotoGP