MotoGP ホンダ サンマリノGP
MotoGP 第13戦サンマリノGPが、9月7日(金)~9日(日)の3日間、イタリアのアドリア海に面したミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催される。このサーキットは、2011年のマレーシアGPにおいて、不慮の事故で亡くなったマルコ・シモンチェリ選手に敬意を表し、12年にミサノ・サーキットから現在の名称へと変更された。

ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ(以下ミサノ・サーキット)は、1993年にイタリアGPが開催されたのを最後に、2006年までグランプリの舞台から外れ、サンマリノGPも93年のムジェロを最後に開催が中断されていた。しかし、07年にコースの全面改修を受け、14年ぶりにグランプリの舞台として復活。同時にサンマリノGPも復活し、今年で12年目を迎える。

ミサノ・サーキットは従来左回りのコースだったが、07年の大改修で右回りに変更された。そのときのコース全長は4.180km。08年にはコースの一部が改修され、4.226kmに延長された。

低中速のコーナーが連続するテクニカルコースで、リズミカルな走りを要求される。ホンダ勢としては、直近11年の大会で、10年にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が勝利、15年は“フラッグ・トゥ・フラッグ”の難しいレースとなる中、マルク・マルケス(Repsol Honda Team)が大会初制覇を果たした。16年はペドロサが、6年ぶり2度目の優勝を果たし、昨年はウエットコンディションの中でマルケスが2度目の大会制覇と、Honda勢が3連覇を達成している。以前のサンマリノGPは、シーズンを通じてRC213Vが最も苦手とするサーキットだったが、それを克服した。今年は4年連続の勝利を目指す。

前戦イギリスGPは、雨の影響で大会がキャンセルされた。1980年のオーストリア大会以来、実に38年ぶりのことで、選手たちはもちろん、レースファンにとっても残念なレースウイークとなった。その結果、今年は全19戦を予定していたが、18戦でタイトル争いをすることになり、ここからの7戦、ライダーズタイトル、コンストラクターズタイトル、チームタイトルでリードするHondaは、3冠制覇に向けて全力を尽くすことになる。

前戦イギリスGPがキャンセルになり、第11戦オーストリアGPを終えて総合2位のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)に59点差をつけて総合首位に立つマルケスは、今季6勝目と3度目の大会制覇に挑む。

過去のサンマリノGPでは、10年に125ccクラスで、11年と12年にはMoto2クラスで優勝している。最高峰クラスでは15年に優勝、16年は4位だったが、昨年は、サンマリノGPで優勝したことでタイトル獲得に大きな弾みをつけた。今季は、総合首位をキープすることはもちろん、2位以下にリードを広げることが最大の目標となる。通算6度目のサンマリノGP制覇が期待される。

サンマリノGPを得意とするペドロサは、今季初表彰台獲得に闘志を燃やしている。これまでサンマリノGPでは、09年に3位、10年に優勝、11年に2位、13年と14年が3位と表彰台の常連となっていた。“フラッグ・トゥ・フラッグ”になった15年は9位と低迷したが、16年は大会2度目の勝利。ウエットコンディションになった昨年はタイヤのパフォーマンスを引き出せず14位と苦戦した。今年はシーズン初の表彰台と3度目のサンマリノGP制覇に挑む。

Repsol Honda Teamは、8月下旬にミサノ・サーキットでテストを実施。準備はできている。しかし同サーキットでは、ライバル陣営もテストを実施しているだけに、初日から厳しい戦いになりそうだ。

ホームグランプリとなった前戦イギリスGPがキャンセルになったカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、今大会、その悔しさをぶつける大会となる。昨年の大会はウエットレースで転倒を喫したが、再スタートを切って13位でフィニッシュ。熱い走りでファンを喜ばせた。今年はシーズン2勝目、そして今季2度目の表彰台獲得に挑む。

MotoGPクラスのルーキー勢もミサノで事前テストを行い、今大会に向けて準備を進めている。総合17位でホームグランプリを迎えるフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、今季2度目のQ2進出とスペインGPの9位をしのぐベストリザルトに闘志を燃やしている。総合21位の中上貴晶(IDEMITSU LCR Honda)も、ミサノではMoto2時代に3度表彰台に立っている得意のコース。今大会は4回目のQ2進出とシングルフィニッシュを目指す。総合24位のトーマス・ルティ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も、初ポイント獲得に挑む。

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「ミサノはツィスティでほかのサーキットに比べると低速のサーキット。ブレーキングと加速がとても多いレイアウトです。過去、僕たちとは相性がよく、いい思い出がたくさんあります。次の日曜日もまたいい思い出を増やしたいと思います。昨年はマシンの感触がよく、思ったように走ることができました。今年も金曜日のフリー走行では、いつものメンタルでコースに出たいです。どのような状況にも合わせていく準備はできています。路面のコンディションとグリップを理解して、セッションごとに前進できることを願っています。週末はずっと天気がよく暖かくなることを願っています」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合8位)
「残念ながらホームグランプリだったシルバーストンではレースができませんでした。でもミサノもまた重要なラウンドです。ムジェロとともに、LCR Teamにとってはホームなので、最も忙しいラウンドの一つになります。昨年は指をケガした状態で大会に挑み、ウエットのレースで転倒してしまい、13位でフィニッシュしました。ミサノはあまり得意なサーキットではありませんが、今週末の目標は全く違います。現在チャンピオンシップ8位ですが、レースでは、その順位よりいい結果が出せると思います。表彰台に立つことがいつも最優先ですが、ポイントを獲得することが今はとても重要です」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合11位)
「ミサノではいい天気になって、すべてのセッションをうまく活用できることを願っています。このサーキットは、少しバンピーですが好きです。グリップレベルは、午前中と午後のセッションでかなり変わることがあり、難しくなります。タイヤの選択はとても重要です。いつもとても熱狂的なファンがスタンドを埋めますが、この雰囲気も好きですね。グランドスタンドいっぱいの観客の中で戦うことが楽しみです」

フランコ・モルビデリ(MotoGP 総合17位)
「ミサノはとてもよく知っているサーキットなのでとても楽しみです。すでにMotoGPマシンでテストも行ったので、重要なデータを集めることができました。Hondaのパッケージで経験を積むことができたので、ポジティブな週末になると思います。応援に来てくれるすべてのファンのためにできる限りいい結果を出せるようにベストを尽くします。力強い週末になることを願っています」

中上貴晶(MotoGP 総合21位)
「正直、シルバーストンでレースができなかったので、早くRCVに乗りたいと思っています。ミサノは僕にとって特別な週末になると思います。まずはいい思い出があります。Moto2クラスで3度表彰台に上がりました。でもいつも言っているようにMotoGPマシンで走るとすべてのサーキットは変わってきます。2010年にミサノでショーヤ(富沢祥也選手)が亡くなったので、僕にとっては特別なレースになります。僕たちは友達で、日本で一緒にレ―スをしていました。ミサノへ行くたびに彼のことを思いながら戦っています。今週末はホームグランプリを迎えるチームにとって、とても重要な週末になります」

トーマス・ルティ(MotoGP 総合24位)
「ミサノは好きなサーキットです。シルバーストンは悪天候のため、難しい状況となりました。今大会は何事もなく週末を過ごせることを願っています。ミサノではテストを行いました。一日のみのテストでしたが、興味深いセッションとなりました。MotoGPマシンで走ったことのあるサーキットでレースウイークをスタートします。テストのときはとても暑かったので、そのときと同じようなコンディションになり、テストのインフォメーションが役に立つことを願っています」

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カテゴリー: F1 / MotoGP