MotoGP:ホンダ、マルク・マルケスの代役にステファン・ブラドルを起用
MotoGP 第3戦アメリカズGPが、4月14日(金)~16日(日)の3日間、米国テキサス州・オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催される。2020年は新型コロナ感染拡大の影響で大会がキャンセルされたが、21年は10月に、22年からは例年通り4月の開催となり、今年で10回目を迎える。

今大会は、開幕戦ポルトガルGPの決勝レースで転倒を喫し、右手親指を骨折したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、前戦アルゼンチンGPに続き欠場する。

マルケスは、スペイン・マドリードのルーバー・インターナショナル病院で、イグナシオ・ロジャー・デ・オニャ医師を筆頭とする医療チームの診察を受け、CATスキャンの結果、第一中手骨がまだ治癒過程にあることを確認した。そのため、Repsol Honda Team、HRCと協議した結果、不必要なリスクを回避してケガの完治を優先することし、今大会の欠場を決めた。マルケスは一日も早い完全復帰を目指し、自宅でのリハビリテーションを続けていく。

マルケスの欠場は、アメリカズGPですばらしいリザルトを残してきたことを知る多くのファンにとって残念なニュースとなった。マルケスは、アメリカズGP初開催となった13年に最高峰クラスデビュー2戦目にして初のポールポジションを獲得。この記録は1982年のスペインGP(ハラマ)でフレディ・スペンサーが樹立した20歳153日という当時の最年少記録を20歳62日で更新するものだった(その後19年にファビオ・クアルタラロによって更新)。翌日の決勝では同じく1982年のベルギーGPでスペンサーが樹立した20歳196日という初優勝記録を20歳63日で更新。最高峰クラス最年少優勝記録を実に31年ぶりに塗り替えた。さらにこの年は、シーズン6勝を挙げてデビューシーズンにしてタイトルを獲得。これもまたスペンサーが83年に21歳258日で達成した史上最年少でのタイトル獲得を20歳266日で達成し、30年ぶりに記録を塗り替えた。

以来、マルク・マルケスにとってCOTAは最も相性のいいサーキットの一つで、初開催の13年から19年まで7年連続でPP獲得を達成する。19年の決勝では首位を独走するも転倒リタイアに終わり7連勝を達成なかったが、コロナ禍の中で2年ぶりの開催となった21年には、3年ぶり7回目の優勝を達成している。昨年はスタートで大きく出遅れながらも、すばらしい追い上げを見せて6位でフィニッシュ。表彰台には立てませんだったが、記憶に残るレースだった。

今大会は、マルケスに代わり、テストライダーのステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)が出場する。ブラドルは、スペインのヘレスで10日、11日の2日間にわたってテストを行い、テキサスへ移動した。これまでCOTAでは16年に出場して10位という結果を残している。それ以来の出場となるが、マルケスの代役として、しっかり仕事をこなす意気込みだ。

チームメートのジョアン・ミル(Repsol Honda Team)は、前戦アルゼンチンGPのスプリントレースで首と足首を負傷し、決勝をキャンセルした。今大会は体調もよくなり、レースに復帰する。COTAでミルは、Moto2時代の18年に4位、MotoGPクラスでは19年17位、21年8位、そして昨年は4位と確実にコース攻略を果たしリザルトを上げて来た。今大会は今季ベストを目指す。

今季LCR Honda CASTROLに加入し、開幕戦ポルトガルGPで10位、第2戦アルゼンチンGPで9位と確実にポイントを獲得してきたアレックス・リンスが、Honda RC213Vで初の表彰台獲得に挑む。リンスにとって、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)は得意とするサーキットの一つ。MotoGP参戦3年目の19年にCOTAでMotoGPクラス初優勝を達成。21年は惜しくも4位だったが、昨年は2位表彰台獲得と、近年は優勝争いに加わってきた。

開幕からの2戦、リンスは、ドライでもウエットでも確実にセットアップを進めてきた。前戦アルゼンチンGPでは、ウエットコンディションの中で、ヘルメットのバイザーに問題が発生し、視界不良でポジションを落とし9位と悔しい結果に終わっている。今大会は、その悔しさをぶつけ、今季初表彰台、Honda移籍後初優勝を目指す。

チームメートの中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)も、シーズンを通して得意とするCOTAのレースに闘志を燃やしている。今季は開幕戦ポルトガルGPで12位、第2戦アルゼンチンGPではウエットレースの中で視界の問題に苦しみ13位とポジションを落としたが、アルゼンチンGPではドライ&ウエットでセットアップを進めることができた。今大会はセットアップをさらに進め、上位を目指す。

中上は、これまでCOTAでいいレースをしてきた。21年は予選5番手。決勝日朝のウォームアップでは最速タイムを記録し、決勝レースも好スタートを決めて上位につけた。しかし、バックストレートのブレーキングでバンプに足元をすくわれて転倒、再スタートするが17位と悔しい結果に終わっている。その雪辱に挑んだ昨年はセットアップが決まらず14位だったが、今年は今季ベストを目指す。

COTAは、一周5.513kmでアップダウンに富んだハイスピード&テクニカルコース。ハードブレーキングからの加速、そして中高速コーナーが連続するなど、マシンの総合力とライダーのスキルが求められる難易度の高いサーキット。マルク・マルケスは欠場するが、Honda勢の走りが大きな注目を集めることになりそうだ。

ジョアン・ミル(Repsol Honda Team)
「アルゼンチンの転倒から完全に回復し、トレーニングも行えるようになりました。今大会から復帰します。昨年はオースティンでいいレースができました。Hondaはこれまでオースティンで、とてもすばらしいリザルトを残しています。今大会は、これまでの課題を解消し、安定した走りをするのが目標です。レースウイークを完ぺきにこなすことができれば、多くのことを学び、また新たな一歩を踏み出すことができると思います。スプリント、そして決勝と、2つのレースは、RC213Vを理解する絶好の機会になると思いま」

ステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)
「まず最初に、一日も早いマルクの回復を祈りたいです。ここへ来る前に、ヘレスで数日間テストを行いました。いろいろなテストメニューを消化し、オースティンに到着しました。COTAでレースをしたのは2016年が最後なので、これまでとは全く異なるコースで23年型RC213Vを走らせるのはとても興味深いことです。多くのデータを収集し前進したいです」

アレックス・リンス(LCR Honda CASTROL)
「オースティンに戻ってこられてうれしいです。オースティンはとても好きなサーキットで、これまではいつもいいレースができました。前回のアルゼンチンは、もっといいポジションでレースを終えることができたと思います。今大会はその悔しさをぶつけて、いいレースにしたいです」

中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)
「COTAは、ライダーにとってもエンジニアにとっても、過酷なサーキットです。これまでの大会では、バンピーな路面に苦戦したことがあるので、今年の路面がどうなっているのか見てみたいです。前戦のアルゼンチンではポイントを獲得することができましたが、納得できる結果ではありませんでした。前戦の成果も活かしながら、さらに上位を目指したいです」

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カテゴリー: F1 / MotoGP