MotoGP:スズキ 2021年 第14戦 サンマリノGP 決勝レポート
サンマリノGPはミルが粘りの走りで6位獲得 
天候が心配されていたサンマリノGP決勝日は、MotoGP決勝前にほんの少し雨粒が落ちただけで、その後は雨に見舞われることなく、27周の決勝はドライレースで行われた。MotoGPファンに人気が高いミザノワールドサーキット/マルコ・シモンチェリには25,000人の熱狂的ファンが集結し、スタート前のサーキットは色とりどりのスモークに包まれレースがスタートした。

9番手グリッド、11番手グリッドからスタートを切ったアレックス・リンス、ジョアン・ミルは、オープニングラップでそれぞれひとつずつポジションを上げ、さらなるポジションアップを図るためにプッシュを続ける。4周目にはリンスが6番手まで一気に順位を上げ、その直後にミルも8番手にポジションアップする。

11周目、リンスにトラックリミットの警告が表示されるが、マシンのフィーリングに絶対的自信を持っていたリンスはその後もスピードを緩めることなくプッシュを続ける。最終セクター、特に14コーナーでのオーバーテイクを得意とするリンスはここでマルク・マルケス(ホンダ)を抜き去って5番手に浮上。その後エネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)の後ろにつけたリンスはトップ5圏内フィニッシュを目指してバスティアニーニを追う形となるが、18周目の1コーナーで転倒。怪我は免れるも再スタートは切ることができず、痛恨のリタイヤとなった。

一方のミルは序盤に予想以上の苦戦となるが諦めることなく徐々にペースを上げ、終盤を迎えた21周目に6番手までポジションを上げる。ミルはそこから猛チャージを開始し、残り2周で4位争いを繰り広げていたジャック・ミラー(ドゥカティ)とマルク・マルケスを捉え、4位争いに加わる。3台は最終ラップ最終コーナーまで何度も順位を入れ替えながら激しいバトルを繰り返し、ミルは5位でチェッカーを受けたが、最終ラップにトラックリミットを僅かに超えたことによりペナルティーを課せられ、ひとつポジションを落として6位となった。

ウィークを通して好調を維持してきたチームスズキエクスターにとっては期待通りの結果を得ることはできなかったものの、ミルはチャンピオンシップランキングで3位を維持、チームランキング、コンストラクターランキングも同様にそれぞれ3位を維持している。チームはこの後、火曜、水曜と2日間同サーキットにてテストを行い、次戦アメリカズGPに向けての準備を行う。

佐原伸一 プロジェクトリーダー&チームディレクター
「予選結果は良くありませんでしたが、決勝日朝のセッション結果が示す通り、この週末を通してジョアン、アレックスともにレースペースには自信を持っており、決勝では早い段階でポジションを上げていけると考えていました。しかしジョアンはレース前半で良いマシンフィーリングが得られなかったためにペースを上げることができず、後半にフィーリングが改善するまでポジションアップができなかったことが残念でしたが、ライダーとしてできることを全てやってくれたと思います。一方でアレックスはマシンフィーリングとしては良く、最終的には表彰台を狙えるペースだったので、転倒リタイヤとなったことは非常に悔しいです。今回得られたデータを分析し、マシンセッティングやレースの組み立てについて考え、残りシーズンのすべてのレースでトップ争いできるように取り組みたいと思います。」

河内 健 テクニカルマネージャー
「決勝タイヤでのペースは昨日のFP4でも今朝のウォームアップでも良かったのですが、決勝でのペースは同じようには行きませんでした。他のライバル達が良いレースをしていたのですが、我々はそこに追いつくことができず非常に悔しい思いです。序盤にペースを上げることができなかったジョアンはレース終盤で追い上げを見せてくれたのですが、不運にも最終ラップでペナルティーを課せられてひとつポジションを落としてしまい、またレース途中まで良いペースを保っていたアレックスは残念ながら転倒リタイヤという結果となってしまいました。スズキにとって非常に難しく、厳しい一日でしたが、もう一度このサーキットでレースがあるので、今日の結果をしっかり分析して再度チャレンジしたいと思います。」

ジョアン・ミル
「正直こんな結果で終わるなんて予想もしていなかったよ。このウィーク中ずっと強い走りができていたのに、まさかレースでこんなに苦戦するなんて思ってもいなかった。レース序盤はフィーリングがあまり良くなくて攻めることができなかったんだけど、周回を重ねる毎にフィーリングはどんどん良くなっていって徐々にペースも上がっていった。でも序盤のロスが大きすぎて、トップ争いに絡むところまでは行けなかったよ。一番悔しいのは自分たちのポテンシャルをちゃんと出すことができていないことで、残りのレースでは必ずそのポテンシャルを証明する走りをしたいと思っている。最終ラップのマルク・マルケスとジャック・ミラーとの3台での4位争いは何度も順位が入れ替わる激しいバトルで、正直すごくエキサイティングだったね。熱くなりすぎてトラックリミットからはみ出してしまい、ペナルティーで順位を一つ落としてしまったけど、良いバトルができたよ。次戦のオースチンは楽しいサーキットだから、次こそ見せ場を作りたいね。」

アレックス・リンス
「幸い転倒による怪我はなかったけど、良いペースで走れていただけに残念でならない。レースを通してペースも安定していたし、フィーリングも良かったからまだ行ける自信もあったしね。ただ今日はエネア・バスティアニーニのペースがかなり良くて、ブレーキングも自分より優れていたから、彼についていくためにプッシュしたのは事実だよ。序盤になかなか順位を上げることができなかったからトップグループとの差が広がってしまい、エネア・バスティアニーニの後ろについてからは可能な限り上位でゴールできるように限界ぎりぎりの走りをしていて転倒してしまった。でも決して限界を超えた走りではなかったから、転倒に関してはじっくりデータを見て分析するよ。調子が良かっただけに悔しいけど、怪我がなかったから予定通りテストもできるし、次戦のオースチンは良い思い出のあるサーキットだから、しっかり準備して臨みたいと思っている。」

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / MotoGP