MotoGP:スズキ 2021年 第10戦 スティリアGP 予選レポート
スズキがリヤデバイスを初搭載し、ミルが予選でセカンドローを獲得
スティリアGP土曜日の朝、スズキがついに待望の新しいライドハイトアジャスター(車高の調整を行うデバイス)をサーキットデビューさせた。

このデバイス搭載により、マシンスタビリティー、ウイリー制御、エンジン出力等がアシストされることとなり、初めてこのデバイスのプロトタイプを搭載したマシンで走行したチームスズキエクスターのライダーたちはすぐに好感触を得る。

ジョアン・ミル、アレックス・リンス共に予選の結果に大きな影響をもたらす午前のFP3でこのデバイスを試み、ミルはセッション開始直後にいきなりトップタイムを記録。最終的にミル5番手、リンス13番手でこのセッションを終え、リンスはトップ10タイムと僅差ながら惜しくもダイレクトQ2行きを逃す。

午後のFP4は、セッションが開始され各ライダーがピットアウトした直後にミルが9コーナーで転倒というまさかの展開からスタート。幸いライダーに怪我はなく、マシンのダメージも少なかったため約15分後にミルは再びコースに戻りタイムアタックを開始。ミルはすぐに安定した速いペースを刻み4番手タイムを記録。一方のリンスはこのセッションでマシンセットアップを集中して行い、21番手でセッションを終えた。

Q2行きを賭けて行われる15分間のQ1セッションではリンスが序盤から激しくプッシュ、すぐにタイムシートのトップに立つ。2度目のピットアウトでのタイムアタックが続いてもリンスが序盤にマークしたタイムはセッション終盤まで2番手タイムを維持していたが、チェッカーが振られる直前に3番手まで順位を落として、リンスは僅かな差で悔しいQ1敗退となり、明日の決勝は5列目13番手からスタートとなる。

スティリアGP初日から好調を維持するミルはQ2でも勢いに乗り、セッションスタート後すぐに速いタイムをマーク。Q2セッション中ほぼトップ3タイムを維持するが終盤に5番手まで順位を下げたが、スティリアGPは今シーズン自身予選最上位のセカンドローからのスタートになり、予選位置がひとつの鍵となるこのサーキットで大きなアドバンテージを得ることとなった。

佐原伸一 プロジェクトリーダー&チームディレクター
「今日はジョアンとアレックス二人ともライドハイトアジャスターを初めて試しました。スズキにとって新しいシステムのため多少の慣れは必要でしたが作動は問題なく、特にジョアンはデバイスの効果を感じてFP3でQ2にダイレクトに進むことができるラップタイムをマークしました。更にQ2でも2列目5番手の決勝グリッドを確保し、かなりデバイスの使い方を心得てきたようです。アレックスはFP3でタイムアタックのタイミングが合わず予選はQ1から臨むことになり、Q1でもほんのわずかのタイム差でQ2行きを逃し決勝は5列目からのスタートとなります。しかしながら、明日のレースに向けてマシンセッティングは確認できているので心配はしていません。明日は天気が崩れるとの予報も聞いていますが、ドライでもウエットでもスタートをしっかり決めてトップ争いができるよう準備します。」

ジョアン・ミル
「今のところかなり順調に進んでいると思うよ。初日の昨日もかなり良いペースで走れたし、2日目の今日も変わらず良いフィーリングで走れている。FP4で限界を確認しようと思って走っていた時にちょっとハイスピードで転倒してしまったけど、幸い怪我もなかったしマシンのダメージも少なかったからラッキーだった。まだまだ改善の余地はあると思っているけど、予選で5番手を獲得できたことは満足だし、チームが本当に良い仕事をしてくれているお陰だと思っている。明日の決勝はまた激しい争いになると予想しているけど、なんとかトップグループで最後までレースできるようにしたいね。今日初めて試したリヤデバイスはかなり興味深かった。性能をさらに引き出すためにはもうちょっと慣れも必要だけど、まだプロトタイプなのにすでにこれだけの性能を発揮できていることに感動しているし、なによりもやっと手に入れることができたことがとても嬉しいよ。」

アレックス・リンス
「今日はFP4に重点を置いてマシンセットアップや初めてトライすることになったリヤデバイスを最適に使用する方法を学んだり、デバイスを搭載したマシン、現状のままのマシンを比較したりと色々なことを試したんだ。デバイスに関しては搭載している方がウイリーも少ないし、マシンもよりうまく機能することが確認できて予選を楽しみにしていたのに、Q1のタイムアタックでほんの僅差でQ2行きを逃してしまい、それが本当に悔やまれる。明日の天気がどうなるのか分からないけど、もし大雨になったらかなりチャレンジングなレースになるだろうね。雨になるのか晴れになるのかも分からない以上、現時点でレースペースを予測することすら不可能だけど、どんなコンディションであれひとりでも多くのライダーをオーバーテイクしてチームに良い結果を持ち帰ることができるようベストを尽くすよ。」

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カテゴリー: F1 / MotoGP