MotoGP:ホンダ 2021年 第3戦 ポルトガルGP 決勝レポート
MotoGP 第3戦ポルトガルGPの決勝は、終日青空が広がり、気温も25℃とレースウイークで最も暖かい絶好のコンディションとなり、今大会がケガからの復帰戦となったマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が7位、予選13番手のアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が粘り強く追い上げて8位、金曜日のフリー走行で転倒を喫し、その影響で土曜日の予選をキャンセルした中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が21番グリッドからすばらしい追い上げを見せて10位でフィニッシュした。

復帰戦のマルク・マルケスが7位。アレックス・マルケス8位。中上貴晶10位とHonda勢の3選手がトップ10フィニッシュを果たす
昨年7月のスペインGPで右腕上腕を骨折し、連戦となったアンダルシアGPのフリー走行と予選に出場して以来、9カ月、15戦ぶりの出場となったマルク・マルケスは、RC213Vのフィーリングを取り戻すのは順調だったが、長いブランクの影響で右腕に疲労がたまり、苦しい戦いを強いられた。朝のウォームアップはマシンの確認程度の走行でわずか4ラップと右腕のパワーを温存し、決勝に備えた。

そして迎えた決勝では、6番グリッドから好スタートを切ってオープニングラップ4番手へと浮上するが、3コーナーでフロントがスライドしタイムロス、7番手へとポジションを落とす。その後も、着実に走ることを心がけて3周目には9番手に後退したが、その後、ポジションを上げて7位でフィニッシュした。今大会は優勝したファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)から13秒差というもので、3度の手術を行い9カ月のブランクがあったとは思えない、すばらしい復帰戦となった。

これからは、右腕の回復につれてペースも成績も上がっていくことは間違いなく、次戦スペインGPでは、本来の走りにさらに近づくことが期待される。

マルク・マルケスの弟のアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が、13番グリッドから8位でフィニッシュした。オープニングラップはグリッドと同じ13番手。序盤は大混戦の中でなかなか前に出ることができなかったが、ミゲル・オリベイラ(KTM)、ルカ・マリーニ(ドゥカティ)らをパス、転倒者もあって着実にポジションを上げる。中盤には兄マルク・マルケスを視野に8番手を走行し25周のレースでチェッカーを受けた。カタールの2戦はともに転倒リタイアに終わっている。その雪辱に向けて、まずは一歩を踏み出した。

金曜日のフリー走行で激しく転倒、右鎖骨の付け根を痛め、土曜日の予選をキャンセルしたことで最後尾グリッドの21番手から決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が10位でフィニッシュした。前日のフリー走行同様に痛み止めの注射を打って決勝に挑んだ中上は絶好のスタートを切ってオープニングラップ14番手に浮上する。中盤まではバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、エネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)らとグループを形成し、バスティアニーニには先行を許すが、10位でフィニッシュした。予選をキャンセルしたときに「トップ10を走れるスピードはある。体調次第」とコメントしていたが、右鎖骨の痛みを堪え今季初ポイント獲得を果たした。

Repsol Honda Teamで3戦目を迎えるポル・エスパルガロは、14番グリッドから決勝に挑みましたが、4周を終えてピットに戻りリタイアとなった。

マルク・マルケス(Repsol Honda Team)
「今週末はいろいろな感情がありました。ピットに戻ったとき、痛みだけではなく、言葉では言い表せないけれど、どうしても抑えられない感情が爆発しました。みんなのサポートを本当に感じました。そして、家族と友人のサポートは特別でした。再びMotoGPライダーになることができたと感じられたことはとても重要なことです。すばらしい気分です。今日のレースは楽しめませんでした。かなり苦戦しましたが、これは回復の重要なステップです。一番の目標だったレース完走を達成できました。ポジションは関係ありませんが、トップと13秒差というのは不可能な夢でした。レース中盤で単独走行しているときのフィーリングがベストだったと思います。レースのスタートは久しぶりの感覚だったのでショックを受けました。終盤はとにかくフィニッシュすることだけを考えていました。次はヘレスへ向けてがんばります」

アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)
「8位はいい結果です。チャンピオンシップで大事なポイントを獲得することができました。カタールでは、テストとレースでチームが最高の仕事をしてくれたにもかかわらず、両方のレースで完走できませんでした。今日はレースで完走することが一番の目標でした。まだ前進できることは分かっていますが、全体的には満足できるレースでした。今日の仕事を誇りに思います。これがいい流れのスタートであることを願っています。今後はどんどんよくしていきたいです。ポルトガルGPにおけるチームのすべての仕事に感謝したいです。しっかり充電をして、次のヘレスに集中したいです」

中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)
「最後尾からのスタートで、しかも身体を痛めていたので今週末はあまり周回できず、とてもハードなレースでした。レースに挑戦できてとてもうれしいです。たくさんのライダーたちをオーバーテイクすることができました。とても難しいことですが、スタートから力強い走りにトライしました。最後にはレースを楽しむことができました。まさか10位を獲得できるとは思っていませんでした。今大会は1ポイント獲得だけでも満足したと思いますが、10位でフィニッシュできたので、とてもよかったです。ヘレスに向けて身体を休めたいです。これが今は一番大事なことです。クリニカモバイルに感謝したいです。ここ数日彼らは最高の仕事をしてくれました。またチームにも感謝したいです。彼らのサポートとピットの雰囲気がこの結果を可能にしてくれたと思います」

ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)
「残念ながら今日はテクニカルな問題がありました。このようなことは起こるものです。今日のレースはとても短いものでしたが、限界でレースをしているときは起きる出来事です。ミスや問題から学び、強くなって戻ってきます。気持ちを切り替えてヘレスに集中します。ステファン(ブラドル)のおかげでヘレスはたくさんのデータがあります。引き続き仕事に取り組み、運を見つけたいです。そして今日の問題は今後起きないことを願っています。強くなり続けます。チームで成長し、前進していきます。次のレースウイークがスムーズに進むことを願っています」

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カテゴリー: F1 / MotoGP