「メルセデスF1は2014年にどれだけエンジン性能を落とすか議論していた」とパディ・ロウ
メルセデスF1の元テクニカルディレクターであるパディ・ロウは、ハイブリッド時代の初年度となる2014年にF1エンジンの大きすぎるアドバンテージを隠すことを余儀なくされていたと明かした。

ハイブリッド時代のスタートで、メルセデスのF1パワーユニットはライバルよりも優位に立っていた。メルセデスF1のエンジニアは、2014年にF1に導入された新しい1.6リッター V6ターボハイブリッドのテクノロジーを完全に習得していた。

だが、メルセデスF1のアドバンテージを非常に大きかったため、利益を損なう措置に繋がることを恐れ、ライバルに対する優位性を精査し、エンジン性能を偽装していたとパディ・ロウは語った。

「バーニー(エクレストン)が『これはすべて悪夢だ。このエンジンは酷い』と走り回っていた。まあ、メルセデスが馬鹿馬鹿しいほど良く見えたなら、そうなるだろうなと思ったよ」とパディ・ロウは Beyond the Grid で語った。

「トトとダイムラーの取締役会は、見栄えが良すぎることによるネガティブな政治性を心配していた」

「予選では、Q1とQ2でエンジンのパワーを上げることは決してなかった。ある種、アイドルモードで走っていた。その後、Q3でエンジンをどれだけ上げるかが議論される」

「トト(ヴォルフ/チーム代表)から『それでは多すぎる。多すぎだ』と反論された。私は『だが、ポールを取らなければ、我々は間抜けな集団に見えてしまうるだろう』と考えていたよ」

「その仕事を成し遂げるにはどれくらいの数値を選ぶべきかが重要だった。間違った方法でミスを犯したくないことは分かっていた。それが土曜日の午後の議論の大きな部分だった。素敵な話し合いだったね」

「実際、それはかなり長い間続いた。2014年のほとんどを通して、あのエンジンが予選でフルパワーになることはなかった」

2014年はメルセデスF1とルイス・ハミルトンの支配のはじまりの年となった。メルセデスF1は19戦のうち16勝を挙げ、ルイス・ハミルトンがチームメイトのニコ・ロズベルグを破ってタイトルを獲得した。

メルセデスF1はシーズンを通してエンジンの優位性から大きな恩恵を受けたが、パディ・ロウは、メルセデスW05も非常に効率的な空力を誇っていたと語る。

「良いマシンでもあった」とパディ・ロウは付け加えた。

「エンジンだけではなかった。空力も素晴らしかったし、実際に誰よりも優れていた。すべてのデータをエンジンで補正するために空力を追求していた。あのマシンは、エンジンを除いても、どのマシンよりも優れていた」

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カテゴリー: F1 / メルセデスF1