マクラーレンF1、メルセデスPU圧縮比論争を一蹴「典型的なF1の政治」
マクラーレンF1のCEOであるザク・ブラウンは、メルセデスとそのパワーユニットの圧縮比を巡る一連の議論について、「典型的なF1の政治だ」と語り、問題視する声に与しない姿勢を明確にしている。

2026年F1レギュレーションでは、V6内燃エンジンの圧縮比が16:1に制限されている。これはシリンダー内で空気と燃料の混合気をどれだけ圧縮できるかを示す数値であり、アウディのような新規参入メーカーでも開発しやすい環境を整えることを目的の一つとして導入された。

しかし、アウディ、ホンダ、フェラーリは、メルセデスがこの16:1という制限を、FIAが計測を行う「冷間かつ静的な状態」では遵守しつつ、実際の走行中や高温状態では事実上それを超えるような挙動を示す巧妙な手法を見出したのではないかと疑っている。これにより、メルセデスは大きな性能上のアドバンテージを得ているのではないか、というのが彼らの主張だ。

一方でメルセデス側は、自社のパワーユニットは完全に合法であり、すべての規定を満たしていると強く主張している。

マクラーレンは、ワークスチームであるメルセデスに加え、ウィリアムズ、アルピーヌと並ぶメルセデス製パワーユニットのユーザーの一つである。その立場にあるブラウンは、ライバルによる批判を政治的な駆け引きに過ぎないとして切り捨てた。

「これは典型的なF1の政治だ。エンジンは設計され、規則に完全に適合している」とブラウンは、2026年F1マシン『MCL40』の発表の場で語った。

「このスポーツとはそういうものだ。過去に見てきたダブルディフューザーのようなものと何も変わらない。あれも規則に適合していた」

さらにブラウンは、ライバルが主張するほどの決定的な性能差は存在しないとの見解を示した。

「競争相手が言うほどの大きなアドバンテージがあるとは思っていない。ただし、彼らの仕事は、少しでも有利に見える点を取り上げ、それをニュースにすることだ。しかし現実として、このエンジンは規則に完全に準拠しており、すべてのテストにも合格している。そして、メルセデスHPPは良い仕事をしたと思っている」

マクラーレン メルセデス 圧縮比

この問題は、FIAおよびF1のパワーユニット諮問委員会(PUAC)で詳細に議論されてきた。そこでは、エンジンが初めて暖機された後に測定を行う案や、走行中の挙動を把握するために追加センサーを使用する案など、踏み込んだ対策も検討された。

ただし、FIAのテスト手順の変更やパワーユニット規定の修正を行うには、通常のガバナンス手続きを経る必要があり、5つのメーカーのうち4社に加え、FIAと商業権保有者であるFOMの支持という「特別多数決」が求められる。かつて同様の解釈で利益を得ていると考えられていたレッドブル・フォード・パワートレインズも、その変更に賛成票を投じる必要がある。

FIAは、この論争が2026年シーズンまで長引くことを避けたい考えだが、3月のメルボルン開幕戦を前に、メルセデス陣営が対応不可能な変更を強いる可能性のある短期的な修正が実現する見通しは、依然として低いとみられている。

それでもブラウンは、「メルセデス勢がオーストラリアGPに出場できなくなるのではないか」という悲観論には与していない。

「オーストラリアのグリッドにメルセデスのチームがいない、なんてことは想像できない」とブラウンは述べた。

「我々はそういった議論の中身を把握していないし、パワーユニットの観点から、規則を変えるために何が必要なのかも分からない。ただ、オーストラリアのグリッドには、すべてのメルセデス勢が並ぶと確信している」

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / メルセデスF1