マクラーレンF1の冷却技術は違反か? FIAがリアブレーキを詳細検査
マクラーレンのMCL39が、F1マイアミGP後にFIAの詳細検査対象として選ばれ、リアブレーキシステムが精密に調査されていたことが明らかになった。

この調査は、通常のレース後車検とは異なり、上位10台のうちから1台を選んで実施される「詳細技術検査」の一環で、FIAの技術代表ジョー・バウアーによって行われる。

たとえば、今年のサウジアラビアGPではマックス・フェルスタッペンのレッドブルが選ばれ、エンジンのエアインテークやオイル・冷却システム、過給空気冷却装置に加え、標準ECUへのセンサーや配線の接続状況などが検査された。

マイアミGPではマクラーレンのMCL39が検査対象に選ばれ、通常よりも踏み込んだ調査が実施された。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリのどちらのマシンが対象だったかは明らかにされていない。

FIAはこのとき、MCL39のリアブレーキシステムに特に注目し、徹底的なチェックを行ったとされる。この領域は他チームにとっても大きな関心事となっており、マクラーレンがタイヤ温度をうまくコントロールできている要因として注目を集めている。

マクラーレンの冷却構造に他チームが疑念
FIAがこうした精密調査を行う基準は明確ではないが、過去の例を見る限り、目覚ましいパフォーマンス向上や、他チームから寄せられる情報に基づいて調査対象が選ばれている。今回のケースもその一環と見られる。

検査結果はまだ公表されておらず、来週のエミリア・ロマーニャGPの水曜日に発表される予定だ。ただし、現時点でFIA技術代表からスチュワードへの報告がなされていないことを踏まえると、重大な技術規則違反は確認されていない可能性が高い。

なお、今回検査されたパーツや技術の詳細が明かされることはない。すべての項目が技術規定を満たしていた場合、合法性の確認という形式的な発表のみにとどまり、さらなる技術的な情報の公開は行われない。

複数の報道によると、マクラーレンのリアブレーキドラムの冷却構造に関して、明確なアドバンテージが存在するのではないかと懸念する声が他チームから上がっていたという。

ドイツの『Auto Motor und Sport』は、レッドブルがFIAに対して、マクラーレンのブレーキの冷却が他車より優れていることを示す温度分布スキャン画像を提出したと報じている。

マイアミGPでは、マクラーレンが1-2フィニッシュを達成し、2位以下に30秒以上の差をつけて勝利した。この結果を受け、チーム代表アンドレア・ステラは、冷却性能を含めた同チームのエンジニアリングの卓越性を強調した。

「タイヤにとって厳しい条件、特にオーバーヒートのリスクが高い状況では、我々のマシンはタイヤを最適な温度レンジに保つことができている。非常に優れたエンジニアリングの成果だ」とステラは語る。

「我々は、タイヤ挙動に影響を与えるあらゆる要素を包括的に分析し、それらを効果的に設計に落とし込んできた。タイヤの扱いという、F1において今なお“ブラックアート”とされる分野で、チーム全体が力を発揮した結果だ」

「ドライバーたちもこのプロセスに貢献しており、チームとして非常に誇りに思っている」

また、冷却システムに関しては次のように語っている。

「特に高温のコンディションでは、我々のマシンにおけるもう一つの特徴――冷却システム――が非常によく機能している。マクラーレンのボディワークは比較的閉じた構造だが、その中で効率的な冷却レイアウトがなされている」

「こうした要素が組み合わさることで、マクラーレンのエンジニアリングは競争優位を築けるレベルにまで達している」

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / FIA(国際自動車連盟)