マクラーレンとホンダの決別を軸に動く複雑な交渉と舞台裏
マクラーレンとホンダの決別。その動きを軸にF1の舞台裏で複雑な交渉が行われていると報じられている。
マクラーレンは、長年メルセデスとワークス関係を築いてエンジンを使用してきた。しかし、メルセデスは2010年からワークスチームとしてF1に参戦。マクラーレンはカスタマーチームに“格下げ”となった。
2013年、タイトル獲得にはエンジンメーカーとのワークス関係が必要だと考えた当時マクラーレンのCEOであるロン・デニスは、2015年まで契約が残っていたメルセデスとのエンジン供給契約を1年前倒しして2014年で終了。2015年からホンダをF1に復活させ、ワークスパートナーとしてエンジンの供給を受けることを発表。『マクラーレン・ホンダ』の名前がF1に復活することになった。
しかし、2014年にF1に導入された複雑なV6ターボ“パワーユニット”で他チームより実戦での1年の遅れがあったホンダは、初年度から信頼性とパフォーマンス不足に苦戦。2016年はやや戦闘力を増したものの、3年目となる今年はコンセプトを一新させた新型パワーユニットにプレシーズンからトラブルが多発。3月の時点でマクラーレンがメルセデスにパワーユニット供給を打診したと報じられた。
そして、6月のF1カナダGPでホンダが約束していたとされるアップグレードを投入できなかったことから両者の関係は再び悪化。7月にはマクラーレンが歴史的なライバルであるフェラーリにパワーユニット供給を打診したとも報じられた。
しかし、メルセデスとフェラーリはマクラーレンへのパワーユニット供給を拒否。ホンダ以外のエンジンメーカーはルノーだけとなった。
夏休みが明け、マクラーレン・ホンダは初年度の成績を下回る状況。8月に入るとルノーがマクラーレンと交渉を行っていることを認めた。
また、ホンダは3月に2018年からザウバーにパワーユニットを供給することを発表。だが、ザウバーは8月のF1ハンガリーGP前に提携の白紙化を発表。その理由をパワーユニットの供給を受けなければならないマクラーレンとホンダの状況が不透明だと述べ、マクラーレンとホンダの決別の噂が熱を帯びてきた。
そして、前戦F1イタリアGPでは、マクラーレン、ホンダ、ルノー、そしてトロ・ロッソ&レッドブル、さらにはFIAとF1ノオーナーであるリバティメディアが絡みそれぞれの当事者との交渉が行われた。
マクラーレンはルノーとの契約を希望している。レギュレーションでは各エンジンメーカーは3チームしか認められておらず、4チーム以上に供給を拡大する場合はFIAの承認が必要となる。そして、ルノーは信頼性の担保を理由に3チーム以上への供給は拒否している。
マクラーレンがホンダとの決別を決めた場合、ホンダは供給先がなくなり、F1に居場所を失うことになる。
そこで浮上したシナリオが、現在ルノーと契約を結ぶトロ・ロッソとマクラーレンのパワーユニットを交換するという案。ザウバーとの契約が白紙化された際、トロ・ロッソはホンダの供給先として名前が挙がっていた。
だが、ホンダはマクラーレンとの継続を望んでおり、トロ・ロッソとの契約を拒否してF1撤退という選択肢も残されている。
FIAとリバティ・メディアにとって、世界的な自動車メーカーであるホンダをわずか3年で失うことは非常にネガティブなニュースであり、FIAのジャン・トッド会長はホンダのF1撤退を回避させるために、本田技研工業の八郷隆弘社長に書簡を送り、ホンダへの支援を申し出たと報じられている。
これらの交渉で優位に立っているとされるのがルノーだ。ルノーは、3チーム以内であれば供給先はトロ・ロッソでもマクラーレンでもいいとのスタンスをとってる。
ただ、ルノーにはトロ・ロッソとの契約解消というカードが残っている。その交渉の切り札として、以前から狙っていたトロ・ロッソのドライバーを務めるカルロス・サインツの獲得を要求しているとされている。カルロス・サインツとの契約を有しているレッドブルとしても、FIAが介入するこの取引を拒むことは難しいとされ、実際、すでにカルロス・サインツの2018年からのルノーへのローン移籍に合意、ルノーが望めば1戦後のF1マレーシアGPでの電撃移籍が発表されると報じられている。
そして、この契約合意をきっかけに残りの駒が動き出すとされている。
トロ・ロッソとルノーが契約解消で合意したとなると、マクラーレンは2018年からルノーのパワーユニット供給を受けることが可能となる。マクラーレンは、トロ・ロッソとホンダとの契約に合意した場合、ホンダエンジン用のギアボックスを供給することに合意していると報じられている。
マクラーレンは、ホンダからエンジン供給だけでなく、年間1億ドル(約107億円)とされる財政支援を受けているとされている。また、2024年までとされる契約を一方的に解消した場合、マクラーレンには多額の違約金を支払う義務が発生するという。だが、マクラーレンはそれらを加味してもホンダとの決別を望んでいるとされている。
それらが事実の場合、残るはマクラーレンとホンダとの契約解消、そして、トロ・ロッソとホンダとの契約と、交渉のボールはホンダに投げられることになる。
また、マクラーレンの2018年のエンジンがルノーに決定した場合、契約が今シーズン末までとなっているフェルナンド・アロンソのマクラーレン残留が決定的になるとされている。
マクラーレンは11日(月)にもルノーとの契約にサインするとされ、F1シンガポールGP前に正式に発表されると報じられている。果たして今週1週間でこれらのストーリーは進展するのか? 注目の1週間となりそうだ。
マクラーレン・ホンダに絡むストーリー
- カルロス・サインツのルノー移籍
- マクラーレンとホンダの契約解消
- トロ・ロッソとルノーの契約解消
- ホンダとトロ・ロッソの新契約
- ルノーとマクラーレンの新契約
- フェルナンド・アロンソのマクラーレン残留
- (ピエール・ガスリーのトロ・ロッソ昇格)
カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / ホンダF1
マクラーレンは、長年メルセデスとワークス関係を築いてエンジンを使用してきた。しかし、メルセデスは2010年からワークスチームとしてF1に参戦。マクラーレンはカスタマーチームに“格下げ”となった。
2013年、タイトル獲得にはエンジンメーカーとのワークス関係が必要だと考えた当時マクラーレンのCEOであるロン・デニスは、2015年まで契約が残っていたメルセデスとのエンジン供給契約を1年前倒しして2014年で終了。2015年からホンダをF1に復活させ、ワークスパートナーとしてエンジンの供給を受けることを発表。『マクラーレン・ホンダ』の名前がF1に復活することになった。
しかし、2014年にF1に導入された複雑なV6ターボ“パワーユニット”で他チームより実戦での1年の遅れがあったホンダは、初年度から信頼性とパフォーマンス不足に苦戦。2016年はやや戦闘力を増したものの、3年目となる今年はコンセプトを一新させた新型パワーユニットにプレシーズンからトラブルが多発。3月の時点でマクラーレンがメルセデスにパワーユニット供給を打診したと報じられた。
そして、6月のF1カナダGPでホンダが約束していたとされるアップグレードを投入できなかったことから両者の関係は再び悪化。7月にはマクラーレンが歴史的なライバルであるフェラーリにパワーユニット供給を打診したとも報じられた。
しかし、メルセデスとフェラーリはマクラーレンへのパワーユニット供給を拒否。ホンダ以外のエンジンメーカーはルノーだけとなった。
夏休みが明け、マクラーレン・ホンダは初年度の成績を下回る状況。8月に入るとルノーがマクラーレンと交渉を行っていることを認めた。
また、ホンダは3月に2018年からザウバーにパワーユニットを供給することを発表。だが、ザウバーは8月のF1ハンガリーGP前に提携の白紙化を発表。その理由をパワーユニットの供給を受けなければならないマクラーレンとホンダの状況が不透明だと述べ、マクラーレンとホンダの決別の噂が熱を帯びてきた。
そして、前戦F1イタリアGPでは、マクラーレン、ホンダ、ルノー、そしてトロ・ロッソ&レッドブル、さらにはFIAとF1ノオーナーであるリバティメディアが絡みそれぞれの当事者との交渉が行われた。
マクラーレンはルノーとの契約を希望している。レギュレーションでは各エンジンメーカーは3チームしか認められておらず、4チーム以上に供給を拡大する場合はFIAの承認が必要となる。そして、ルノーは信頼性の担保を理由に3チーム以上への供給は拒否している。
マクラーレンがホンダとの決別を決めた場合、ホンダは供給先がなくなり、F1に居場所を失うことになる。
そこで浮上したシナリオが、現在ルノーと契約を結ぶトロ・ロッソとマクラーレンのパワーユニットを交換するという案。ザウバーとの契約が白紙化された際、トロ・ロッソはホンダの供給先として名前が挙がっていた。
だが、ホンダはマクラーレンとの継続を望んでおり、トロ・ロッソとの契約を拒否してF1撤退という選択肢も残されている。
FIAとリバティ・メディアにとって、世界的な自動車メーカーであるホンダをわずか3年で失うことは非常にネガティブなニュースであり、FIAのジャン・トッド会長はホンダのF1撤退を回避させるために、本田技研工業の八郷隆弘社長に書簡を送り、ホンダへの支援を申し出たと報じられている。
これらの交渉で優位に立っているとされるのがルノーだ。ルノーは、3チーム以内であれば供給先はトロ・ロッソでもマクラーレンでもいいとのスタンスをとってる。
ただ、ルノーにはトロ・ロッソとの契約解消というカードが残っている。その交渉の切り札として、以前から狙っていたトロ・ロッソのドライバーを務めるカルロス・サインツの獲得を要求しているとされている。カルロス・サインツとの契約を有しているレッドブルとしても、FIAが介入するこの取引を拒むことは難しいとされ、実際、すでにカルロス・サインツの2018年からのルノーへのローン移籍に合意、ルノーが望めば1戦後のF1マレーシアGPでの電撃移籍が発表されると報じられている。
そして、この契約合意をきっかけに残りの駒が動き出すとされている。
トロ・ロッソとルノーが契約解消で合意したとなると、マクラーレンは2018年からルノーのパワーユニット供給を受けることが可能となる。マクラーレンは、トロ・ロッソとホンダとの契約に合意した場合、ホンダエンジン用のギアボックスを供給することに合意していると報じられている。
マクラーレンは、ホンダからエンジン供給だけでなく、年間1億ドル(約107億円)とされる財政支援を受けているとされている。また、2024年までとされる契約を一方的に解消した場合、マクラーレンには多額の違約金を支払う義務が発生するという。だが、マクラーレンはそれらを加味してもホンダとの決別を望んでいるとされている。
それらが事実の場合、残るはマクラーレンとホンダとの契約解消、そして、トロ・ロッソとホンダとの契約と、交渉のボールはホンダに投げられることになる。
また、マクラーレンの2018年のエンジンがルノーに決定した場合、契約が今シーズン末までとなっているフェルナンド・アロンソのマクラーレン残留が決定的になるとされている。
マクラーレンは11日(月)にもルノーとの契約にサインするとされ、F1シンガポールGP前に正式に発表されると報じられている。果たして今週1週間でこれらのストーリーは進展するのか? 注目の1週間となりそうだ。
マクラーレン・ホンダに絡むストーリー
- カルロス・サインツのルノー移籍
- マクラーレンとホンダの契約解消
- トロ・ロッソとルノーの契約解消
- ホンダとトロ・ロッソの新契約
- ルノーとマクラーレンの新契約
- フェルナンド・アロンソのマクラーレン残留
- (ピエール・ガスリーのトロ・ロッソ昇格)
カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / ホンダF1