F1のアフリカ復帰に新展開 モロッコで12億ドル規模の大型計画が浮上

F1のCEOステファノ・ドメニカリはモナコGP開催中の週末、F1が32年間遠ざかっているアフリカでのレース復活に向け、3か国と交渉を進めていることを明かした。ただし、「ごく短期間で結論が出るとは思っていない」とも付け加えている。
南アフリカ・ヨハネスブルク北部に位置するキャラミ・サーキットの再登場は長年有力視されてきたが、官僚的な障壁と財政問題がその可能性を妨げている。ここが最後にF1を開催したのは1993年だった。
昨年末には、ルワンダのポール・カガメ大統領が、首都キガリで開かれたFIAの年間表彰式において、F1開催への正式な立候補を発表している。
そして今回、新たにモロッコがこの争いに加わることが明らかになった。舞台は、地中海沿岸の都市タンジェから南へ20キロに位置する地域で、F1開催可能なグレード1サーキットの建設を含む戦略的開発プロジェクトが進行中だ。
このプロジェクトには、WECやMotoGPも開催可能なサーキットに加え、テーマパーク、ショッピングモール、ホテル、マリーナも含まれる。創出される雇用は約1万人と見積もられている。計画の全体像は今月初めに提示された。
現在までに、民間から8億ドルの投資が確保されており、モロッコ政府からの最高レベルでの承認が得られれば、残りの資金調達も見込まれている。
タンジェは欧州からのアクセスが容易であることも、F1にとって大きな魅力だ。タンジェの北東45キロに位置するタンジェ・メッド港は、スペインのアルヘシラス港から短時間で到達可能であり、チームは週末の仮設構造物ではなく、本格的なモーターホームを現地で組み立てることができる。

F1にとって理想的な開催地 モロッコが「すべての条件を満たす」
このプロジェクトを主導するのは、元マクラーレンおよびロータスのチーム代表で、2018年から2022年までフランスGPのマネージングディレクターを務めたエリック・ブーリエだ。
ブーリエは、2023年12月にモロッコでのF1開催可能性を検討するよう依頼を受けた人物であり、「この計画が実現すれば、F1がアフリカに求める理想的な開催形態を実現できる」と確信している。
「当時、私のフランスGPのチームがまだ活動していたので、現地に行ってF1開催の実現可能性を調査した」とブーリエはRacingNews365の独占インタビューで語る。
「候補地はF1開催に必要なすべての条件を満たしていた。そこから私たちはプロジェクトを構築した。これはかなり大規模なプロジェクトだ。例えるなら“小規模版アブダビ”のようなもので、完全に独立した観光中心のエコシステムを構築するものだ」
「タンジェ南部を拠点とするこの計画は地域に大きな影響を与える。周辺には追加のホテルや空港もあり、すべて15キロ圏内に収まっている」
「これは国家レベルの戦略的プロジェクトであり、最高レベルでの承認が必要だが、それさえ得られれば、F1がアフリカに求める要素をすべて満たすものになる」
「F1が開催されれば、年間を通じて機能するエコシステムの中心として位置づけられ、アフリカでのF1の“頂点”となるはずだ」
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