F1イタリアGP 木曜会見 Part.1  - アロンソ、アントネッリ、コラピント
2025年F1イタリアGP木曜会見「パート1」には、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、キミ・アントネッリ(メルセデス)、フランコ・コラピント(アルピーヌ)が出席した。アロンソはシーズン序盤からのマシンの進化に手応えを語り、残り9戦を冷静に見据える姿勢を示した。アントネッリはホームレースとなるモンツァに向けて準備万端であることを強調し、成長の証を見せたいと意気込みを語った。コラピントはデビューの地に戻った心境を振り返りながら、ここ数戦で自信を取り戻しつつあることを明かした。

会見後半では、アロンソがモンツァでの長年の経験やレース距離短縮案への考えを披露し、伝統的なF1の魅力を守るべきだと主張。アントネッリはイモラでの学びを糧にホームでの過ごし方を改善するとし、コラピントはチームとの連携強化によって着実に進歩していると強調した。3人はさらに、スプリント増加やスチュワード判定の一貫性など、F1が直面する課題についてもそれぞれの見解を示した。

Q: フェルナンド、モンツァへようこそ。ここはあなたにとっても馴染み深い場所です。前戦ハンガリーやザントフォールトではマシンの調子が良かったですが、この高速サーキットでもその流れを活かせると思いますか?

フェルナンド・アロンソ: どうだろうね。ここモンツァには少し慎重な気持ちで来ているよ。最後の効率重視のサーキットはスパだったけど、あそこで僕らは速くなかった。だから様子を見よう。スパの後にセットアップや週末のアプローチを少し変えたから、少しは良くなっていることを願うけど、紙の上ではモンツァは前の2戦とは違うサーキットなんだ。

Q: シーズンの3分の2を終えました。序盤と比べて今のマシンはどのくらい良くなったと感じますか?

アロンソ: かなり良くなったよ。僕の初ポイントは第8戦か第9戦でやっと取れたくらいだ。序盤は日曜にトップ10で戦えるマシンはなかった。今はミッドフィールドで戦ってポイントを取れるようになっている。直近9戦で7回Q3に進んでいるしね。空力面が大きく改善されて安定したし、走りやすくなった。メカニカルなセットアップは大きく変わっていないけど、ラップをまとめやすいクルマになった。

Q: 残り9戦でチャンスがあるのはどのサーキットだと思いますか?

アロンソ: ブダペストやザントフォールトに似た場所はいくつかある。シンガポールやブラジルはそうかもしれない。でもポジティブにもネガティブにもサプライズがあるから、特定の1〜2戦に期待をかけすぎることはしない。毎戦全力を尽くすし、アブダビでいくつポイントを獲得できたか、コンストラクターでどの順位にいるかを見てみよう。

Q: キミ、昨年モンツァでメルセデスF1加入が発表されてから1年。この12カ月を振り返ってどうですか?

キミ・アントネッリ: 本当に色々あった。良い思い出も悪い思い出もある。でも特別な場所だし、去年ここで発表があったから今週末はさらに特別だ。そこからずっとすごく濃密な日々が続いたけど、ここまでのところはまずまずだと思う。

Q: 今週末のパフォーマンスについてはどう見ていますか?

アントネッリ: 予測は難しい。マシン同士の差はすごく接近してきているからね。でも去年の予選結果を見ると僕らは上位にいた。今年は去年良かったところでまた良い傾向が出ている。だから同じようになればいいけど、分からない。

Q: シミュレーターではモントリオールと似たところはありますか?

アントネッリ: まずダウンフォースがすごく低い。でも最初の2つのシケインは強いブレーキングからスローコーナーに入る感じで、メルボルンに似ている。レズモやアスカリ、パラボリカのような高速コーナーもある。だからある意味ではモントリオールに似ているけど、後半は違うね。でも今回は古いサスペンションに戻して自信を持てているし、いいペースを出せればと思う。

Q: 2つ目のホームレースでもあります。イモラでは多忙で思うように動けなかったと話していましたが、今回は違うアプローチですか?

アントネッリ: 間違いなく準備はできている。何を期待すればいいかも分かっているし、週末をどう過ごせば常に100%でクルマに乗れるかも理解した。

Q: フランコ、昨年のF1デビューの地に戻ってきました。2年目として感じ方は違いますか?

フランコ・コラピント: ここは僕がF1で初めてレースをしたサーキットだから、残りの9戦はすべて経験済みということになる。それはすごく助けになる。1年前に急きょここで走ることになって夢が叶った。そこから多くのことが起きた。だから戻ってくるのは感慨深いし、モンツァはすごく好きな場所なんだ。情熱的なティフォシに囲まれて走れるのは特別なことだし、早く走りたい。

Q: 先週末はポイントに迫りました。今は自信を持って臨めていますか?

コラピント: そうだね。クルマのコントロールに自信がついてきた。去年の感覚を取り戻しつつある。今年序盤はその感覚がなかったけど、チームとエンジニアのおかげで改善できている。まだ理想には届いていないけど進歩している。直近2戦は競争力が高まり、ポイントに近づいた。モンツァはロングストレートが厳しいけど、チャンスを逃さなければいい週末にできると思う。

Q: フェルナンド、シーズン序盤と比べてマシンが大きく進歩したと話していました。イモラやシルバーストンで投入した新しいフロアや、特にフロントウイングの成果も見られます。これは2026年に向けても楽観的になれる要素ですか?

アロンソ: そうだね。ファクトリーにあるツールを信頼して、サーキットに持ち込んだものが期待通りに機能するのは非常に良いことだ。2023年や2024年にはそれがなかった。今年は正常なファクトリーとサーキットの相関関係に戻せている。だから来冬に2026年マシンを開発する時も、自信を持って取り組めるよ。

Q: キミ、先週は「気持ちをリフレッシュする週末が必要」と話していました。ザントフォールトや昨年のモンツァのような悪い記憶をどうやって消し去るのですか?

アントネッリ: 自分に集中することだよ。最終結果にこだわりすぎると簡単に見失ってしまう。大事なのは自分のすべきことに集中すること。しっかりドライブして、物事をまとめて、チームがベストなバランスを見つけられるように貢献すること。それが一番大切だと思う。

Q: フェルナンド、モンツァを走るのは今回で22回目です。長年の変化について教えてください。

アロンソ: ずいぶん変わったよ。僕はモンツァの違うレイアウトも走ったことがあるけど、クルマの進化で走り方も大きく変わった。昔はリアウイングがほとんどない状態で走って、ストレートでは浮いているような感覚だった。完全にコントロールできている感じがなかったね。今はそうじゃない。もちろん簡単ではないけど、常にコントロールできている。ハローやハンスなど安全デバイスも導入されていて、昔のような危険やスピードへの恐怖を感じにくくなった。2000年代は、誰もがF1に来る前にモンツァでローダウンフォースを試すなんて特権はなかったんだ。

イタリアGP F1

Q: F1のステファノ・ドメニカリCEOは「若いファンは集中力が短いかもしれない」として、スプリントの増加やグランプリの距離短縮を提案しています。どう思いますか?

アントネッリ: 難しい問題だね。個人的にはスプリント週末は楽しい。すぐに集中して臨まなければならないし、走行が多いからね。でもレースを短くするのはあまり効果がないと思う。今でもほとんど1ストップ戦略だし、短くしたらピットストップのルールをもっと複雑にしなければならない。長いレースの方が自分のレースを築ける時間があると思うよ。はっきりとした答えはないけど、スプリントが増えるのは悪くない。

コラピント: 彼らは素晴らしい仕事をしている。ステファノはF1をここまで成長させた偉大なリーダーだと思う。ファンのために色々な新しい取り組みをして、スポーツを大きくしてきた。だから僕はただ走るのを楽しむだけ。たくさん走れるならそれで嬉しい。セッションの種類はあまり気にしない。

アロンソ: 僕は逆の立場になると思う。もし変わったら、テレビの前で観る側になるだろうね。問題はスポーツじゃなくて社会や子どもたちの集中力だと思う。サッカーだって90分間ずっと集中して観るわけじゃない。途中でキッチンに行ったりするし、それを短くしようなんて議論はない。だからスポーツを変える必要はないと思う。でもステファノが必要だと言うなら、彼を信じているよ。

Q: フェルナンド、もしグランプリを短縮したら何を失うと思いますか?

アロンソ: キミが言ったように、レースでは自分の位置を取り戻す時間がある。それが短いと、特にスプリントのように悪い予選から始まった場合、何もできずに終わってしまう。同じタイヤ年齢で走ればオーバーテイクも難しい。長いレースだからこそ戦略の自由度がある。僕は何度も言ってきたけど、理想は給油の復活だ。今の流れとは逆だけど、燃料搭載量を自由に選べれば戦略が全く変わって、すごく面白いレースになる。

Q: キミ、ルーキーイヤーは学びの時期と言われます。イモラで得た教訓をどう活かしていますか?

アントネッリ: 初めてのホームレースで色々と大変だった。特にエネルギーのマネジメントがうまくできなくて、集中力も落ちた。だから今回は週末を通してどう過ごすかを学んだよ。大事なのは日曜にできるだけエネルギーを残して臨むこと。イモラでは土曜の時点でかなり疲れていたからね。それは大きな教訓だったし、二度と繰り返したくない。

Q: キミ、夏にサントリーニで過ごしている姿を多くの人が目撃していました。F1での急な人気の高まりをどう受け止めていますか? そしてギリシャの印象は?

アントネッリ: ギリシャは大好きだよ。もう何度か行っているし、家族や友達、恋人と過ごすのに素晴らしい場所だ。リラックスできるし、切り替えもできる。人気についてはF1を戦っている以上、ある程度は覚悟していた。ファンのサポートはポジティブに受け止めているよ。もちろん時には断らなければならないこともあるけど、休暇のときは楽しめた。良いエネルギーをもらえるのは嬉しいことだ。

Q: フェルナンド、これまで数々のタイトル争いを経験してきました。現在のノリスとピアストリのように、チーム内で直接戦う時に必要な心構えは?

アロンソ: 外部の要因はコントロールできない。毎週末、自分の仕事をきっちりやるしかない。彼らはすごく強力なマシンを持ちながらも、困難な週末でも結果を残している。ノリスはザントフォールトで不運だったけど、まだレースはたくさん残っている。だから毎戦勝つことを目指して集中すればいい。時には2位や3位になることもあるけど、それを受け入れて次に備えることが大切だ。

Q: フランコ、F1デビューから1年。どの点で慣れを感じ、どの点ではまだ努力が必要ですか?

フランコ・コラピント: 1年前はすべてが新しくて慣れるのが大変だった。今は経験も時間も積んで、多くのことが分かってきた。特に大きな違いは、F2では1人のエンジニアとやり取りしていたのに対し、F1では20人、30人のエンジニアと、工場では1000人以上のスタッフが一丸となってクルマを速くしようとしていること。その中でチームとしっかり協力し、ベースから強くしていくことの大切さを学んだ。それがクルマを速くし、自分の求める走りを実現するために不可欠なんだ。

Q: フェルナンド、先週あなたの会社は14歳のルネ・ラモスとマネジメント契約を結びました。彼に何を期待していますか? 将来F1に到達すると思いますか?

アロンソ: その年齢では未来は誰にも分からない。僕らが若いドライバーを受け入れる時は、夢を追えるようにできる限りの支援をしている。でもまずは「プロのドライバーになること」が最初の目標だ。ジュニア時代は常にお金がかかり、次の年にどのプログラムに進めるかも予算次第になる。だからまずは報酬を得て走れるプロになってほしい。F1に上がるのはもちろん夢だけど、シートは22しかない。それが最大の関門だ。ただ、彼は才能がある。カートで非常に速く、多くのF4チームの注目を集めていて、シングルシーターでも好調だ。我々のアカデミーの中で最も有望なドライバーの1人だよ。

Q: ザントフォールトでカルロスがリアムとの接触についてスチュワードを強く批判しました。ドライバーズのWhatsAppグループで話題になりましたか? ルールが不明確だと感じますか?

アントネッリ: 僕は自分のことで忙しくて特に見ていなかった。

コラピント: いや、分からない。彼がスチュワードとの会合を求めていたと聞いたけど、僕らはその場にいないから何とも言えない。

アロンソ: 僕も同じだ。何も知らない。

Q: フランコ、ザントフォールト後に「チームがポイント獲得のチャンスを最大化できなかった」と話しました。チームメイトとのポジション交換について納得できましたか?

コラピント: 週末全体としてとても良かったし、満足している。パフォーマンスも見つかったし、戦略も良かった。チームも良い仕事をしたよ。ポジション交換も明確だったし問題なかった。単にポイントにあと少し届かなかっただけで残念だったけど、すぐに結果はついてくると思う。

Q: キミ、ザントフォールトでの出来事を踏まえて、すぐ次のレースがあるのは良いことですか? ホームのモンツァというプレッシャーはありますが。

アントネッリ: もちろんいいことだ。レースではいい流れがあった。ペースも強力で、特にハードタイヤでは前の集団を追い詰められていた。そこで接触が起きたのは残念だったけど、その瞬間が唯一のチャンスだと思ったんだ。だから残念だけど仕方ない。でも連戦のおかげで勢いを持ち越せる。ペースが改善しているのを確認できたから、この週末も前進して良い結果を出したい。

Q: フランコとキミに。スプリントレースが増えると、ルーキーにとっては学習の時間が減って難しくなりませんか?

アントネッリ: サーキットにもよるけど、新しいトラックだと難しいね。今年は中国やマイアミ、オースティンでスプリントがあって大変だった。でも自信を持って早くリズムに乗れれば問題ない。経験豊富なドライバーに比べると細かい部分での差はあるけど、それでも準備さえできていればいい結果を出せる。

コラピント: 僕らは短い準備に慣れている。昨年もオースティンやカタールで初めてのトラックがスプリントだったけど、良い結果を出せた。今はシミュレーターもあるし、しっかり準備できれば大丈夫。だから確かに難しいけど、それほど悪くないと思う。

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カテゴリー: F1 / F1イタリアGP / F1ドライバー