インディカー 佐藤琢磨
アメリカの自動車産業の首都であるミシガン州デトロイト。そのダウンタウンにほど近いベル・アイルという島で開催されるデトロイトグランプリは、インディカー・シリーズ唯一のダブルヘッダーで、土曜日と日曜日に1レースずつを開催する。土曜日の午前中に予選を行い、午後にレース1の決勝。日曜日も同様に、午前中が予選、午後が決勝という忙しいスケジュールだ。

土曜日のレース1決勝がスタートする直前、デトロイト上空を大きな雷雲が覆い尽くし、スタートが切られるかが危ぶまれる事態になった。しかし、幸いにも雨は足早にデトロイトを通過し、レース1のスタート時刻は1時間15分ほどの遅れで済んだ。ただ、日没時間も考慮され、70周で争われる予定だったレースは、75分間のタイムレースとして開催する決定が下された。

午後5時過ぎ、22台のインディカーは気温が17℃と低く、路面はほぼウエットという難しいコンディションでスタートを切った。雨はすでに止んでおり、再び降る可能性は低かったことから、レース後半戦はドライコンディションでのハイスピードバトルが展開されることとの期待がされた。

全車がレインタイヤ装着でスタートし、予想された通りに路面は瞬く間に乾いていった。後方集団のドライバーは大躍進を狙い、まだ路面の乾き切らないうちにスリックタイヤにスイッチする者が現れる。それに対してトップ争いを行うドライバーとチームは、彼らのラップタイムをチェックしながら、いつスリックタイヤに交換するかベストのタイミングを探っていた。ポールポジションからレースを悠々とリードし続けたアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)は、ウエットコンディションで誰もが目を見張るすばらしい走りを続けていた。ところが、18周目に1台のマシンがタイヤウォールに突っ込んで止まり、フルコースコーション発生。この直前にスリックタイヤに交換しようとピットに入っていたジョセフ・ニューガーデン(シボレー)がトップに躍り出て、ロッシはイエロー中にピットがオープンになってから作業を受けたことから、トップの座を明け渡し、2番手に下がった。

70周だったはずのレースが75分間とされたうえに、フルコースコーションが多発したことで、デトロイトでのレース1は43周でチェッカーフラッグが振られることになった。ニューガーデンがトップに立ってからのコースはドライコンディションとなり、ロッシは逆転を狙ったアタックを続けたが、2位でのゴールとなった。シリーズ第7戦が終了し、ロッシはランキング3位につけている。

前戦のインディ500と同じく、佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)がレース終盤を大きく盛り上げた。予選9番手だった佐藤琢磨は、得意のウエットコンディションで次から次にライバル勢をパス。30周目にルーキーながら大活躍していたフェリックス・ローゼンクビスト(Chip Ganassi Racing)をパスして3番手に浮上。ロッシとニューガーデンを追いかけた。完全なドライコンディションで佐藤琢磨は上位2人と同じペースは保てなかったが、ローゼンクビストのアタックを緻密かつ大胆な走りではねのけ続け、インディ500に続いて2戦連続のトップ3フィニッシュを果たした。佐藤琢磨のポイントスタンディングは、今大会終了時点で4位。

アレクサンダー・ロッシ(2位)
「今回のようなフルコースコーションは厳しいですね。私たちは、今シーズンだけでもう3回も優勝のチャンスを、今日のようなフルコースコーションによって失ってしまいました。しかし、これはインディカー・シリーズでは起こり得ることなんです。レースのおもしろさの一部なんだと思います。出場者全員が有利も不利も、同じだけ享受することとなっています。私たちのマシンはウエットコンディションで本当に速かったです。レースを支配下に置き、2番手にいたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)との差をコントロールしていたほどでした。デトロイトのようにレーシングラインが1本しかないコースでは、順位をどこに保つかが勝利のカギを握ります。今日のレースでは乾いた路面はそのレーシングライン1本分だけでしたから、私にやれることには限りがありました。ジョセフがすばらしい仕事をしていました。彼がミスを犯すようプレッシャーをかけ続けましたが、そうはなりませんでした。厳しいレースになりましたし、悔しい結果でもあります。今日の私たちはベストのマシンを手にしていたと思うからです」

佐藤琢磨(3位)
「私たちは9番グリッドという理想とはほど遠い位置からスタートしました。しかし、Rahal Letterman Lanigan Racingは、デトロイトのストリートサーキットでは常に力強いレースを戦ってきています。今年のレース1の場合、私たちが雨に助けられたのは間違いありません。しかし、私たちはそうした難しいコンディションで順位を上げていったのです。ウエットでもドライでも、私たちのマシンでいい走りが可能でした。チームのおかげです。ピットストップもよかったからこそ、今日は追い上げのチャンスをつかむことができました。トップの2台は速く、レース終盤のバトルで追いつくことができずに引き離されましたが、最終的に私たちはいいバトルができていたと感じています。今日はとても困難な天候でしたが、それに関わらず、サーキットに残ってレースを観戦してくれたデトロイトの熱いファンの方々に御礼を申し上げます」

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: インディカー