インディ500
第102回インディアナポリス500の予選第1ラウンドが行われ、決勝に進出する33台が決定した。今年のレースには35台がエントリーしたことから、2台が決勝に進むことを許されない。世界一の歴史を誇るビッグレースに出場できる権利をかけた激しい戦いは、午前11時にスタートし、二度の雨による中断がありながら夕方の5時50分まで続けられ、最後には驚くべき結末が待っていた。

曇り空の下で予選は始まり、不安定な天候により2回の中断。全員が1回のアタックを終えたのは夕方の5時直前で、その後にインディ500予選の特徴であるバンプアウト合戦が始まった。34位以下のスピードしか出せなかったドライバーたちが再アタックを行い、暫定的に決まっている33人の中から一番遅いタイムの保持者を弾き出す(バンプアウト)戦いだ。

また、現在のルールでは、予選2日目のポールポジションをかけた戦い「ファスト9」に進出する9人も予選初日に決定することになっているため、そのファスト9に入るためのアタック合戦も同時進行した。

Hondaドライバーはセバスチャン・ブルデー(Dale Coyne Racing withVasser-Sullivan)とスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)がファスト9入りを果たした。ブルデーは昨年のインディ500予選でアクシデントを起こし、骨折などの負傷によって決勝出場を果たせなかった。今年の予選では見事なリベンジを成功させ、5番手という好位置につけている。

プラクティスから少しずつ着実にスピードアップを重ねてきたスコット・ディクソンも、予選第1ラウンドを8番手でクリアした。ディクソンは昨年のインディ500ポールポジション獲得者で、明日は2年連続、キャリア4回目となるインディ500ポールポジションを狙う。なお、明日各ドライバーに与えられるチャンスは今日とは違って1回限りだ。

第100回インディ500ウイナーのアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)は100分の1マイル以下のスピード差でファスト9入りを逃した。全員のアタックが終了したあとの夕方に、自身2回目のタイムアタックを行ったものの、わずかな差で10番手となった。

アレクサンダー・ロッシが悔しい思いをしたのとほぼ同じタイミングで、決勝進出をかけた激しい戦いをジェームズ・ヒンチクリフ (Schmidt Peterson Motorsports)とピッパ・マン(Dale Coyne Racing)が行っていた。最終的に彼らはバンプアウトされ、今年のインディ500への出場を果たすことができなかった。

インディカー・シリーズでこれまでに5勝を挙げ、インディ500では2016年にポールポジションを獲得しているジェームス・ヒンチクリフの決勝進出が叶わないと決定した瞬間、インディアナポリス・モーター・スピードウェイにはどよめきが起こった。ヒンチクリフは最初のアタックを行う直前に雨が降り出し、予選再開時の最初のアタッカーとしてコースインした。そこでの走行は路面のグリップも低くなっていたのか、時速224.784マイルという厳しい数字しか出せなかった。35台のアタックが終わったあとに自身2度目のアタックへ出たヒンチクリフは、マシンから大きな振動を感じたためにアタックすることなくピットへ戻り、もう一度アタックを行うべくタイヤ交換をしたが、時間切れとなった。

ピッパ・マンは最初のアタックで時速224.360マイルを出したがバンプアウトされ、予選終了間際に2度アタックしたものの、33台の中に入ることはできなかった。

セバスチャン・ブルデー(5番手)
「とても堅実な走りができました。昨年のことがあるので慎重にいきました。あのアクシデントで自分だけでなく、妻やチームのみんなに借りができました。昨日はいろんなことが私の頭の中をよぎりました。予選用セッティングでのマシンを走らせるのは容易ではなかったからです。しかし、チームがすばらしい働きを見せてくれ、力強いマシンを作り上げることができました。今日の予選でのコンディションは少々難しいものでした。私たちの最初のアタックが始まる少し前に雨が降り、雨が止むと一気に暑くなりました。路面温度は27℃から40℃まで、気温も3~4℃上がりましたから、セッティングを合わせるのは大変でした。しかし、私たちの設定したダウンフォースは正解で、マシンには安定感がありました。自分たちの予選での走りにはとても満足しています」

佐藤琢磨(29番手)
「まず最初に、オリオール(セルビア)が予選を無事通過したことをうれしく思います。私たちのチームにとって、本当に厳しい一日になりました。自分たちのポジションには全く満足できていません。私としては、自分の予選アタックでのラップを楽しむことができなかった点が悔やまれます。アタック4周目にはひやっとする瞬間があり、アクセルを戻さざるを得ませんでした。走ったタイミングのコンディションがよくなかったのも事実ですが、私たちがまずスピード不足でした。いいコーナリングができていなかったため、アクセルを戻してしまいました。まだ私たちには成し遂げるべき仕事がたくさんあります。3台で集めた多くのデータをチェックします。今晩は長い夜になります。チームのエンジニアたちは懸命に働いています。明日、いいラップタイムが刻めることを期待したいです」

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カテゴリー: F1 / インディカー