太田格之進 デイトナ24時間レース「レースでリードできたのは特別な体験」
IMSA ロレックス・デイトナ24時間レースにおいて、アキュラのドライバーとチームが5年連続で表彰台を獲得した。Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian(アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・カーブ・アガジャニアン)の60号車は、24時間耐久レースの激戦を乗り越え、見事2位でフィニッシュしました。6番グリッドからスタートした60号車は、トム・ブロムクヴィスト、コリン・ブラウン、スコット・ディクソン、フェリックス・ローゼンクヴィストの4人が交代でドライブし、レースを39周リードした。24時間を走りきって1位まであとわずか1.335秒という僅差でフィニッシュした。

一方、HRCのセミワークスチームとして臨んだ93号車アキュラ ARX-06は、ニック・イェロリー、レンガー・ファン・デル・ザンデ、アレックス・パロウ、太田格之進の4人がドライブ。2番グリッドからスタートし、序盤で合計19周をリードするなど順調な滑り出しを見せたが、レース開始5時間目にサスペンションのトラブルに見舞われ、一時ガレージへ戻ることになった。しかし、Acura MSRとHRCチームの迅速な修復作業により、わずか1時間で93号車をコースに復帰させた。その後、激しいレース展開の中で他車が消耗していく一方、93号車は着実に順位を取り戻す粘り強い走りを見せ、貴重なポイントを獲得した。

93号車は、Honda Racing Corporation USA(HRC US)にとって新たな挑戦として、初めてレース戦略とエンジニアリングを全面的に担当した。また、HRCグローバルサポートを受ける太田格之進にとっては、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権を経験する貴重な機会となった。

太田格之進は最初のスティントでトップに躍り出て、IMSAデビューを飾った。しかし、その後のサスペンショントラブルの修理が長引き、93号車は大きく後方に後退したものの粘り強い追走で大きくポジションを上げ、GPTクラス8位(総合15位)でゴールした。

今週末はレースでの挑戦に加え、第63回ロレックス・デイトナ24時間の公式セーフティカーとして採用されたAcura Integra Type Sも700馬力以上のモンスターマシンを従えて活躍した。さらに、HRC代表取締役社長の渡辺康治は、「Honorary Starter(名誉スターター)」としてグリーンフラッグを振った。

ロレックスデイトナ24時間レース Acuraの結果
デイトナ24時間レース 2025
2位:60号車Acura ARX-06
チーム:Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian
ドライバー:トム・ブロンクヴィスト、コリン・ブラウン、スコット・ディクソン、フェリックス・ローゼンクヴィスト

8位(総合15位):93号車Acura ARX-06
チーム:Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian
ドライバー:ニック・イェロリー、レンガー・ファン・デル・ザンデ、アレックス・パロウ、太田格之進

次戦
2025年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦はフロリダ州セブリングで開催される「Mobil1 セブリング12時間レース」。今年で73回目を迎えるこのレースは、3月15日(土)にセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われる。

デイトナ24時間レース Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian

トム・ブロンクヴィスト(Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian #60)
「2位とはいえ、素晴らしい成果だったと思います。正直、『これはとても長い24時間になるな』って思った瞬間もありました。序盤、ペースが上がらなくて厳しい展開でしたし、ポルシェ勢がすごく速かったためです。でも、チームが本当に素晴らしい仕事をしてくれて、最後には良いポジションで戦うチャンスを作ってくれました。僕も最後は全力で攻めて、1台のポルシェをなんとか抜けたのですが、もう一台は少し手が届きませんでした。あと何周かあれば…と思いましたが、少し時間が足りませんでした。とはいえ、これでシーズンの良いスタートが切れましたし、ポイントも稼げたのは大きいです。Acura MSR、Acura、HRCのみんなには本当に感謝しています。今年はこのプロジェクトにたくさんの人が関わって、ものすごい努力とリソースを注ぎ込んでいます。そういう意味でも、今回の結果はいいスタートですね。次はセブリング12時間レースですし、この調子で突き進みます」

コリン・ブラウン(Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian #60)
「素晴らしい結果ですね。シーズンのスタートとして最高でしたし、HRCとAcura MSRとの新しいプロジェクトの始まりとしても上々の滑り出しです。2位は素晴らしい結果ですし、ここデイトナはとても重要な場所ですからね。ただ、勝利こそがすべてなので、『ああ、悔しい』って気持ちも正直あります。それでもチーム全員が本当に素晴らしい仕事をしてくれました。フェリックスとスコットも素晴らしい走りを見せてくれましたし、トムは最後に圧巻のパフォーマンスを披露してくれました。今回の結果は、この新しいプログラムの始まりとしては非常に良いものだと思います。今後、さらに洗練させ、発展させる基盤ができて、これからのシーズンが楽しみになる良いスタートになりました。この調子で進んでいきたいですね」

スコット・ディクソン(Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian #60)
「楽しいレースでした。ただ、確かに難しい場面もありましたし、ミスも完全には避けられませんでした。それはやっぱり理想的ではないですね。とはいえ、Acura、Honda、そしてMSRが戦略面でできる限りのことをしてくれました。ただ、タイヤのデグラデーション(劣化)が少し厳しかったです。特に序盤にタイヤを2スティントで使用しなければならなかった時は、本当に大変でした。それでも、トムが最後に素晴らしい仕事をしてくれたので、今回の結果は僕たちが出せたベストだったと思います。あと少し時間があれば、もっとチャンスがあったかもしれないですけどね」

フェリックス・ローゼンクヴィスト(Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian #60)
「60号車にとってはなかなか良い終わり方でした。この手の大きなイベントでは、2位は少しほろ苦い感じがしますが、正直なところ途中の状況を考えれば、この結果には満足です。これからシーズンを戦い続けるチームにとっても、良いポイントを稼げたのは大きいと思います。最後のトムの走りは本当にすごかった。まさに鬼気迫るスティントで、見ていて心臓がバクバクしました。チームメイトやメカニック、クルー、エンジニア、みんなの努力を本当に誇りに思います」

デイトナ24時間レース 太田格之進

ニック・イェロリー(Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian #93)
「93号車は、残念ながら序盤でリアサスペンションのトラブルが発生してしまいました。それでもペース自体はすごく良くて、予選では2番手につけて、最初の数スティントではそのポジションをしっかりキープできていました。チームが頑張ってマシンを修復してくれたので、40周遅れでしたが、コースに戻ることができました。そこからは、60号車をサポートしつつ、できるだけ前のポジションに上がることを目指して走りました。Acura MSRとHRCの素晴らしい仕事ぶりには本当に感謝しています。まだまだシーズンはこれからですし、もっと良い結果を目指して頑張っていけると思います」

レンガー・ファン・デル・ザンデ(Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian #93)
「60号車が最後まで走り切り、2位という素晴らしい結果を残せたことは本当に嬉しく思います。これはチーム全体の努力の成果だと感じています。ただ、僕たちのレースが早い段階で終了してしまったことは、やはり悔しいです。しかし、同じくトラブルを抱えたチームの中で、僕たちは最速でマシンを修復し、コースに戻すことができました。そのおかげで、他チームより多くのポイントを稼ぐことができたのは良かったと思います。なぜサスペンションが壊れたのかを調査する必要はありますが、それ以外にも今回のレースで多くのことを学びました。このマシンの扱い方や、MSRやHRCとどのようにチームを運営していくべきかなども含めて学びがありました。本日の結果自体には満足していませんが、今日得られた経験や教訓には誇りを持てると思います」

アレックス・パロウ(Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian #93)
「序盤でメカニカルトラブルが発生してしまい、93号車にとっては非常に残念な1日となってしまいました。特に、それが私たちのミスではなかったという点が悔しいです。時にはチームやドライバーのミスで、どうすれば良かったかを振り返ることができますが、今回はただのトラブルだったため、僕たちにできることは何もありませんでした。本当に残念な結果ではありますが、またコースに戻ることができて良かったと思っています。僕自身にとってもチームにとっても、多くの周回を走れたことは次戦セブリングに向けてプラスになるはずです。また、最後に(60号車の)トムの戦いぶりを見られて嬉しかったです。あと少しで勝てそうなところまで行ったので、それが次のレースに向けてさらにモチベーションを高めてくれます。これからのレースがとても楽しみです」

太田格之進(Acura Meyer Shank Racing with Curb Agajanian #93)
「Acura Meyer Shank Racingの一員としてロレックス 24に出場できたことは、本当に光栄でした。たくさん周回をこなして、スティントはおそらく6回くらい走ったので、今はとても疲れています。でも、自分ではとてもクリーンなレースができたと思っていますし、その点は満足しています。初めてのレースでリードすることができたのも、とても特別な体験でした。クルマの速さは分かっていましたし、もちろん勝ちたかったです。でも、このレースは厳しいものですし、残念ながら僕たちのクルマは壊れてしまいました。それでも、次回はワトキンズ・グレンでこのチームに合流することを今から楽しみにしています。こうした機会を与えてくれたAcura MSRとHRCに心から感謝しています」

デイビッド・ソルターズ(HRC US社長)
「HRCとMSRが新たに組んだ最高峰のレーシングチームとしての初陣でした。我々の素晴らしいメンバーたちは全員が一丸となり、本格的に活動を始めてからたった9週間で、設備や機材を整えました。この壮大な努力の末、世界で最も過酷で名誉あるレースのひとつであるロレックス 24時間レースに挑み、予選で2位、そして決勝でも2位という結果を収めることができました。デイトナでの2週間で得られた学びは非常に大きなものです。世界トップレベルのライバルたちと戦い、初陣でここまで勝利に迫ることができたのは、我々のメンバーたちの素晴らしい努力が報われた証だと思います。チームの皆、素晴らしい仕事でした。次戦セブリングでは、さらに上を目指して頑張ります」

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カテゴリー: F1 / IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権