ホンダ 鈴鹿10時間耐久レース
2018年から、鈴鹿サーキットを舞台に46回にわたって開催されてきた真夏の耐久イベント『鈴鹿1000kmレース』が、10時間の耐久レース『第47回サマーエンデュランス 鈴鹿10時間耐久レース(THE 47TH SUMMER ENDURANCE SUZUKA 10 HOURS ENDURANCE RACE)』に生まれ変わる。2017年まではSUPER GTの一戦として数多くのドラマを生んできたレースだったが、今季は新たに、Intercontinental GT Challengeの1戦として、世界各国でレースが開催されているFIA-GT3規定車両を中心としたGTカーの世界戦として開催される。

この新しい耐久レースには35台がエントリー。世界各国のワークス級のドライバーが勢ぞろいしており、初開催での優勝だけでなくIntercontinental GT Challengeのタイトルも狙っている。

2017年にスパ24時間の会場で披露されたHonda NSX GT3は、同年にマカオで開催されたFIA GTワールドカップにHonda Racingとして初参加した。今シーズンはスパ24時間にCastrol Honda Racingとして参戦したほか、SUPER GT GT300クラスに#34 Modulo Drago CORSE、#777 CARGUY Racingから2台が参戦。また、ブランパンGTシリーズ・アジアにはArrows Racingが参戦するなど、世界各地のレースで活躍している。8月24日(金)~26日(日)に開催される鈴鹿10時間耐久レースに向けては、SUPER GTに参戦する#34 Modulo Drago CORSE、#777 CARGUY Racingに加え、#10 Honda Team MOTULという3チームがHonda NSX GT3で参戦する。

#10 Honda Team MOTULを加え3台のNSX GT3が参戦
Honda Team MOTULは、この鈴鹿10時間耐久レースだけのために結成されたチームで、GT500クラスで#100 RAYBRIG NSX-GTをドライブする山本尚貴、そして#16 MOTUL MUGEN NSX-GTをドライブする武藤英紀、中嶋大祐の3人がトリオを組み、盤石の体制を敷いた。また、チーム監督には元F1ドライバーで、Hondaエンジン車を長年ドライブしてきた中野信治監督が就任した。

Honda Team MOTULは、6月に鈴鹿サーキットでチームとして初めてのテストを行ったが、降雨のためウエットコンディションでの走行となったため、7月下旬に急遽テストを追加。この際にはドライコンディションで走行を行い、Honda NSX GT3のセッティングの煮詰めのほか、このレースで使用されるピレリタイヤへの習熟を進めた。

3人のドライバーはHonda NSX GT3でのレース参戦は今回が初めてとなるが、Honda Team MOTULが世界各国から集うライバルに対し、どういった戦いを展開するのかも注目だ。また、GT300クラスでHonda NSX GT3を使用する2チームのうち、#34 Modulo Drago CORSEはGT300クラスでステアリングを握る道上龍/大津弘樹に加え、GT500クラスに参戦している小暮卓史が加わる。道上はかつて、長年小暮とコンビを組んでSUPER GTに参戦してきており、「どんなマシンでも乗りこなすことができる小暮の加入は強み」と期待を寄せる。オフィシャルタイヤとして全車に供給されるピレリタイヤとのマッチングも、上位進出のカギとなりそうだ。その#34 Modulo Drago Corseは、富士スピードウェイで開催された2018年シーズン第5戦で不運な事故に巻き込まれて車両が破損、参戦が危ぶまれる状況にもなったが、チームは新車の投入を決断し、予定通りこの鈴鹿10時間とSUPER GT 2018シーズンの残る3戦にも引き続き参戦することが発表されている。

もう1台のHonda NSX GT3を走らせる#777 CARGUY Racingは、チームオーナーである木村武史と、SUPER GTでコンビを組む横溝直輝、そしてケイ・コッツォリーノがトリオを組む。チームの強みは#34 Modulo Drago CORSE同様にすでにレースを戦っていること、そしてドライバーの3人が豊富なピレリタイヤの経験を持っていること。3台のHonda NSX GT3は、いずれも上位進出を目指して初開催の鈴鹿10時間耐久レースに挑む。

#10 Honda Team MOTUL 山本尚貴
「Honda NSX GT3は、自分の今までのレースキャリアのなかでも、乗ったことがないカテゴリーのクルマなので、新鮮な気持ちでドライブすることができました。GT500クラスのHonda NSX-GTに現役で乗らせてもらっている身としては、また別の進化も感じることができました。テストではピレリタイヤを履くのも初めてでしたし、クルマとタイヤどちらも煮詰める必要がありましたが、逆に先入観なくテストすることができたので、順調にクルマを把握することができたと思います。チームメイトはいつもSUPER GTで一緒に戦っているメンバーなのですが、この3人でクルマをシェアしてレースをするのは初めてです。いいムードでクルマを作っていけそうですし、楽しみですね。GT3だけのレースはもちろん初めてですし、Hondaを代表するメンバーで戦うことの重みは感じてはいますが、GT3はレースに出ようと思えば購入することができるクルマですし、そういったレーシングカーを使って自分たちのポテンシャルを示すこと、そして僕たちが楽しんで10時間を戦う姿を見せられればと思います。海外勢がかなり手強いとは思いますが、その中で日本勢として、Honda NSX GT3としてどれだけ前にいけるのかを、楽しみながら見せていけたらと思っています」

#10 Honda Team MOTUL 武藤英紀
「今まで2回テストをしましたが、一度はウエットだったので、もう一度テストしたかたちですね。Honda NSX GT3はジェントルマンドライバーもドライブすることが前提で作られているレーシングカーなので、非常に扱いやすいと感じました。今まで自分がドライブしていたレーシングカーとは違う種類の挙動だと思います。今回の3人のドライバーの内、中嶋選手はいつもコンビを組んでいますが、山本選手とは初めて一緒にレースを戦います。でも以前から知っていますし、リラックスした雰囲気で楽しく仕事ができています。中野信治監督も楽しい雰囲気を作ってくださっています。GT3カーによるレースは初めてですが、海外からも強豪チームが多く参戦しますし、楽なレースではないと思っています。その意味では、もっとテストをしたいくらいです。レースウイークにしっかり走り込みたいですね。賞金も出るレースですし、強力なライバルとも戦うので非常に楽しみです。Honda NSX GT3を使用する3台で協力し合いながら、上位でレースを戦いたいと思っています」

#10 Honda Team MOTUL 中嶋大祐
「僕はGT3カーのドライブもテストが初めてでしたが、ドライバーとしてもアンチロック・ブレーキシステム(ABS)や、トラクションコントロール等の電子制御を試すことは非常に興味深いものでした。以前SUPER GTでドライブしたHonda CR-Zよりも、よりGTカーらしい印象でした。武藤選手とはSUPER GTでコンビを組んでいますし、これまで3年間一緒にやっている仲です。山本選手は、鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)では同期ですし、ジュニアフォーミュラも一緒のデビューでした。今まで同じチームで戦うことはありませんでしたが、こうして初めて組むのは違和感もありませんし、とても楽しみです。GT3でのレースは初体験ですし、クルマもタイヤもまだ知らない部分ばかりなのですが、その分、基本に忠実に、自分たちにできることを一つずつ準備していきたいと思っています。もちろん強敵ばかりですが、僕たちはチームワークが強みですし、Hondaの地元である鈴鹿サーキットでのレースなので、僕自身もHondaのクルマが速いところを見せたいと思っています。Hondaの名前を背負って世界中のメーカーのマシンと戦うので、その重みを背負いつつも、自分の力を出しきりたいですね」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1