ホンダF1:2021年 F1アゼルバイジャンGP 決勝レポート
F1アゼルバイジャンGPの決勝は、さまざまなドラマの巻き起こる波乱の展開になった。それでも、レッドブル・レーシング・ホンダのセルジオ・ペレスが今季初優勝を果たし、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが3位表彰台を獲得。ホンダF1パワーユニットはダブル表彰台に加え、モナコGPに続き1992年以来の連勝を果たした。

スターティンググリッドではマックス・フェルスタッペンが3番手、ガスリーが4番手と2列目につけ、ペレスが6番手、角田裕毅が7番手と、全車が上位からレースを開始したホンダF1パワーユニット勢。オープニングラップではフェルスタッペンが3番手を堅持し、ペレスは2つポジションを上げて4番手となる。前方のシャルル・ルクレールを、2周目にフェルスタッペンが、3周目にペレスがオーバーテイクし、レッドブル・レーシング・ホンダは2-3番手でレースを進める。

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ勢は、ガスリーがペレスに交わされて5番手、角田は1つポジションを下げるが、すぐさまフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)をオーバーテイクして順位を戻す。角田は、ホンダF1パワーユニット勢の中で最初となる9周目にピットイン。その2周後にガスリーがピットへ入り、両者ともハードタイヤへ履き替えた。

レッドブル・レーシング・ホンダは、フェルスタッペンが12周目にピットイン。これで首位を走行していたルイス・ハミルトン(メルセデス)の前に出て、リードを広げる。ここからペレスがペースを上げて、ファステストラップを連発しながらピットへ。タイヤ交換にやや時間がかかったものの、ハミルトンの前でコースへ戻り、レッドブル・レーシング・ホンダが1-2体制を築く。

30周目に、ランス・ストロール(アストンマーティン)の左リアタイヤが、高速区間でバーストしてクラッシュ。セーフティカーが出動する。このリスタートでも、フェルスタッペンとペレスは1-2の位置をキープ。ガスリーはより新しいタイヤを履いていたセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)にパスを許して5番手となる。

レースが残り5周に差し掛かったとき、首位を快走していたフェルスタッペンの左リアタイヤが突如パンク。時速320㎞以上に及ぶメインストレートでスピンを喫する。幸いにもフェルスタッペンにケガはなかったものの、コース上に散らばった破片やタイヤの状況を考慮して、レースは赤旗中断となる。

中断の間に全ドライバーがタイヤ交換を完了し、全車がソフトタイヤを装着。レースは、残り2周からスタンディングスタートで再開され、ポールポジションにペレス、ガスリーと角田は4番手と7番手からのリスタートとなった。2番手のハミルトンはペレスをオーバーテイクすべく、ターン1で並びかけてきてくるが、そのまま止まりきれずにコースアウト。これによってリードを確保したペレスは、レッドブル・レーシング・ホンダ加入後初めての勝利を手にした。

一方のガスリーはリスタート時のターン1で、3番手に浮上。しかし、後方のルクレールと激しいバトルとなり、ファイナルラップ突入直前のストレートで一度は前に出られるも、スリップストリームに入って再び抜き返し、3位でチェッカーフラッグを受けた。角田はリスタートでのバトルを経て7位でフィニッシュ。自己最高順位を更新した。

ホンダF1としては、この勝利が通算81勝目。モナコGPに続く勝利で、1992年のモナコGP・カナダGP以来の連勝となった。また、ホンダF1パワーユニットのダブル表彰台は、2020年のバーレーンGP以来。異なる2チームが同時に表彰台へ登壇するのは、2019年のブラジルGP以来となる。

この結果、レッドブル・レーシング・ホンダはコンストラクターズチャンピオンシップでのリードを26ポイント差に拡大。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダも、アストンマーティンを抜き、ランキング5位へと浮上した。

次戦は、6月20日(日)決勝のフランスGP。その翌週からはオーストリアでの2連戦と、ここから3週連続の戦いとなる。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「今日のアゼルバイジャンGP決勝は、トップを快走していたレッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手がクラッシュしたことにより、残り3周で赤旗中断になるという、我々にとっては大きな波乱が起こったレースになりました。チームメートのペレス選手は、終止フェルスタッペン選手に続く2番手を走行し、同僚のリタイアによりトップとなった赤旗中断の後にも、きっちりとポジションを守りきり、自身のキャリア2回目、レッドブル・レーシング・ホンダへの移籍後初となる優勝を獲得しました。また、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリー選手が力強い走りとともに3位でフィニッシュしたことにより、ホンダF1としてダブル表彰台を獲得することができました。角田選手も7位入賞を果たし、熾烈な中団グループで闘うアルファタウリ・ホンダにとって貴重なポイントを獲得したことにより、コンストラクターズランキングを5位に押し上げました。今週末の4人のドライバーの好パフォーマンスと、戦略やピットストップなど、チームの素晴らしい働きが、マシンに速さを与え、予選での4台Q3進出、そして今日のレースでの好結果に結び付きました。ここからは1週を挟んで欧州での3連戦に向かいます。タフな戦いが続きますので、十分に準備をして、またいい戦いができればと思います」

本橋正充(ホンダF1 エイニアエンジニア)
「ここは最初のセクターは狭い街中を走る入り組んだレイアウトで、その後はエンジン負荷が高い長いストレートがレイアウトされています。PUとしてはパワー、ドライバビリティー、エネルギーマネージメントなど、さまざまな要素をうまくバランスしなければならないとても難しいサーキットです、そのような中でも、なんとかレース中にうまくマネージメントでき、我々としてできる限りのパフォーマンスを出すことができたと思っています。特にエネルギーマネジメントの設定は非常に難解ですが、HRD-SakuraとHRD-UKがここまで積み上げてきた努力と経験により、今日のレースもいい設定で走ることができました。両ファクトリーのエンジニアたちが開発を頑張ってきた成果が出たレースだったと思います。荒れた展開ですので、レースオペレーションを担当するエンジニアとしてはすごく忙しく、かつ疲れるレースになりました。事前にチームと一緒にさまざまなシナリオを想定してきましたし、終始いい走りを見せていたガスリー選手が赤旗などのチャンスを活かし、表彰台を獲得できたことは本当にうれしく思っています。チーム一丸でレースができた結果だとも感じています。角田選手についても、クラッシュはあったものの、昨日の予選からいいパフォーマンスを見せ、今日の難しいレースも走りきった上でポイント獲得と、非常にいい仕事をしてくれました。ここ数戦は苦しいレースもありましたが、色々と頑張って努力しているのも見てきましたし、今週末も初めてのコースで、頑張って習熟しながら、徐々にパフォーマンスを上げていってくれました。5位になったとはいえ、コンストラクターズランキングは非常に拮抗しています。ただ、マシンのポテンシャルは高いので、取りこぼしなくパフォーマンスを出していけば、おのずと結果はついてくると思っています。この後のレースでも、またアルファタウリと一緒に表彰台に上がれるよう、全力を尽くして戦っていきます!」

セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「バクーが大好きです!レッドブル加入後の初勝利は素晴らしい気分です。チームは大きな仕事を果たしてくれました。この素晴らしい機会を得られたのも、僕にシートを与えてくれた (レッドブル創業者のディートリッヒ・)マテシッツ氏のおかげで、とても感謝しています。マックスは勝利に値する走りをしていましたし、チームで1-2体制を築いていただけに結果としては残念で、思いきり喜ぶことはできません。まるでジェットコースターのようなレース展開で、1周目から全開で走っていましたが、背後にルイス(ハミルトン)がいたので息つく暇もありませんでした。とても激しい戦いでしたが、集中し続けました。今日はすべてが完璧に機能しましたが、最後のリスタートだけは別で、グリップがありませんでした。最後のたった2周でこのレースを落とすわけにはいかないと思い、ターン1へのブレーキングをできる限り遅らせていると、ルイスはロックアップしてランオフエリアへ真っすぐ行ってしまいました。これが、僕らがどれだけ限界で戦っているか、どれほどのスピードでバトルをしているのかを示しています。ルイスには気の毒ですし、こうしたことが起きるのはつらいものですが、僕らはみんなミスと紙一重のところにいるのです。今日はペースも素晴らしく、レースに向けてとてもいいマシンになっていたことを喜びたいと思います。そして、ここからも全力で取り組み、毎週末ベストを尽くしていきます。まだ6戦目で、僕にはまだ伸びしろがありますし、マックスやチームとの関係も最高です。チャンピオンシップ獲得への道のりはまだ長いです」

ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「ものすごいレースウイークでした。FP3でトップになり、予選では4番手、そして今日は表彰台に上がれました。チームのみんなと喜んでいますし、素晴らしい結果です!そして、レース内容も、残り2周でシャルル(ルクレール)との厳しいバトルを経て、激しく戦って手にしたポディウムです。レース全体も激しい展開で、前を行くドライバーについていこうとしましたが、レース中盤からはエンジンに少し問題が出て、ストレートでのパワーを失い始めていたので、終盤にかけては厳しくなると分かっていました。それでも、4番手を確保しており、リスタート後にはストレートでシャルルにパスされると思いましたが、目の前に表彰台は見えていたので、全力を尽くしました。どうしても表彰台が欲しかったのです。僕らが好きな、激しくもフェアな戦いでした。マシンはレースウイークを通じて素晴らしく、感触がとてもよかったので、チーム全員にとって最高の結果になりました。みんなに表彰台という成果で恩返しができてとてもうれしいです。次はフランスに向かいますが、今週末で何が上手くいったのかを分析し、次戦に向けてどうやってそれを活かしていくかを確認する必要があります。僕にとってはホームレースになるので、上手くいってほしいのですが、まずは今日の結果を祝います。もうレッドブルを1本飲みましたが、今夜はもっと飲むことになりそうです!」

角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「今週末、マシンのペースは力強かっただけに、今日の結果には少しフラストレーションを感じます。レースのスタートはよかったと思いますし、赤旗まではとてもいいパフォーマンスができていたと思います。残念ながら、最終ラップにかけて2つポジションを落としてしまいました。違うやり方があったのかは定かではありませんが、さらに前に行くためにはどうすべきかを学ぶべく、今夜はすべてを分析しします。7位という結果で、チームにとって貴重なポイントをもたらせました。ピエールの表彰台を祝福したいです。チームはそれに相応しい仕事をやり遂げ、素晴らしい結果が出せました!」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「レースをリードしながらフィニッシュ直前でリタイアするのは、とてもフラストレーションが溜まります。マシンにおかしなところは全く感じず、突然左リアを失ってかなり激しくウォールにヒットしました。クラッシュするのに適した場所ではなかったですし、正確な原因はまだ分かりませんが、完全な調査が行われるはずです。それまでは、素晴らしい一日でした。マシンは完璧と感じていましたし、悠々とリードを保ち、1-2フィニッシュは確実のように思っていましたが、このF1というスポーツでは、保証されるものは何もありません。当然、今日僕が勝利を逃したことはフラストレーションですが、チェコ(ペレス)のが勝利したことはとてもうれしいです。彼は、チームが望むすべてをやり遂げました。素晴らしいスタートを決めて、僕らは2人ともピット戦略でルイスを抜き去りました。彼はレース中ずっとディフェンスに徹していたと聞いたので、僕が勝てなくても彼が勝ってくれてうれしいです。人間的にも素晴らしく、最高のチームメートです。ポディウムでレッドブルでの初勝利を挙げた彼の笑顔が見られてよかったです。次戦からは通常のコースへと戻り、メルセデスも強さを取り戻してくるはずなので、チャンピオンシップでルイスとの差を広げられなかったのは残念ですが、今後もさまざまなことが起こるはずですし、僕らチームにとってはいい結果だったと思います!」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル / F1アゼルバイジャンGP / アルファタウリ