ホンダF1:2021年 第3戦 F1ポルトガルGP プレビュー
2021年のF1世界選手権 第3戦ポルトガルGPは、ポルティマオのアルガルベ・サーキットで開催される。昨年、コロナ禍によるスケジュール変更を受け、初めてF1の舞台となったポルティマオだが、今年もカレンダーに組み込まれ、2年連続での開催となった。

2008年開場のサーキットは、全長約4.6㎞で高低差に富み、マシン、ドライバー、エンジンのすべてが試されるチャレンジングなレイアウト。ポルトガルGPとしては、1980年代から90年代にかけて開催されたエストリルも知られている。

ホンダF1エンジン搭載車は、1992年にゲルハルト・ベルガーとアイルトン・セナが2-3位でダブル表彰台を飾っており、このレースで優勝したウイリアムズのナイジェル・マンセルは、1986年にホンダF1エンジンでポルトガルGPを制している。

昨年はマックス・フェルスタッペンが3位表彰台、ピエール・ガスリーが5位入賞を果たしているが、今年は1992年モナコGP・カナダGP以来の連勝、およびホンダF1としての通算80勝目をかけてレースに臨む。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「イタリアのイモラ・サーキットで行われた第2戦エミリア・ロマーニャGPでは、レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が優勝し、これまでに比べてシーズン序盤からライバルに対していい戦いができていると感じています。また、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダも多くのライバルチームと非常に力が拮抗している戦いの中で、よいパフォーマンスを見せています。長いシーズンの2戦を終えたばかりです。この先の1戦1戦を大事に、常に全力で両チームのメンバー、そして4人のドライバーとともに戦っていきたいと思います。今回のレースの地となるアルガルベ・サーキットは、ポルトガル南部のビーチリゾートにほど近い丘陵地帯にあることから、高低差が大きくアップダウンに富んだレイアウトが特徴です。昨年は、コロナ禍の影響を受けたカレンダー変更により、この地で初めてF1のレースが開催されました。今回は2回目の開催となるので、チームそして我々ホンダともに昨年のデータを参考にしてレースの準備を進めています。今のところ金曜日に若干、雨の確率が高いという予報が出ています。貴重なフリー走行の時間をうまく使いながら、今年の新しいPUでのデータを収集し、予選・レースに臨みたいと思います」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「イモラでの勝利は素晴らしいものでしたし、特にバーレーンで優勝を逃したあとだけに、とても満足感がありました。バーレーンでのレースでは、学ぶべきことがあるのは明らかだったので、僕らはそれを実行し、勝利をつかみ取ることができました。長いシーズンだということも分かっているので、集中し続けなければならないし、僕は常に先を見ています。イモラでも完璧というわけではなかったので、プッシュし続けなければなりません。(イモラでのスタートを振り返り)スタートでは何が起こるか分からないものですが、いいスタートができたと感じました。土曜日は最高のパフォーマンスではなかったので、ターン1からレースをリードできたのはいい気分でしたね。RB16Bは速くて、グリップがあり、バランスがいいので満足しています。(今季のレギュレーションで)フロアで発生するダウンフォースが減少しましたが、僕らはほかのチームよりも減少量が小さかったのだと思いますし、僕らがいい形で前進できたことも示していると思います。いい形でシーズンを開始できました。このチームに来てから最高のシーズンスタートになっていますが、シーズンは長いので、チャンピオンシップ争いをするには、進化し続けなければなりません。今年またポルトガルに戻るのが楽しみです。昨年は表彰台に立ちましたが、今年はマシンもよくなっているので、そこから可能な限りすべてを引き出し、さらに楽しめればと思っています。ここまでのレースウイークでは、毎回勝利のチャンスがあると感じてきましたが、ポールポジション争いができることが分かった今は、また少し心持ちが違います。これまで何年もかけて多くのことを学んできたので、これから何が起きるのかとても楽しみです。簡単なことではありませんが、今シーズン戦い続けられるように、できることはすべてやっていきます

セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「先日のイモラでのフロントロー獲得は、僕自身の前進を感じられたという意味でとてもうれしいものでした。レッドブルとの2戦目という短期間で、マシンのポテンシャルを最大限に引き出し、あそこまでの速さを見せられたことに自分でも驚いています。また、自身のドライビングスタイルを変え、これまでとは大きく特徴が異なるマシンを乗りこなせていることは、僕にとって大きな自信になっています。マシンの理解を深めてこられていることを、とてもポジティブに感じています。RB16Bの競争力の高さについては、チームの全員のモチベーションを天まで届くくらい高いものにしてくれています(笑)。みんな、自分の仕事をきちんとやり遂げて、マシンの最大限のパフォーマンスを引き出すことができれば、レースに勝てる可能性が高いことが分かっていますし、ここからさらなる前進を遂げるために、2台のマシンのクルーともに毎戦毎戦本当にハードにプッシュしています。イモラでは1-2フィニッシュを獲得できただけに、もったいないレースウイークになりましたが、それは今回のポルトガルGPで達成できると思っています。特に最近チームを移籍したドライバーにとって、イモラは結果を出しにくいサーキットでしたが、ポルトガルではトップ集団の中でいい戦いをしたいです。マシンには速さがあるので、そのポテンシャルを引き出すのが僕たちの仕事ですし、次のレベルに行くためにさらにいい形にしていかなくてはいけません。新しいマシンに適応するには、できるだけそのマシンを長くドライブする必要があります。乗れば乗るだけ新しい発見があるので、それを自分なりに解釈してエンジニアたちと話をしたり、再度映像を確認したりするのですが、そういったことすべてが改善につながっていきます。今年チームを変えたドライバーを見てみると分かる通り、マシンを自分のものにするには本当に時間がかかるんです。みんないいドライバーですし、ものすごい速さを持っていますが、それでもマシンのすべてを自然に感じられるようになるまでには、こういったプロセスを経ていかなくてはなりません。昨年が初開催となったポルティマオでのレースですが、ポルトガルはレースをするには素晴らしい場所だと思います。前回は新たに舗装した路面が滑りやすく、難しいレースになったのですが、今年はそれがどうなるのか興味深いですし、間違いなくいいサーキットだと思っています。今回が今シーズン最初の2週連続の開催になり、その後もレースが続いていくので、ここからいい流れに乗っていくことが重要だと思っています」

ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「前回のイモラは、結果だけ見れば残念なものでしたが、ポジティブな面もありました。フリー走行ではすべてのセッションでトップ10に入りましたし、予選ではポールポジションと0.3秒差で、開幕戦に続いて5番手と、チームにとっては最高の結果を獲得できました。決勝での7位というのもいい結果ですが、もっと上を狙えたはずです。チームで話し合い、再発を防ぐために何ができるか確認していきます。昨年、ポルティマオでは5位フィニッシュといいレースができました。高低差が大きく、ジェットコースターのようにアップダウンが続くユニークなサーキットです。ドライブしていて楽しいですが、普段走るサーキットと異なり、グリップが低くてマシンがかなりスライドするので、タイヤの熱入れが簡単ではありません。今年は(一番硬い)C1コンパウンドのハードタイヤで走ることになりますが、昨年は特にFP1で熱入れにかなり苦しみました。ただ、今回は少し知見がありますし、気温も高くなるはずです。こうした事情から、最初の2戦とは違ったチャレンジになっていくはずです。ここまで2戦もそうですが、フリー走行は1セッション60分間です。それでも、走行プログラムは変わらないので、ガレージで待機する時間が短くなり、コース上のマシンは多くなります。活発なセッションになるので、僕はこれがとても気に入っています。翌週はスペインGPですが、ここバルセロナでマシンの向上具合をウインターテストと比較しないというのは初めての経験です。決勝でのオーバーテイクが簡単にはいかないのですが、悪くないコースです。予選がとても重要になりますが、これまで土曜に上手くやれている点は心強いです。ただ、日曜のレースでのパフォーマンスをもっと向上させることに集中していかなければなりません。今年はヘアピンのコースレイアウトが変更されたので、それがどんな影響を見せるのか興味深いです。シーズン序盤のレースでマシンはうまく機能しているように見えますが、バルセロナはマシンの素性をテストするのに適していると言われています。シーズン4戦目となるので、さまざまなタイプのサーキットでどんなパフォーマンスになるかはつかめる頃ですし、他のチームとの比較も分かっているはずです。僕たちにとっての現時点のカギは、好調な予選をより多くのポイントにつなげていくことです」

角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「先日のイモラは学ぶべきことが多い週末になり、順調にいったバーレーンとは正反対でした。僕自身はもちろんですが、チームも非常に高い期待とともに臨んだレースで、フリー走行まではとてもスムーズに進んでいましたが、予選で大きなミスをしてしまい、それによってとてもタフなレースを強いられました。過去2年間、ここまでひどいクラッシュはなかったので、今後のレースに向けたレッスンになりました。レースでは、初めてウエットでF1マシンをドライブする機会となり、インターミディエイトタイヤを使うのは大変だったので、徐々にスピードを上げていかざるを得ませんでした。ただ、最初の2戦は競争力のあるマシンで、トップ6を走れる力はありました。ポルトガルのコースは初めてです。どうなるかは分かりませんが、シミュレーターでポルティマオを走り、昨年の大会も見ています。美しいサーキットで、ターン1や逆バンクになっているターン13などユニークで面白いコーナーがありますし、アップダウンやブラインドコーナーも多いです。トラックリミットもやっかいだと思いますが、徐々にペースを上げていくつもりです。バーレーンやイモラでは走行経験が多くありましたが、今回は過去2戦と全く違う状況になるはずです。フリー走行では、なるべく早くコースに慣れることができるように、きちんと周回数をこなせればと思いますし、予選に向けた準備を整えたいですね。ポルトガルの後は、スペインでのレースになります。昨年、バルセロナで開催されたF2では、両レースで4位に入りました。このコースではタイヤマネージメントが重要で、予選でもいいラップタイムを出すために、セクター1でタイヤを傷めてセクター3でタイヤが使えなくなる事態を避けなくてはいけません。このコースは好きなので、F1マシンでの初走行を楽しみにしています。コースはよく分かっており、FP1の初めから速く走れる自信があります」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / F1ポルトガルGP