ホンダF1:2020年 第15戦 F1バーレーンGP プレビュー
ホンダF1は、2020年のF1世界選手権をいい形で終えるためにも、3連戦の初戦となる今週末のF1バーレーンGPで好成績を残せるように全力で臨む。

今週末から、バーレーンでの2連戦が始まる。今季の大幅なスケジュール変更によって、F1バーレーンGPはシーズン終盤戦となったが、例年は春に開催されているので、バーレーン・インターナショナル・サーキットでのF1開催は、1年7カ月ぶりとなる。そして、ここバーレーンでは、今シーズン初めてトワイライト/ナイトレースが行われる。

さらに、2戦目はこれまでF1で使用されたことのないレイアウトが予定されており、その直後には最終戦のアブダビGPと、シーズン最後の3連戦となる。F1バーレーンGPといえば、2018年、トロロッソ(現アルファタウリ)とのパートナーシップ2戦目にして、ピエール・ガスリーが4位入賞を果たした印象が未だに鮮烈だ。そして、レッドブル・ホンダも、2012・2013年に勝利を挙げている。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「トルコでの難しいコンディションのレースを終え、今週からはシーズン最後となる中東での3連戦が始まります。まずは最初のレースが開催されるバーレーン・インターナショナル・サーキットに向かいます。今年はレッドブル・リンク、シルバーストーンで2週連続のレースを行いましたが、ここバーレーンでは第15戦に例年F1が行われるレイアウトでのレース、来週にはそのアウタートラックを使い、レイアウトを変えての2週連続開催となります。また、サーキットレイアウトが変わるのに加えて、レース開催時刻も第15戦がトワイライトレース、第16戦はナイトレースと変化します。我々にとっても、ファンの皆さんにも変化のあるレースが楽しめるのではと思っています。バーレーンGPは、例年シーズン序盤の3月から4月にかけて行われますが、今年はコロナ禍の影響で第2戦の4月に行われる予定が延期となりこのタイミングでの開催となりました。しかしながら、バーレーンの気候は年間を通して比較的安定しており、気温などのコンディションはそれ程大きく変わりません。P1とP3が行われる日中と、P2・予選・決勝が行われる夕刻とで大きく気温が異なるなどバーレーン特有のセットアップを含めて過去のデータを参考にしつつレースに向け準備を進めます。前戦のトルコではアストンマーティン・レッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリともに悔しいレースになりました。両チームとともにいい形でシーズンを締めくくれるよう、まずは3連戦初戦、今週末のレースをよい形でスタートを切れるよう全力で挑みます。また、過密日程で行ってきたシーズン終盤、メンバーにも疲れがたまってきているので、コロナ対策に加えて体調管理にもいつも以上に気を遣っていきたいと思います」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)
「前戦トルコGPの金曜日はとても難しいトラックコンディションでしたが、バランスはよかったですし、マシンもうまく機能しました。その勢いで土日もいけると思っていたので、決勝を6位で終えたのは、チームの全員にとって残念な結果でした。いくつかの問題を抱えていたため、リアタイヤの消耗が他のマシンよりも早かったです。ここでは勝ちたいと思っていただけに、僕だけでなく、チームの全員がトルコでの結果を悔しく感じています。しかし、過去は変えられないので、前を向いて勝ちにいくのみです。残りのレースは、前回のような変則的なコンディションにはならないと思っています。ナイトレースはいつもと違う感覚を味わえるので好きですし、シーズン最後にちょっとした変化があるのもいいと思っています。バーレーンはよく知っているサーキットですが、タイヤにとって厳しいトラックなので、最適なセットアップを見つけるのが重要になるでしょう」

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
「トルコでのレースについては、あまり語ることがありません。今年最悪のレースと言えるものでしたから、バーレーンでの2連戦に気持ちを切り替えています。イスタンブールでは、低温とスリッピーなコンディションでマシンをうまく機能させられず、チームとしては今季2度目のノーポイントレースになってしまいました。バーレーンでは、少なくともタイヤの温度に問題が出ることはないはずです!コンディションは通常の状態に戻ると思います。ここは、これまで僕らのマシンと相性のいいサーキットでしたし、2018年は4位と、当時の僕にとってベストリザルトを記録することができました。例年は4月に開催されているので、いつもと時期は異なりますが、中東エリアは時期によって大きな温度変化はないはずです。オーストラリアGPのあと、2カ月間を中東で過ごしたので、慣れ親しんだ場所へ戻ってくる感覚です。ここから約3週間の滞在となるので、1年のほぼ4分の1をここで過ごすことになりますね。このバーレーンでの2戦でできるだけいい結果を残し、いい形でシーズンを締めくくりたいと思っています。ずっとマシンの調子はよく、今季はほぼ全レースで競争力を発揮できているので、コンストラクターズランキングを上げるのは厳しいかもしれませんが、ここでも激しく戦い、ポイントを獲得することが必要です。とにかく最後の3戦に集中し、自分たちに何ができるかを見極めていきます。バーレーンのコースについてですが、例年使用しているレイアウトは、ストレートのコース幅がかなり広いので、オーバーテイクに適しています。また、とてもテクニカルでおもしろいコーナーもあります。一方で、2戦目は普段と全く異なり、ほぼオーバルと言えるレイアウトが予定されています。コーナーは4つしかないので、スリップストリームの使い合いになり、インディ500のF1バージョンのような戦いになるのではないでしょうか。シミュレーターで何周かしましたが、ラップタイムは1分を切っていたので、トラフィック対策は簡単にいかないと思います。予選ではチームプレイで、自分のトウにチームメートを入れ、その後は逆にトウをもらうといった走りになるはずです。レースでもスリップストリームを使う場面が多くなると思うので、みんな経験したことのない、おもしろい展開になるはずです。オーバーテイクの多い、盛り上がるレースになると思いますし、DRSでオーバーテイクが簡単にできてしまうのかも見ものです」

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・レーシング)
「前戦のトルコGPでは、自分のマシンにいくつかのことを試し、それらがうまく機能していました。それにより、よりコントロールのしやすいマシンになり、悪くない週末でした。チーム全体として調子がよかったですし、初日にいい走りができていたことを考えると、多くのポイントを獲得できなかったこと言う結果に対するフラストレーションは少しありますが、ポジティブなことも多かった週末だったと思います。いつもと違ういい経験でしたが、とても難しく、ミスを起こしやすいコンディションでした。状況に適応して限界まで攻め、いろいろなラインを試すことでラップタイムを向上できました。楽しい体験でした。前戦でいい走りができましたし、正しい方向に進んでいる自信があります。シミュレーターで確かめたマシンの感触もよかったですし、改善が進んでいます。バーレーンでその成果を確認するのが楽しみです」

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
「トルコでは異例の路面コンディションで全員にとって厳しいレースウイークとなったので、バーレーンで普通の状態で戦えるのはいいことです。今週末は、少なくとも天候の面でサプライズはほとんどないはずです。イスタンブールはあまり経験のない状況だったので、いいレッスンになったと思います。僕にとっては、今回が7度目のバーレーンとなります。おもしろいコースで、さまざまな種類のコーナーがあって、オーバーテイクの機会も多いです。いつものように、金曜日になるべく早くマシンを作動領域に入れることがカギになりますし、そこからどれだけ伸ばせるかを見ていきたいと思います。中東でシーズンを終えられるのはうれしいですし、最後の3戦はとことんプッシュしていきます。バーレーンでの2戦目に使用される新たなレイアウトを、シミュレーターで試す機会がなかったので、ぶっつけ本番で挑むことになりますが、マシンからどれだけ引き出せるか見ていきます。スピード感を持って学んでいかなければなりません。1戦目との違いは、完全なナイトレースになることです。1戦目は日没前にスタートしますが、2戦目はスタートが遅いので、レース中のタイヤ温度などに影響が出るはずです。ピットボードのカウントダウンが87周から始まるなんて、かなり多い週回数で、変な感じがするかもしれません。最初の3つのコーナーは普段のレイアウトでも使われていますし、ラップの終盤でまた通常レイアウトへ戻ってくるので、そこまで大きな違いは感じないと思います。見た感じでは、新たなレイアウトでは真の意味でコーナーと呼べる場所は少ないので、かなりの高速でのチャレンジになるはずです。普段との違いがあるといつでもおもしろくなるものです」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1バーレーンGP / スクーデリア・アルファタウリ