ホンダ F1撤退 記者会見(質疑応答)
ホンダは10月2日(金)、F1世界選手権へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を、2021年シーズンをもって終了することを決定したことを発表。八郷隆弘社長がオンライン記者会見でメディアからの質問に答えた。
レッドブルとのパートナーシップを開始した2019年にホンダのF1エンジンとして13年ぶりに優勝を果たし、これからF1ワールドチャンピオンを目指していくと考えられていた矢先の撤退。質問するメディア担当者からも失望が伺えた。
新型コロナウイルスの業績への影響ではないのか?
今回の参戦終了に関することについてですけども、昨年の(レッドブルとの)1年延長を決めた時からいろいろなことを考えてまいりました。そして、8月にレッドブルに我々の考えを伝えて、最終的に終了を決定したのは先月9月末のことになります。そして、今回終了したのは短期的な収益というより、我々、2050年に向けてカーボンフリー『カーボンニュートラルの目標』を掲げて、そこに達成するための2030年での4輪の販売の3分の2を電動化するということをさらに加速をさせていくために、経営のリソース、特に技術者のリソースをそこに傾けようということで、今回の参戦終了を決定いたしましたので、収益というかコロナの影響ということではなくて、将来を見据えた技術者のリソースということだと考えて頂ければと思います。
2050年にむけてガソリン車の販売比率はどうなっていくのか?
2050年にカーボンニュートラルに向けて、我々が進めていくこと、これにつきましてはモビリティのパワーユニットの低炭素化、電動化、それにエネルギーを通じて再生可能エネルギーが利用できるパワーユニットの開発やモビリティーサービス、これを行っていくことだと考えています。さらに企業活動領域で省エネルギー化、再生エネルギーの利用など、こういうトータルの考え方でカーボンニュートラルを達成しようと思っています。その中でのガソリン車の販売ですけども、2030年方に向けてはやはりまだハイブリッドが中心になると考えております。その後につきましてはカーボンニュートラルに向けて世の中の動き、世間の方々の考え方などを踏まえて、最終的には決定していくと思いますが、いずれにしても2030年以降2050年に向けて、ガソリン車内燃機関の数は減っていくと考えております
撤退ではなく、終了という表現した意味は? レースはDNAというが、F1復帰の可能性はあるのか?
今回は2050年カーボニュートラルへの実現という新たなチャレンジにリソースを傾けるということで判断しましたので、再参戦のことは考えておりません。ただ、レースはホンダのDNAですので、現在参戦しているレースにつきましては継続して、しっかりと熱い情熱を持ってそこに参加をしていきたいと考えております。
F1に参戦した意義は?
F1への参戦意義ですけども、やはりF1は世界最高峰のレースということで、我々としましては、今回参戦して、技術面ではエネルギーマネジメント技術の進化、そして、ジェットや量産技術、ホンダの中でオールホンダの技術連携、このようなことが技術面では得ることができました。また、人材育成面ではパワーユニットや燃料技術、そして、カーボンニュートラル実現に貢献できる若い技術者が育ったとに思っています。そして、結果を出すことに対する苦しさ、辛さ、諦めないチャレンジ精神を学べだと考えております。F1に参戦する意味、技術の進歩と人材育成ということで参戦を考えており、ある一定の成果が今回得られたと考えております。ただ、今シーズン後、7戦残っておりますし、来シーズンもありますので、特に来シーズンについては新しいパワーユニットを投入し、シリーズチャンピオンを取れるようにレッドブル、アルファタウリとともに、最後まで戦い抜いていきたいと考えています。
環境への取り組みは10年以上前からやっているはず。この時点での終了を決めた理由は?
我々も10年以上前から環境の取り組み、CO2削減のことをやってきております。ただ、今、自動車業界では100年に一度の大転換期と言われるのと同じように、環境に対しても非常に世界中で高い関心があり、そのCO2削減に向けたスピードが非常に速くなっていると考えております。今回のコロナウイルスの感染拡大に対しましても、非常に自然に対する考え方が大きく変わったと思っておりますし、カーボンニュートラルに向けた加速がさらに加速していくだろうということで、今回、我々がF1で培ってきたエネルギーマネジメント技術や燃料技術、様々な技術とその技術者のリソースを環境に振り向けたいということで、今回の決定に至りました。
量産車のエンジン開発はどうなっていくのか?
我々は2030年に向けて四輪販売の3分の2を電動化しようという目標もかけかけておりますし、今回2050年にカーボンニュートラルを実現しようということで進めていますので、今後のパワーユニットの開発のリソースにつきましては、今年4月より先進パワーユニットエネルギー研究所というところを作りましたですので、そこにリソースを振り向けていくということで、2030年以降については電動パワーユニットさらに大きく進化させ拡大させなければいけないというふうに思っておりますので、エンジン開発を縮小しながら、連動パワーユニットに振り向けると考えております
なぜF1をやめるのか? F1以外のモータースポーツの考え方は?
ホンダが目指す2030年、四輪販売の3分の2を電動化するということ、それから2050年に向けてカーボンニュートラルを達成するということにつきましては、やはりF1というのは先進パワーユニットやエネルギーの研究が核となって行なってきました。これは他のレースとは少し違うところがございます。特にF1に携わったエンジニアというのは、我々の電動化に向けた技術を習得しておりますので、今回の判断になりました。また、その他のレースにつきましては、これからもホンダのDNAはレースにありますので、参戦を続けていきたいと考えております。
ブランド戦略として電動化は差別化が難しくなるのでは?
色々なご意見はあると思いますが、我々、今回2030年に四輪販売の電動化を3分の2、さらに2050年にカーボンフリー、これを実現していくということも、ホンダとしての大きなチャレンジだと思います。環境対応を行うということもホンダのDNAであるとに思っております。その中で我々としての価値、これはやはり先進のパワーユニット、それとエネルギー、これがホンダのブランドの価値になっていくと考えていますので、今回、先進パワーユニットエネルギー研究所を設立し、そこから出るこれからの技術商品で他社とは違うものを作っていきたいと考えています。
F1をやっているからホンダに入ってきた社員もいるのでは? F1をやっている技術者は?
F1をやっている技術者につきましては、そのF1で培ってきた技術を2050年カーボンフリーに向けて新たな新しいパワーユニット、エネルギーの研究に従事してもらうように話をしたいと思っています。その挑戦というのは、F1同様に非常に難しい挑戦になります。その挑戦にチャレンジするということも技術者としての一つのチャレンジだと思ってくれると思いますので、そのような方向でしっかりと身に付けた技術を生かすマネージメントをしていきたいと思いますし、そういうことをやることでホンダに入りたいと思う人が出るように、これから我々の出す商品、技術をしっかりと出していき、それを見守っていただきたいと思っております。
F1で、一番悔しかったこと、嬉しかったことは?
今年まだ7戦残っています。来シーズンも1シーズンやりますので、そこでしっかりと頑張っていきたいと思いますので、その中で悔しいことも嬉しかったことも出ると思いますが、現時点で言いますと、一番悔しかったのは、個人的になりますけど、2018年の最終戦アブダビGPでガスリー選手のエンジンブローが出た時です。当時のトロロッソと参戦し、非常に良いペースで行っていたのが最終戦でエンジンブローしてしまったということで、翌シーズンからレッドブルへのエンジン供給も決まっていましたので、今までの1年間何やってたんだろうということで非常に悔しい思いをしました。そして、一番うれしかったのはやはり我々苦しい時に手を差し伸べてくれた当時のトロロッソ、現在のアルファタウリ、その参戦50戦目で初優勝できたということが一番うれしかったです。
2008年に撤退したときとの違いは?
今回の参戦戦終了につきましては、先ほども少しお話をしましたけども、短期的な収益、そういうことではなくて、やはり2050年に向けてカーボンニュートラル、これからの環境対応を考えると、特に技術者のリソースこれをどこに振り分けるべきかということを常々考えておりまして、やはり先進のパワーユニットエネルギーという領域を強化すべきだということで、今回大きな決断をしました。その結果をしっかりと出していくということが我々の務めだと思っています。また、社会環境もそういう環境に対するものに対して非常に敏感になり、強い期待もあるというふうに思っておりますので、それを実現するために今回の決断を致しました。
具体的にどのようにリソースを再配分していくのか?
今回2050年カーボンニュートラルということを実現しようということを宣言いたしました。そのためのやり方になりますけども、まだまだ十分に研究開発が終了しているものだけではございません。ただ、我々ホンダとしましては、いろいろなパワーユニットを持ち、いろいろなモビリティを持っております。これをつなぐエネルギー技術というものもございますので、それをホンダの強みとして、カーボンニュートラルに向けてやっていきたい。また、2030年に向けた通過点としていま4輪の販売台数の3分の2を電動化していこうということを考えていますが、その中でもゼロエミッションビークルをさらに強化していこうと思っております。eマースにつきましても、グリッドをつなぐ発電電気の使用、そしてモビリティというものをつなぐということの考え方で行っておりますので、できるだけ早い時期にご紹介できるようになった時に、具体的なところをご紹介したいなと考えております
世界一を戦うことを期待していたファンにはどう説明するのか? フォーミュラEなどへの参戦は?
ファンの皆さまにはこれまで、これからも応援をいただきたいと考えております。今年まだ7戦残っておりますし、来年へもう1シーズン我々全力を尽くしてやります。来シーズンにつきましては新しいパワーユニット投入いたしまして、シーズンチャンピオンをレッドブルと獲っていきたいと思っております。これまでの活動につきましては、当初の3年間非常に苦しい状況もありましたが、それを乗り越えてこれまでに5勝を達成することができました。我々としてはある程度の成果が残せたのではないかと考えております。来年に向けてさらに全力を尽くしていきますのでぜひファンの皆様にはご声援をよろしくお願いしたいと思っております。また他の電動レースの参戦につきましては現在のところ具体的に考えているものはありません。そして、今回2050年にカーボンニュートラルということを掲げました。これはホンダの新たな挑戦になりますのでできれば、その挑戦に対してもご声援をいただければと考えています。
F1と同じように合成燃料を使用することに可能性を見出していないのか?
我々カーボンニュートラル実現のために、合成燃料についても研究開発をしております。いらないということではなく、合成燃料についても必要な技術だと考えております。ただ、まだまだハードルの高い技術で乗り越えなければいけないところがございますので、これからしっかりとやっていきたいと考えているので、カーボンニュートラルを目指す中で合成燃料が必要ないとは考えておりません。
トップカテゴリーから日本の企業が撤退するということに対する影響はどう考えているのか?
モータースポーツというのは、やはり盛り上げていかなければいけないと考えております。我々F1から撤退することになりましたが、他のモータースポーツ、いろいろなところでですね、モータースポーツ信仰を広めていきたいと考えておりますので、そういうところでもっともっとモータースポーツを日本全体で盛り上げていくことを考えていきたいと考えています。
社内から賛否の声はなかったのか?
今回のF1参戦につきましては、2015年、私が社長に就任にしたと同時に参戦をしました。当時、非常に苦しい時期もあったんですけど、本当に苦しく、私としては悩んだ時期もあります。その時にトロロッソ、今のアルファタウリになりますけども、新たなスタートを切れたというのが非常に良かったと思っています。特にチーム代表のトストさんには今でも感謝をしております。そして、トストさんと一緒に戦ってきて、50戦目にアルファタウリとして優勝できたということが非常にうれしく思っています。その中で今回、ただ我々としても事業の方向性でいきますと、2050年のカーボンフリーに向けた対応というのも重要なチャレンジになりますので、私としては、そちらに特に技術者、技術のリソースを傾けるべきだということで、社内では参戦を継続すべきだという意見はいっぱいございましたけれども、社長として私が判断をしました。
F1に参戦してブランド力を高めていくという考えはなかったのか?
F1に継続参戦して、ブランド力を高めていくか、今回決定いたしました2050年カーボンニュートラルに向けた方向でどちらにリソースをやるかということは、社内、経営陣で十分議論を尽くしました。その中で今回の決定に至りました。確かに、F1というチャレンジの一つもございますけれども、我々一つの目標であった優勝ということもできました。さらに残り7戦、来年のシーズンに向けてさらに結果を出したいと思っています。その中で環境対応というのも非常にチャレンジングなことだということで、これからそこにチャレンジしていくんだということで最後は全員で意思を固めて今回の決定をすることになりました。
カテゴリー: F1 / ホンダF1
レッドブルとのパートナーシップを開始した2019年にホンダのF1エンジンとして13年ぶりに優勝を果たし、これからF1ワールドチャンピオンを目指していくと考えられていた矢先の撤退。質問するメディア担当者からも失望が伺えた。
新型コロナウイルスの業績への影響ではないのか?
今回の参戦終了に関することについてですけども、昨年の(レッドブルとの)1年延長を決めた時からいろいろなことを考えてまいりました。そして、8月にレッドブルに我々の考えを伝えて、最終的に終了を決定したのは先月9月末のことになります。そして、今回終了したのは短期的な収益というより、我々、2050年に向けてカーボンフリー『カーボンニュートラルの目標』を掲げて、そこに達成するための2030年での4輪の販売の3分の2を電動化するということをさらに加速をさせていくために、経営のリソース、特に技術者のリソースをそこに傾けようということで、今回の参戦終了を決定いたしましたので、収益というかコロナの影響ということではなくて、将来を見据えた技術者のリソースということだと考えて頂ければと思います。
2050年にむけてガソリン車の販売比率はどうなっていくのか?
2050年にカーボンニュートラルに向けて、我々が進めていくこと、これにつきましてはモビリティのパワーユニットの低炭素化、電動化、それにエネルギーを通じて再生可能エネルギーが利用できるパワーユニットの開発やモビリティーサービス、これを行っていくことだと考えています。さらに企業活動領域で省エネルギー化、再生エネルギーの利用など、こういうトータルの考え方でカーボンニュートラルを達成しようと思っています。その中でのガソリン車の販売ですけども、2030年方に向けてはやはりまだハイブリッドが中心になると考えております。その後につきましてはカーボンニュートラルに向けて世の中の動き、世間の方々の考え方などを踏まえて、最終的には決定していくと思いますが、いずれにしても2030年以降2050年に向けて、ガソリン車内燃機関の数は減っていくと考えております
撤退ではなく、終了という表現した意味は? レースはDNAというが、F1復帰の可能性はあるのか?
今回は2050年カーボニュートラルへの実現という新たなチャレンジにリソースを傾けるということで判断しましたので、再参戦のことは考えておりません。ただ、レースはホンダのDNAですので、現在参戦しているレースにつきましては継続して、しっかりと熱い情熱を持ってそこに参加をしていきたいと考えております。
F1に参戦した意義は?
F1への参戦意義ですけども、やはりF1は世界最高峰のレースということで、我々としましては、今回参戦して、技術面ではエネルギーマネジメント技術の進化、そして、ジェットや量産技術、ホンダの中でオールホンダの技術連携、このようなことが技術面では得ることができました。また、人材育成面ではパワーユニットや燃料技術、そして、カーボンニュートラル実現に貢献できる若い技術者が育ったとに思っています。そして、結果を出すことに対する苦しさ、辛さ、諦めないチャレンジ精神を学べだと考えております。F1に参戦する意味、技術の進歩と人材育成ということで参戦を考えており、ある一定の成果が今回得られたと考えております。ただ、今シーズン後、7戦残っておりますし、来シーズンもありますので、特に来シーズンについては新しいパワーユニットを投入し、シリーズチャンピオンを取れるようにレッドブル、アルファタウリとともに、最後まで戦い抜いていきたいと考えています。
環境への取り組みは10年以上前からやっているはず。この時点での終了を決めた理由は?
我々も10年以上前から環境の取り組み、CO2削減のことをやってきております。ただ、今、自動車業界では100年に一度の大転換期と言われるのと同じように、環境に対しても非常に世界中で高い関心があり、そのCO2削減に向けたスピードが非常に速くなっていると考えております。今回のコロナウイルスの感染拡大に対しましても、非常に自然に対する考え方が大きく変わったと思っておりますし、カーボンニュートラルに向けた加速がさらに加速していくだろうということで、今回、我々がF1で培ってきたエネルギーマネジメント技術や燃料技術、様々な技術とその技術者のリソースを環境に振り向けたいということで、今回の決定に至りました。
量産車のエンジン開発はどうなっていくのか?
我々は2030年に向けて四輪販売の3分の2を電動化しようという目標もかけかけておりますし、今回2050年にカーボンニュートラルを実現しようということで進めていますので、今後のパワーユニットの開発のリソースにつきましては、今年4月より先進パワーユニットエネルギー研究所というところを作りましたですので、そこにリソースを振り向けていくということで、2030年以降については電動パワーユニットさらに大きく進化させ拡大させなければいけないというふうに思っておりますので、エンジン開発を縮小しながら、連動パワーユニットに振り向けると考えております
なぜF1をやめるのか? F1以外のモータースポーツの考え方は?
ホンダが目指す2030年、四輪販売の3分の2を電動化するということ、それから2050年に向けてカーボンニュートラルを達成するということにつきましては、やはりF1というのは先進パワーユニットやエネルギーの研究が核となって行なってきました。これは他のレースとは少し違うところがございます。特にF1に携わったエンジニアというのは、我々の電動化に向けた技術を習得しておりますので、今回の判断になりました。また、その他のレースにつきましては、これからもホンダのDNAはレースにありますので、参戦を続けていきたいと考えております。
ブランド戦略として電動化は差別化が難しくなるのでは?
色々なご意見はあると思いますが、我々、今回2030年に四輪販売の電動化を3分の2、さらに2050年にカーボンフリー、これを実現していくということも、ホンダとしての大きなチャレンジだと思います。環境対応を行うということもホンダのDNAであるとに思っております。その中で我々としての価値、これはやはり先進のパワーユニット、それとエネルギー、これがホンダのブランドの価値になっていくと考えていますので、今回、先進パワーユニットエネルギー研究所を設立し、そこから出るこれからの技術商品で他社とは違うものを作っていきたいと考えています。
F1をやっているからホンダに入ってきた社員もいるのでは? F1をやっている技術者は?
F1をやっている技術者につきましては、そのF1で培ってきた技術を2050年カーボンフリーに向けて新たな新しいパワーユニット、エネルギーの研究に従事してもらうように話をしたいと思っています。その挑戦というのは、F1同様に非常に難しい挑戦になります。その挑戦にチャレンジするということも技術者としての一つのチャレンジだと思ってくれると思いますので、そのような方向でしっかりと身に付けた技術を生かすマネージメントをしていきたいと思いますし、そういうことをやることでホンダに入りたいと思う人が出るように、これから我々の出す商品、技術をしっかりと出していき、それを見守っていただきたいと思っております。
F1で、一番悔しかったこと、嬉しかったことは?
今年まだ7戦残っています。来シーズンも1シーズンやりますので、そこでしっかりと頑張っていきたいと思いますので、その中で悔しいことも嬉しかったことも出ると思いますが、現時点で言いますと、一番悔しかったのは、個人的になりますけど、2018年の最終戦アブダビGPでガスリー選手のエンジンブローが出た時です。当時のトロロッソと参戦し、非常に良いペースで行っていたのが最終戦でエンジンブローしてしまったということで、翌シーズンからレッドブルへのエンジン供給も決まっていましたので、今までの1年間何やってたんだろうということで非常に悔しい思いをしました。そして、一番うれしかったのはやはり我々苦しい時に手を差し伸べてくれた当時のトロロッソ、現在のアルファタウリ、その参戦50戦目で初優勝できたということが一番うれしかったです。
2008年に撤退したときとの違いは?
今回の参戦戦終了につきましては、先ほども少しお話をしましたけども、短期的な収益、そういうことではなくて、やはり2050年に向けてカーボンニュートラル、これからの環境対応を考えると、特に技術者のリソースこれをどこに振り分けるべきかということを常々考えておりまして、やはり先進のパワーユニットエネルギーという領域を強化すべきだということで、今回大きな決断をしました。その結果をしっかりと出していくということが我々の務めだと思っています。また、社会環境もそういう環境に対するものに対して非常に敏感になり、強い期待もあるというふうに思っておりますので、それを実現するために今回の決断を致しました。
具体的にどのようにリソースを再配分していくのか?
今回2050年カーボンニュートラルということを実現しようということを宣言いたしました。そのためのやり方になりますけども、まだまだ十分に研究開発が終了しているものだけではございません。ただ、我々ホンダとしましては、いろいろなパワーユニットを持ち、いろいろなモビリティを持っております。これをつなぐエネルギー技術というものもございますので、それをホンダの強みとして、カーボンニュートラルに向けてやっていきたい。また、2030年に向けた通過点としていま4輪の販売台数の3分の2を電動化していこうということを考えていますが、その中でもゼロエミッションビークルをさらに強化していこうと思っております。eマースにつきましても、グリッドをつなぐ発電電気の使用、そしてモビリティというものをつなぐということの考え方で行っておりますので、できるだけ早い時期にご紹介できるようになった時に、具体的なところをご紹介したいなと考えております
世界一を戦うことを期待していたファンにはどう説明するのか? フォーミュラEなどへの参戦は?
ファンの皆さまにはこれまで、これからも応援をいただきたいと考えております。今年まだ7戦残っておりますし、来年へもう1シーズン我々全力を尽くしてやります。来シーズンにつきましては新しいパワーユニット投入いたしまして、シーズンチャンピオンをレッドブルと獲っていきたいと思っております。これまでの活動につきましては、当初の3年間非常に苦しい状況もありましたが、それを乗り越えてこれまでに5勝を達成することができました。我々としてはある程度の成果が残せたのではないかと考えております。来年に向けてさらに全力を尽くしていきますのでぜひファンの皆様にはご声援をよろしくお願いしたいと思っております。また他の電動レースの参戦につきましては現在のところ具体的に考えているものはありません。そして、今回2050年にカーボンニュートラルということを掲げました。これはホンダの新たな挑戦になりますのでできれば、その挑戦に対してもご声援をいただければと考えています。
F1と同じように合成燃料を使用することに可能性を見出していないのか?
我々カーボンニュートラル実現のために、合成燃料についても研究開発をしております。いらないということではなく、合成燃料についても必要な技術だと考えております。ただ、まだまだハードルの高い技術で乗り越えなければいけないところがございますので、これからしっかりとやっていきたいと考えているので、カーボンニュートラルを目指す中で合成燃料が必要ないとは考えておりません。
トップカテゴリーから日本の企業が撤退するということに対する影響はどう考えているのか?
モータースポーツというのは、やはり盛り上げていかなければいけないと考えております。我々F1から撤退することになりましたが、他のモータースポーツ、いろいろなところでですね、モータースポーツ信仰を広めていきたいと考えておりますので、そういうところでもっともっとモータースポーツを日本全体で盛り上げていくことを考えていきたいと考えています。
社内から賛否の声はなかったのか?
今回のF1参戦につきましては、2015年、私が社長に就任にしたと同時に参戦をしました。当時、非常に苦しい時期もあったんですけど、本当に苦しく、私としては悩んだ時期もあります。その時にトロロッソ、今のアルファタウリになりますけども、新たなスタートを切れたというのが非常に良かったと思っています。特にチーム代表のトストさんには今でも感謝をしております。そして、トストさんと一緒に戦ってきて、50戦目にアルファタウリとして優勝できたということが非常にうれしく思っています。その中で今回、ただ我々としても事業の方向性でいきますと、2050年のカーボンフリーに向けた対応というのも重要なチャレンジになりますので、私としては、そちらに特に技術者、技術のリソースを傾けるべきだということで、社内では参戦を継続すべきだという意見はいっぱいございましたけれども、社長として私が判断をしました。
F1に参戦してブランド力を高めていくという考えはなかったのか?
F1に継続参戦して、ブランド力を高めていくか、今回決定いたしました2050年カーボンニュートラルに向けた方向でどちらにリソースをやるかということは、社内、経営陣で十分議論を尽くしました。その中で今回の決定に至りました。確かに、F1というチャレンジの一つもございますけれども、我々一つの目標であった優勝ということもできました。さらに残り7戦、来年のシーズンに向けてさらに結果を出したいと思っています。その中で環境対応というのも非常にチャレンジングなことだということで、これからそこにチャレンジしていくんだということで最後は全員で意思を固めて今回の決定をすることになりました。
カテゴリー: F1 / ホンダF1