ホンダF1 山本雅史 「レッドブルの車体とパワーユニットが噛み合っていない」
ホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史が、開幕3戦でのレッドブル・ホンダとしての戦いを振り返るとともに、今週末のF1イギリスGPからスタートする次の3連戦への対策について語った。

プレシーズンテストでは王者メルセデスと互角に戦える手応えを得ていたレッドブル・ホンダだが、長い休止期間を経てレッドブル・リンクで開幕したF1オーストリアGPの予選でメルセデスとのギャップを実感することになる。

開幕戦の予選でレッドブル・ホンダはメルセデスと0.5秒差をつけられた。

「コーナーのポイントで言うと、7コーナー、8コーナーが総合的に負けていたと思います。その後に続くセクター3に入っていくところがメルセデスに負けてたと正直思ってます」と山本雅史は F1GPニュース で語る。

「グランプリウィークの金曜日・土曜日は彼らもロングラン中心にやっていたところもあって、一発の速さは正直、気にしてなかったんです。開幕戦は昨年に近い気温と路面温度になることはわかっていたので、レースでは十分に戦えるだろうと認識していました」

F1オーストリアGPの決勝では、レッドブル・ホンダの2台が電気系のトラブルでストップしている。

「ただ、蓋を開けてみれば、マックスがトラブルで7~8周目で止まってしまったこと、アレックスもなかなかいい走りはしてたんですけど、レース最後まで走り切れなかったという点ではちょっと後悔の残る開幕だったと思います」

「本当に私たちも開幕から攻めいていこういうこともあったので、非常に悔しい思いをしましたね。特にドライバー2人にはちょっと申し訳なかったです。原因がまだまだクリアになっていない部分もあるんですけど。電気系はなかなか難しいですね。振動とかが多いサーキットなので、センサー類がシビアでした」

続く第2戦でもレッドブル・ホンダは苦戦を強いられた。さらに第3戦ハンガリーGPでも特にRB16のバランス問題が浮き彫りとなり、マックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンはスピンを繰り返した。

「レッドブルの二人はクルマが正直決まっていない状態でしたね」と山本雅史は語る。

「私たちも昨年ハンガリーではマックスが初めてポールポジションを獲ったコースなので、ホンダが復帰しても初だったということで期待はしていたものの、レッドブル側が特にホンダとレッドブルのパッケージが総合的にうまく噛み合っていなかったというのが正直なところです」

「予選を見てもらって分かると思うんですけど、マックスがQ2でソフトタイヤなんですよね。ここの時点で決勝にむけて戦略的にひとつネタがなくなる。それくらいQ2をクリアすることに関してミディアムを履かなかった時点で総合的なパッケージがうまくいっていないというのが正直なところだと思います」

決勝では、スタート前にマックス・フェルスタッペンがクラッシュを喫してスタートぎりぎりまで修復作業をするというアクシデントがあった。山本雅史はレッドブルのチーム力を改めて実感したと語る。

「僕もモニターで見てて、目が点になったという状態ですね。マックスも終わったあとに言っていましたけど、ブレーキングからロックしてまったくグリップしていませんでした」と山本雅史は語る。

「チーフメカの人がすごいいい判断をしているんですよね。マックスはガレージに向かおうとしていたんですけど、グリッドに来いと。その辺を瞬時に判断するというのが、レッドブルは頼もしい。改めていいチームだなと思いましたね。いいチームワークだし、いいメカニックの人たちだと思います」

「ハンガリーに関しては金曜日からレッドブル・ホンダとしてはパッケージ的になかなかうまく噛み合ってなかったんで、フォーメーションのときのトラブルだとか、いろいろ総合的に言うとマックスの2位は優勝に等しいくらいですね。アルボンもフェラーリ勢を何度もパスして5位でポイントを獲れたというのは大きいと思います」

「レッドブルのストラテジーを考えている判断もそうなんですけど、いろんな人のジャッジが迅速で明確で、改めてレッドブルの戦略、チーム力の凄さを私たちに感じさせてくれたハンガーGPだったと思います」

「レーシングポイントはクルマは確かに良くなってきてますけど、レースの組み立てがまだまだトップチームとは違うと思っていて、その辺の判断がトップ3のチームは抜けてますよね」

今週末のF1イギリスGPの舞台となるのはパワーサーキットのシルバーストン。山本雅史はメルセデスが非常に強いと予想するが、レッドブルとしっかりとミーティングをして対応していきたいと語る。

「私たちもまだまだチャンピオンシップ争いを諦めているわけではなくて、レッドブルと現場でもミーティングしてますし、まだまだレッドブルとホンダとコラボレーションしているところも含めて、例えば、ホンダ側でドライバビリティをもっと上げれると思うし、そういった意味で改良策はいろいろ話し合いはできています」と山本雅史は語る。

「もちろん、レッドブルもまだまだRB16が熟成されていないところと、ホンダとしても今年のパワーユニットに対してもまだいいパッケージにうまく噛み合ってないんですよね」

「まだまだメルセデスに近づけると思っているし、確かに今年ホンダが予測していたよりもメルセデスの車体、パワーユニットを含めて総合的に非常に強くなっているのは事実です。そうは言っても、必ず隙間はあると思っていますので、そこをしっかりやり遂げて、次の3連戦に向かいたいと思います」

「来週始まるシルバーストンは、皆さんご存じのようにパワーサーキットなので、もちろん、高速コーナーが続くので、車体とのトータルのパッケージで頑張るしかないので、よくミーティングして頑張りたいと思います。メルセデスは半端なく強いと思います」

「イギリスはルイスがめちゃくちゃ強いと思いますけど、彼らの堅実なレースにやんちゃなレッドブルとホンダがどこまでいけるかというのを楽しんでみていただければと思います」

「3連戦で習得したデータをベースにレッドブルともミーティングをして、メルセデスに割って入れるのは今の時点ではレッドブル・ホンダだと思うので、ファンの期待に応えられるように頑張っていきます」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング