F1 ホンダF1
ホンダF1のF1副テクニカルディレクターの本橋正充が、F1アメリカGPでのパワーユニット(PU)交換を含めた現場での作業を振り返った。

ホンダにとって、シーズンの一つの山場であった日本GPを終え、F1はその舞台をアメリカに移した。日本GPでの多くの声援に、ホンダのスタッフはモチベーションを高めたという。

「日本GPは、本当によかったです。やってる僕らも、多くのお客さんの声援に勇気付けられました。本当にありがたいし、ますますがんばらなきゃという気持ちになりましたね。決勝の結果はとても残念でしたが、予選の好結果など僕らもある程度応えられたかなと思う部分もあります。狙うところはもっと上なので、まだまだこれからだという気持ちもあります」と本橋正充は Honda Racing の公式サキトで鈴鹿を振り返った。

その日本GPのあと、走行後のPUに対して、いくつかの課題を確認したこともあり、アメリカGPで、トロロッソ・ホンダは、2台のマシンPU交換を決定した。

そのアメリカGP初日は雨に見舞われた。ピエール・ガスリーのマシンは初日から、ブレンドン・ハートレーのマシンは2日目から新たなPUで走行としたが、今回も雨によって十分な走行はできなかった。その分、2日目のフリー走行で、2台は精力的に走行を行う。全チーム中、最も多い周回数をこなし、セッティングを進めた。

「今回のPU交換は、大きな仕様の変更ではなく、データなどの調整部分と、ガスリーのPUについてはICEにダメージが見られたからです。基本的に、毎回使ったエンジンはコンディションを詳細に確認していくのですが、ガスリーのPUに多少のダメージが見つかりました。オシレーション(ギアボックスなどとの共振)などの影響でダメージが出たものです。PUはベンチでいろいろな状況を想定してテストしたあとに持ってきますが、実際のトラックでは路面とタイヤ、そして乗り方などで刻一刻と状況が変化します。そこで分かってくることも多いため、最終的なチューニングはトラックで行うことになります。今回はトロロッソ側のエンジニアにも協力してもらい、オシレーションへの対策を施してきました。ギアボックスとかクラッチなどは彼らの領域なので、トータルで対応したということです」

PU交換によって、アメリカGPの決勝は最後列からのスタートとなることが決まった。「今回の交換はチームとして、今シーズン残り4戦をどう戦っていくのかということを考えての決断です。トロロッソ側とのコンセンサスも必要ですから、ミーティングも重ねました。この先PUとしてどのような懸案が出てくるかという可能性を全部探ってからの判断なので、時間的にはタイトな決断でした。ハートレー車については、残りのシーズンをどう戦うかを考えた上で、パフォーマンスと信頼性の両面で検討して、ここで替えることが戦略的に安心して今後を戦えるということで、チームと相談して載せ替えることにしました」と本橋正充はPU交換の経緯について語った。

予選Q1では、ガスリーが速さを見せ、7番手タイムを出した。グリッド降格が決まっていたため、2台そろってQ1突破を果たしたものの、Q2ではタイムアタックを行わず、ピットアウトとピットインを繰り返し、少しでも多く走行した。「Q1の予選タイムにはチームも僕らも手応えを感じました」と本橋正充。決勝は最後列からのスタートながら、そのパフォーマンスに期待が高まった。

しかし、決勝では、期待通りの速さは発揮できなかった。ガスリーは1周目にアクシデントを避けた際、フロアなどにダメージを負ってしまい、ペースを上げられないレースとなってしまった。一方のハートレーは粘りのレースを見せ、11番手でフィニッシュ。レース後、上位の選手の失格により2つポジションが繰り上がり、9位入賞を果たした。満足いくレースとはならなかったが、ポイント獲得は少しだけ明るいムードをもたらした。

「予選のパフォーマンスは悪くありませんでしたが、結果としてはその速さをレースで見せることができませんでした。ただ、ブレンドンは最後尾からスタートして11番手と粘りの走りを見せてくれました。最終的に、レース後の裁定によりポイントを獲得できたことはよかったと感じています。パッケージとしてまだ改善が必要だとも感じていますし、残り3戦でチームと一緒にさらに前進していきたいと思います」とホンダ F1テクニカルディレクターの田辺豊治は締めくくった。

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / トロロッソ