ザウバー ホンダ F1
ザウバーとホンダが、2018年シーズンからのパワーユニット供給計画が白紙化されたことが発表された。

ザウバーとホンダは27日(木)、それぞれ個別にプレスリリースを発行し、2018年に予定されていたカスタマーパワーユニット供給を解消したことが発表された。

ホンダとザウバーの2018年のF1パワーユニット供給に関する契約が破棄されるとの報道がなされたのは今月。今年4月30日に発表されたパワーユニット供給に関する取り決めは、実際には有効化された契約ではないと報じられていた。

当初は、ホンダ側がパワーユニット供給について交渉していたモニシャ・カルテンボーンを解任したザウバーの人事異動に不満を持っているとされていた。

ザウバーの新オーナーは“将来に対する異なる見解”を理由にモニシャ・カルテンボーンを解任。新オーナーが資金面で支援しているマーカス・エリクソンの優遇を拒否したこと、そして、ホンダとの契約がその理由だったとされている。

だが、ホンダはこれを否定。「ホンダは当初合意された契約に異論はありません」と述べていた。

その後、今度はザウバー側が競争力と信頼性に欠けるホンダのパワーユニットを搭載することをためらっているとの見解が浮上。

新チーム代表に就任したフレデリック・バスールは「ホンダの問題がテーブルにある。それが私の最優先事項だ。その件を早急に対処していく必要がある。マクラーレンから聞いた話を踏まえれば、やや怖い気がしている」とその報道を事実上認めていた。

今回の技術提携解消のリリースのなかで、本田技研工業のモータースポーツ部長 山本雅史は「先方の運営体制の変化などに伴い、互いの目指す方向性に相違が生じたため」と説明。一方、ザウバーのフレデリック・バスールは「ザウバーF1チームの将来を考慮した戦略的な理由」によるものだと述べており、ザウバー側からホンダのパワーユニット搭載が拒否されたことが読み取れる。

ザウバーとホンダが提携を解消したことで、日本人F1ドライバー誕生の可能性も遠のいた。ホンダの育成ドライバーには、F2に参戦する松下信治、GP3に参戦する福住仁嶺がいる。二人ともF1参戦に必要なスーパーライセンスポイントが十分ではなく、2018年の参戦は現実的ではなかったが、ザウバーのテストドライバーとしてフリー走行などで1年間経験を積むことが期待されていた。

実際、ザウバーは来週開催されるF1ハンガリーテストで松下信治を起用することを発表。1年落ちのフェラーリを搭載する今年のザウバーを走らせることに疑問はありつつも、来年のプランに期待が膨らんでいた。しかし、今回の提携解消により、フレデリック・バスールのART GRAND PRIXで活躍する松下信治にF1でのテスト機会を与えるという一応の筋道はあるものの、将来にむけて今回のテストは意味をなさなくなってしまった。

ホンダは、2015年にマクラーレンのワークスパートナーとしてF1に復帰して以降、パフォーマンスと信頼性不足が露呈。マクラーレンがホンダを切るとの噂も囁かれている。

ザウバーがホンダのパワーユニットを搭載する場合、自社製ギアボックスがないため、マクラーレンから供給を受けなければならなかった。だが、新車の開発がスタートするこの時期になってもギアボックス契約については発表されていなかったことも、マクラーレンがホンダを切るとの憶測を広げている。

マクラーレンとの契約も失った場合、ホンダは自らの意志ではなくとも、F1から姿を消すことになる。一部では、トロ・ロッソへのエンジン供給も噂されており、仮にマクラーレンに切られた場合もF1継続の道は残される。だが、日本人ドライバーという観点では、レッドブルのジュニアチームであるトロ・ロッソの性質上、ホンダの育成ドライバーを乗せるのは難しいかもしれない。

ホンダは「ホンダのモータースポーツへの情熱と、F1に対する強いコミットメントに変化はありません」とF1撤退を否定して結んだが、提携先を失い、結果の出ない状況のなかでの“情熱”という言葉にネット上では冷ややかな声も寄せられている。

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / ザウバーF1チーム