ホンダF1 新井康久
ホンダのF1プロジェクト総責任者を務める新井康久が、F1i のインタビューでマクラーレン・ホンダの2015年F1シーズンを振り返った。

昨年、アブダビで初めて新しいパワーユニットを走らせましたが、その時点では良い一年になるだろうと楽観的でしたか? それとも厳しい学習の一年を予想してましたか?
一年前は非常に楽観的な予想をしていました。しかし、その時点で多くのトラブルがあることはわかっていましたし、その時点での困難の大部分は電気系の問題でした。ワイヤーハーネスやコントロールユニットなどです。

我々はそれをフィックスできると思っていました。しかし、それをフィックスした後、MGU-H、MGU-K、ERSに関する多くの問題が発生しました。

アブダビの時点ではポジティブでしたが、その後、多くの問題があり、アブダビ後はかなり難しい一年になるだろうと理解しました。特にヘレスとバルセロナでの冬季テストでは、ハードウェアのトラブル、ERSのトラブルが出始め、それ以降、そのような楽観的な考えはなくなりました。メルボルンは、我々が望んでいたもの全てを準備できないまますぐにやってきましたし、非常に嘆かわしいスタートでした。

その時点で学習のためにもう一年必要だと感じましたか? それともクルマにパワーユニットを搭載して、走らせるまでそれは不可能だと感じていましたか?
もう一年待ったとしても、同じ問題、同じトラブルを抱えていたでしょう。とりわけ、我々はトラックでの十分な経験を有していなかったので、フィックスさせたり、すぐに最終的な解決策を見つけるのは難しいです。

誤解やミスをするものですが、我々は2015年を通して多くのことを学びましたし、急激な学習曲線を経験しました。ですので、1年待ったとしても同じだったでしょう。

一年の間にホンダには多くの進展が見られましたが、バルセロナでのインタビューで、あなたが『問題はポップアップゲームのようで対処し続けなければならない』と言っていたのを覚えています。まだそうですか? それとも今は改善だけに集中できていますか?
バルセロナで実際にレースをするまではそこがランドマークだったと思います。それまで、我々はポップアップゲームに対処していました。ですが、バルセロナの後、もちろん、まだ問題はいくつかありましたが、我々は非常に速やかにそれらをフィックスさせ、リカバーすることができました。その後は、かなり通常のやり方で、何が起こったのか、何をするべきかを理解することができました。大きな学習曲線でしたし、大きな進歩を遂げることができました。バルセロナでのレース後からシーズン末までそうでした。

難しい一年になることがわかり、予想を変更しなければならなくなったときを振り返れば、その進歩には少なくとも満足できましたか?
結果面では十分ではありません。ポジション面だけでなく、我々の目標からもまだ非常にかけ離れています。我々はメルセデスやフェラーリ、トップチームを追いかけたいと思っていますが、まだ大きなギャップがあると感じています。トップチームに追いつくためにはウィンターシーズンの時間が必要です。

マクラーレンとの関係は、一年の間でどうでしたか?舞台裏でちょっと難しそうに見えることもありましたが。
私はそうは思っていません。我々は去年のアブダビの最初から非常に良いコミニュケーションをとっています。我々はひとつのチームとしてしっかりとコミュニケーションをとってきましたし、それは非常に良いものだと感じてます。

一年前と比較して、今、その関係はずっとうまく機能していますか?
そうですね。今はずっと良くなっています。開始時も良い関係でしたが、より良いコミニュケーションと進歩によって、さらにしっかりしたものになっています。スクラムのように一体となっています。とても良いですよ。

企業としてホンダの内部はいかがですか? あなたのボスは高い期待を抱いていたと思います。彼らは難しくなりそうなことは知っており、理解していましたか?
両方ですね。我々の経営陣は高い期待を持っていましたが、我々は常にトラックとサーキットで何が起きているのかを説明しています。なので、彼らは全てを理解しています。そして、日本や世界中のホンダのファンの皆様も、素晴らしい歴史のあるマクラーレン・ホンダに高い期待を抱いています。ですが、一方で我々のファンの大部分は我々の状況を理解しており、まだ励ましてくれます。我々はファンから大きな励ましをもらっています。

歴史が邪魔なときもありましたかか? 人々は1980年代の黄金期と比較します。
歴史を変えることはできませんし、とにかく受け入れなければなりません。

二人のドライバーに関してはいかがですか? 非常に経験と厳しさがあり、彼らは成功を切望しています。チームの一員であるだけでなく、彼らが今年ホンダを激しくプッシュしたことはどれくらいポジティブなことでしたか?
我々は常に良いプレッシャーを感じています。素晴らしいドライバー、そして、マクラーレンの両方から良いプレッシャーがあります。私としてはそれはノーマルな状況だと思っていますし、我々起こっていること、我々が進むべき方向性などについて常にオープンに議論しています。非常に良いコミニュケーションですし、彼らは全てを理解しています。我々はサイズゼロ・パッケージのコンセプトと哲学を継続します。より洗練されたサイズゼロにするために来年はそれを改善します。

さらに小さく?
我々としてはほぼゼロなので非常に難しいです! ですが、我々は、特有なデザイン、非常に特殊でアグレッシブなデザインを使っています。そして、我々はそれを維持するべきです。もっと改善させる必要がありますが、今年の間にエンジンとシャシーの両面、そして、空力に関して、大きな改善を果たしたと感じています。全てのレースで多くのパーツを試しましたし、我々にはたくさんのアイデアがあります。来年はもっと良いパッケージに仕上げられることを願っています。

今シーズンで最大のポジティブな点は?
第5戦スペインと第16戦オースティンで言った実際のレースに関してです。オースティンではトラックでの進歩を感じましたし、非常に印象的なレースでした。また8月のシーズン中盤頃には、より具体的なカタチで我々の何が弱点かを見つけ出しました。我々のパッケージの弱点がMGU-HとERSのデプロイメントから来ていることは理解していましたが、その原因を特定するのに苦しんでいました。幸いにも、8月にはすべてがクリアとなり、状況を自由に調整できるようになりました。それは大きな影響がありました。その発見によって、我々はレースとテストで実際にデプロイメントを生かすにはより多くのエネルギーが必要だと理解しました。ですが、一方でレイアウトの問題があり、実際のシーズン中にターボとMGU-Hを変更できないと感じました。全てを変更するのはとても難しいです。理解はしていましたが、変更することができませんでした。

それはフラストレーションでしたか?
そうですね。フラストレーションを感じました。ですが、我々は進むべき方向性を見つけたことで、すぐに理解できましたし、その方向で来年にむけての作業を開始することができました。

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カテゴリー: ホンダ | マクラーレン