ホンダ F1 撤退
ホンダの福井威夫社長は記者会見で、F1撤退の理由がチームの成績やF1の動向には関係なく、昨今の急激な経済状況の変化だと語った。

「今年の結果に関わらず、まったく関わらず決断しました」と福井社長は述べた。

「ファンの皆様には大変申し訳ないと思っていますが、状況を申し上げますと、自動車の販売だけでなくて、2輪車も含め、北米のみならず、世界中のマーケットが10月〜11月に入ってから、特に加速度的に減速しています。これはもう我々の想像をはるかに超えた、まったく先が見えないような状況だと思います。10月以前、少なくとも9月までの状況でこういう決断はたぶんしなかったと思います」

福井社長は、肥大化するF1の運営コスト面において、タバコ産業の撤退も大きな影響を与えたと語る。

「F1レースの直近の変化でいいますと、例えば数年前までですと、現地のF1のレースチ−ムというのはたぶん100億もあれば運営できたと思います。タバコ産業も含めて100億でペイをしていた」

「直近いろいろな変化があって100億では済まなくなっている。現地のオペレーションだけでも200億くらいはかかるんじゃないかと思っています。それに対して、タバコ屋さんがいなくなって、スポンサー収入がほとんどない状況になった。各チーム、みんな厳しい状況だったと思います。これだけではなくて、やはり時代が変わって、1年〜2年これを凌いだとしても、その先に新しい展望が開けないと、新しい自動車産業で勝ち残っていけない。むしろ私としては大きいと思います」

福井社長はまた、単一エンジンをF1界のコスト削減の動きや環境への配慮が、F1の価値を低下させたために撤退を決定づけたとの見方を否定した。

「F1が持っているイメージ、ブランド、ホンダのコーポレートブランドを高めるというのは非常に大きな目標でもちろんやってまいりました。これに関しては結果が十分でなかったということで、目標を達成できずに撤退ということで非常に残念ですけど、決してF1のブランドが環境と対比をしていて、価値がなくなったから撤退するというのはまったくありません。今でもやりたいという気持ちは非常に強い。ただし、状況が許さなかったということになります」

「KERSに関わらず、来年のマシンは相当力を入れたマシンで、それなりの成果は当然期待していたわけですけれども、状況が状況だけに、これが1年遅れるという判断が、3年〜4年のギャップになるというシビアな時期だと我々は認識していて、一刻も早い決断で、一刻も早い対応を新しい時代に対して打つという認識をしております」

「レギュレーションとか、イベントが北米でなくなるとか、そういうような変化は当然ありますが、それと今回の撤退とはまったく無関係であります。どんな状況になろうがF1はF1だし、たとえ統一エンジンになってもF1の戦いはF1だと思いますし、そこでは勝たなければいけないのは変わらないと思います。非常にチャレンジングな目標だと思いますし、それが理由ではありません」

「コスト削減のような対応をFIAを中心に我々も協力をして、いろんな試算をしているわけですけれども、それらを大幅に超えるような状況変化というふうに我々は理解しています」

「単一エンジンになって、全体のコスト削減という方向はあるのかもしれませんけれども、例えば、自動車メーカーにとってはそれは大きなインパクトではないし、新しい技術開発というのは、それはそれで新しい領域へのチャレンジという技術的な興味はありますけれども、それらをはるかに超えるような変化が世界中で起きているという理解をしていただければと思います」

「それほど今、自動車産業をとりまく環境というのが厳しいという風に理解をしていただきたくて、単にこれは経済危機、マーケットが冷え込んでいるというだけではなくて、我々の認識は、自由産業の新しい時代に入ってきた。これは1年ぐらいからそういう兆候があったわけですけども、そういう時代の変わり目にこういう経済危機がきたと理解しています。したがって、この経済危機をいい形で切り抜ける、生き抜いていくだけではなくて、その間にきっちりした仕込みをして、新しい時代に適応した商品なり技術を開発することが非常に重要だと認識しております。したがって、批判はあるとしても、3年後、5年後に再評価されると思っています」

F1から撤退するホンダだが、福井社長はMotoGPやインディシリーズは継続することを明言した。

「私自身の気持ちとしてもやはり、なんらかの形でのモータースポーツみたいなチャレンジがホンダにとっては必要だし、これはF1ではなくて、例えばMotoGPであったり、あるいは新しい技術へのチャレンジであったり、違う形でのチャレンジで繋げていくことが可能だと思っています」

「他のレースについては、まだこれから詰めますけれども、今現在、私としてはMotoGPのワークスは続けるし、インディシリーズは続けるつもりでいます。国内はこれから詰めます」

「ホンダのモータースポーツに関する考え方は大きな変化はないと思いますが、撤退という言葉をあえて使ったのは、それほど経済の環境が、経済だけではなくて、100年間、自動車産業が繁栄してきて、今後大きな次の100年に向かう新しい時代に入ったという認識を我々は持っていて、それほど大きな変化だと認識しているんですんですね。例えば、今でいうとF1に注いできたような情熱、リーソス、人材、それを新しい時代に振り向けるべきだという物凄く強い意志が今回の決定に入っていると思って頂きたい」

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カテゴリー: ホンダF1