松下信治
松下信治が、GP2での1ラウンド出場停止処分について語った。

松下信治は、GP2アゼルバイジャンのスプリントレースで、リスタート時に複数回の混乱を招いたとして1ラウンドの出場停止処分を科せられた。

「なにか得られるものがあると思い、そして迷惑をかけたドライバーに謝るためにオーストリアに来ました」と松下信治はコメント。

「バクーでのレースですが、レース1は速さがあったし、同じくらい速かったポールポジションのドライバーはスタートに失敗して後方に落ちたため、展開次第では楽勝のパターンでした。でもセーフティカーが4度も入る中、リスタートが全然うまくできませんでした。後方のマシンに、2km超のストレートで簡単にスリップに入られてしまいました」

「具体的には加速のタイミングが早すぎて、それは後続車にしてみれば、スリップに入れる時間が長いわけです。そのため最初にどれだけ離しても、最後には追いつかれて抜かれてしまう。レース2ではそうならないよう、意識しすぎてしまったのかもしれません」

「でも1度目のリスタートでは、加速のタイミングが早すぎて、セーフティカーを追い抜いてしまったんです。そのミスで、完全に混乱してしまいました。それで2度目のリスタートでは、今度は急減速して後続グループを混乱させてしまいました。ちょっとしたことなのですが、気持ちに余裕がなく、ああいうことになってしまいました。セーフティカーを追い抜いたこと。そして、急減速で後続の事故の原因を作ったこと。その2つが、ペナルティーの理由です」

「気持ちはレースをしない限り切り替えられないですし、こうやってここで、ほかの人が走っているのを見るのは正直楽しくないです。それでも、前向きに考えるしかありません。バクーの直後はオーストリアに行きたくないと思っていたのですが、レースを外から見る機会なんてそうそうないですし、なにか得られるものがあるかな、と考え直しました。なにより、僕のミスで迷惑をかけたドライバーたちに、バクーでちゃんと謝罪をしていないので、ここでしっかりしようと。気分を切り替えて、次のシルバーストンからやり直しです」

ART Grand Prix マネージャーを務めるセバスチャン・フリップは「厳しすぎるペナルティーだと思いますが、今はそれを受け入れるしかないです」と述べた。

「今回のペナルティーを受け入れるまでには、ずいぶん葛藤がありました。ノブ(松下信治)だけが、そこまで罪をかぶる必要があるのかという思いは今も拭えません。なにより、ノブはこれまでのレースで、ずっとフェアな走りに徹してきましたし、ミスの少ないドライバーという評価でした。それもあって、気持ちとしては一層割りきれないものがあります。ミスをしたことは認めますが、出場停止というのは厳しすぎるのではないかと思います」

「ただ、ノブの犯した2つのミスが、重大なものであることは認めなければいけません。最初のミスでは、後続を走る5台のミスを誘発しました。そして2つ目のミスは、一つ間違えば大事故が起きていたかもしれません。そしてなにより深刻だったのは、この2つのミスで、レースが台無しになってしまったドライバーが何人もいたことです」

「最初のミスでは、5台が一緒にセーフティカーを抜いてしまいました。そして2つ目のミスである急減速では、後ろの10台ものマシンが減速する時間を持てず、SC(セーフティカー)ラインの前で、前を走るマシンを抜いてしまいました。従って、レギュレーションを厳格に解釈した場合、彼らみんながペナルティーの対象になります。しかし、そんなことをしたらレースが台無しになってしまうので、スチュワードはそのまま続行させました。そのためレース後には、パスをしたことで順位を上げたドライバーは当然無言でしたし、それで損をしたドライバーたちは猛抗議しました。ノブの出場停止は、彼らの不満をなだめる意味もあったと思います。彼にすべての罪をかぶせて、自分たちへの批判を逃れることも考えていたのかもしれないです。不本意でも受け入れなければならないこともある。ノブにも、そう伝えました」

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カテゴリー: F1 / GP2