ジョージ・ラッセル F1モナコGPの『意図的なショートカット』に厳罰の理由
FIA(国際自動車連盟)は、F1モナコGPでメルセデスのジョージ・ラッセルがアレクサンダー・アルボンをコース外から追い越した件について、なぜ通常よりも厳しいドライブスルーペナルティを科したのか、その理由を説明した。

入賞圏内で争っていたラッセルは、前を走るウィリアムズのアルボンのペースの遅さにフラストレーションを募らせていた。アルボンは、前方にいるチームメイトのカルロス・サインツがピットに入るためのギャップを作る目的で、意図的にスローペースで走行していた。

そして50周目、ラッセルはヌーヴェルシケインでコースをショートカットし、アルボンを追い越した。ラジオでは「アルボンの走りが不安定だったため、接触を避けるためだった」と主張したが、ラッセルはその後もポジションを返さず、「10秒ペナルティを受けた方がマシ」と判断し、自らの判断で前に出たまま走行を続けた。

しかしスチュワードは、ラッセルのラジオでの発言が「意図的なショートカットである」ことの証拠になると判断し、より重いドライブスルーペナルティを科すことを決定した。

スチュワードの裁定には以下のように記されている。

「カーナンバー63(ラッセル)はターン10でコース外に出て、カーナンバー23(アルボン)を追い越した。ポジションを返さず、そのまま走行を続けた。彼が『ペナルティを受ける』と言ったラジオメッセージから、このオーバーテイクが故意であったことは明白であり、23号車の不安定な走行に足止めされていたと感じていたことが分かる」

「今回のモナコGPでは、こうした事例が発生する可能性を想定し、レースディレクター(スチュワードの要請による)は事前にすべてのチームに対し、ターン10でのコース外追い越しが故意と判断された場合、ガイドラインとなる10秒ペナルティでは不十分と見なされ、より重いペナルティを科す可能性があると通達していた」

「これらの事情を踏まえ、63号車の故意による違反にはドライブスルーペナルティが妥当であると判断し、これを科した」

モナコGP F1 ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

なお、ラッセルのチームメイトであるアンドレア・キミ・アントネッリも、52周目に同様の手法でアルボンをコース外から追い越したが、その直前にラッセルにドライブスルーペナルティが科されたことを受け、レースエンジニアの指示によりポジションを返す対応をとった。

最終的にラッセルは11位でフィニッシュし、アントネッリは終盤の2回目のピットストップにより18位となった。

2人の週末は、予選でトップ10入りを逃した時点で苦しい展開となっていた。アントネッリはQ1でのクラッシュにより15番手、ラッセルはQ2での電気系トラブルにより14番手だった。

なお、トラックリミット違反によるアドバンテージ獲得へのペナルティは、昨年のマイアミGPを受けて5秒から10秒に引き上げられていた。マイアミではハースのケビン・マグヌッセンが3度の10秒ペナルティを受けながらもメルセデスのルイス・ハミルトンを抑え込み、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグの入賞に貢献したという経緯がある。

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カテゴリー: F1 / ジョージ・ラッセル / メルセデスF1 / F1モナコGP