フェラーリF1未勝利危機 ルイス・ハミルトン「金曜王者」の現実

懸念されるのは、マクラーレンがここ2戦で隙を見せたにもかかわらず、フェラーリがそれを生かせなかったことだ。モンツァでは最速のマシンを持っていたわけではないが、勝利を収めたのはマックス・フェルスタッペンによる支配的な走りだった。
そして先週末のバクーでは、ランド・ノリスが7番手スタート、オスカー・ピアストリが2度のクラッシュに見舞われたが、フェラーリはどうだったか。シャルル・ルクレールは壁にヒットし、ルイス・ハミルトンはQ2で敗退していた。
事態をさらに悪化させたのは、フェラーリがアゼルバイジャンを勝利の可能性があるレースとして狙っていたことだ。だが結局、週末を6ポイントで終えることになり、ラスベガスで戦えるのかという深刻な疑念を呼んでいる。
なぜハミルトンのペースはプラクティス後に消えるのか?
ここ数戦、フェラーリにはひとつのパターンが見えている。プラクティスでは有望に見え、ライバルからも脅威と見られるが、肝心な場面で失速してしまうのだ。
この傾向は特にハミルトンで顕著だ。直近6戦のうち3戦で金曜プラクティス最速を記録している。
シルバーストンでは、予選最終アタックでミスを犯し5番手にとどまった。イタリアでは、グリッド降格ペナルティ前からポールポジションに0.3秒以上遅れ、結果として10番手に。
ハミルトンは、アゼルバイジャン予選で不安定なリアエンドに苦しんだと嘆いた。さらにフェラーリの作業についても、消耗したソフトタイヤでコースに送り出されたことを疑問視した。

フェラーリの根本的な欠陥と指摘
解説者イヴァン・カペッリ(Sky Italy)は「フェラーリは金曜日のように関係ない場面では進歩を見せた。このクルマはプランクの摩耗で失格リスクを負っていた時にこそ輝いていた。だが規定に従って車高を上げた途端、どんな状況にも適応できなくなった。金曜は速いのに、その後すべてが消えてしまう」と述べた。
さらにギュンター・シュタイナーは、フェラーリの一部スタッフがカルロス・サインツを失ったことを後悔していると語った。スペイン人ドライバーはルクレールに対して、土曜予選で9回、決勝で8回上回っていた(ハミルトンは予選と決勝合わせても7回のみ)。
同様にジャック・ヴィルヌーヴも、フェラーリはサインツを欠いていると考えている。ただし問題はドライバーではないと見ることもできる。
最も完成度の高いシーズンを送っているといえるルクレールでさえ、今年は勝利できていない。フェラーリのマシンは根本的に欠陥を抱えており、2人のスターが才能を発揮することを阻んでいるのだ。
それでもヴィルヌーヴは、ハミルトンの「奇妙な」インタビューを問題視している。7度のワールドチャンピオンが「仕事に行きたくない」ように見える、と印象を語っている。
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