2026年F1マシンは「400km/hの壁に迫る」とメルセデス代表

その柱となるのが、内燃エンジンと電動パワーを50対50で分担する新たなV6ハイブリッドだ。さらにタイヤは小型化され、2022年に導入されたグラウンドエフェクトは抑制される。フロントウイングとリアウイングの形状も見直され、近年のマシンよりも小型化される見込みだ。
メルセデスのテクニカルディレクター、ジェームス・アリソンはAuto Motor und Sportに次のように語った。
「これらのマシンはフラットなアンダーボディに中央部の段差を持つ構造だ。現在のマシンのようにサイドを密閉することはできない。したがって、車体下の低圧ゾーンを維持するのが難しくなる。ヴェンチュリー効果は弱まるだろう。ただし2026年マシンは、2022年以前の時代のコピーでもない。その中間的な存在になる」
ドライバーの反応とシミュレーターでの評価
まだ実車は完成していないが、各チームのシミュレーター走行を通じてドライバーからは早くも賛否両論の声が出ている。
シャルル・ルクレールは「気に入っていない」と率直に語り、アレックス・アルボンは「よりドライバーに依存するマシンになる」との見解を示した。一方でルイス・ハミルトンは「改善かどうかは時間が教えてくれる」と慎重に述べ、「コンセプトは魅力的だ」と語った。
アリソンはハンドリングについて次のように強調する。
「現在のマシンに比べて扱いやすくなる。低速と高速コーナー、あるいはターンインから加速までの間でのバランス変動は少なくなる。アンダーステアとオーバーステアをコントロールしやすいはずだ」

パワーユニットと加速特性
新しいV6ハイブリッドでは、内燃エンジンが575馬力、電動パワーが475馬力を生み出す。直線での最高速はエネルギー回生の必要性から抑制される可能性があるが、トルクの立ち上がりは大幅に強化される。
アストンマーティンのリザーブドライバー、フェリペ・ドルゴビッチはこう語った。
「コーナーの立ち上がりではクレイジーな加速をする。まるでロケットに乗っているように感じる」
ただし彼はこうも警告する。
「電動パワーの比率が高いおかげでコーナリング中は常にパワーがあるが、ストレート後半になると突然パワーが落ちることに慣れる必要がある」
ヴォルフの見解と今後の課題
こうした課題がある一方で、ヴォルフはスピード面での可能性を強調した。
「フルパワーを解放したとき、我々は400km/hの壁に迫ることになるだろう」
ただしFIAはすでに、新レギュレーションには改善や調整が必要であることを認めている。実戦投入を前にして、さらなる議論と検証が続けられる見込みだ。
開幕までまだ半年あるが、すでにさまざまな視点からの見解が飛び交っており、その注目度は高まる一方だ。
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