2021年 F1レギュレーション
F1は10月31日(木)、2021年から導入される新たなF1レギュレーションが承認されたことを発表した。

F1は、レースをよりエキサイティングで予測不可能なもののにしつつ、より低コストで参戦できることを目的として、2021年から技術、競技規則、財政規則からなる新たなF1レギュレーションを導入する。

2021年の新しいF1レギュレーションは、以下の5つがキーポイントとなる。

(1)F1マシンのルックスの変化
2021年のF1レギュレーションでは、F1マシンのルックスは大幅な変化を遂げることになる。

F1は2017年に空力レギュレーションを変更し、車幅やタイヤ幅が拡大された。それらは2019年に洗練されたが、2021年にはまったく新たなタイプで洗練されたF1マシンがグリッドに並ぶことになる。

2021年F1マシンは、現在のF1マシンの主要なアーキテクチャはそのまま残るが、“ウイングチップ”型のシンプルなフロントウイング、より大きなリアウィング、アンダーボディエアロダイナミクスの向上、ホイールウェイクコントロールデバイス、シンプルなサスペンション、18インチのロープロファイルタイヤなど、抜本的な新しいデザイン哲学と印象的な新しい外観が与えられる。

また、観客に情報を提供するために、車体ディスプレイパネルやホイールリムに回転式LEDディスプレイパネルを取り付けることも提案されている。

(2)接戦バトルを可能にする空力変更
2021年のF1レギュレーションでは、接戦バトルを可能にするためにF1マシンの空力コンセプトが変更される。

現在の仕様のF1マシンでは、先行マシンを追うときにダウンフォースの最大半分を失う可能性がある。2021年レギュレーションの主な目的の1つは、より緊密なレースを可能にすることだった。

数値として、2021台F1マシンはライバルに1台の車の長さでダウンフォースの15%(現在は50%に近い)、3台のマシンの長さで5%まで損失は抑えられる。それは主にグランドエフェクトを採用することによって実現される。

FIAのシングルシーター・テクニカルマターズ部長を務めるニコラス・トンバジスは次のように説明する。

「(2021年レギュレーションのマシンは)底面が丸ごとディフューザーになっていて、ベンチュリ構造の気流路が貫いている。サイドポッドの入り口からリアにかけてトンネルのような形状になる。2017シーズンのデータに基づくと、前走マシンに接近すると通常約50%のダウンフォースが失われるが、グラウンドエフェクトを採用すれば約5〜10%のロスに留まる見込みだ。つまり、前走マシン接近時に失われるダウンフォース量を大幅にセーブできるのだ」

F1には1970年代後半〜1980年代初頭にかけてグラウンドエフェクトが流行した過去がある。しかし、スピードの向上による危険性増加に歯止めをかけるためにこのテクノロジーは禁止され、フラットボトムが導入された。

新たなグラウンドエフェクトはベンチュリ構造のトンネルに流した空気を現行マシンより高い位置のディフューザーに向けて送る。ホイールカバーやハブなどその他の整流エレメントと連携し、前走マシンが生み出す気流がより細くより高く排出されるため、後走マシンは乱れていない気流の中で接近できるようになる。

トンバジスはさらに説明を続ける。「ふたつの強力なボーテックス(空気の渦)が、ホイールが起こした乱流を持ち上げてマシン後方へ飛ばす。結果として、マシン後方の気流はよりクリーンになる」

(3)開発の制限と標準パーツ化
2021年のF1レギュレーションでは、チームの規模によるパフォーマンス差を埋めるためにマシン開発の制限と標準パーツが導入される。

まず、2021年には風洞での作業時間がさらに短縮され、CFDにより焦点が置かれることになる。また、インシーズンテストは1日のテストが3回に限定され、さらに大きな変化として、パルクフェルメ条件が予選ではなく、FP3の開始から存在することになり、チームはFP1より前に検査された仕様に戻す必要がある。

これにより、特にFP1とFP2が特に重要となり、コース上での時間を確保しながら、週末にむけてのセットアップを進めていく必要が出てくる。

また、レース週末にマシンのアップグレードを制限するルールと、シーズン中の空力アップグレードの数を制限するルールが導入され、コストの高い開発競争が抑えられる。

加えて、燃料ポンプのような標準化されたパーツ、ホイールカバーのような規定の設計が必要なパーツの導入、またブレーキパッドのようなコンポーネントは交換できる回数が制限され、超過するとペナルティが科せられる。また、ギアボックスの設計もより制限され、研究と開発のコストを節約するために構成が凍結される。

パワーユニットは現在と同じままだが、エキゾーストシステムはシーズン毎に数が制限されているPUコンポーネントのリストに追加され、各ドライバーは6回の交換以降はペナルティが科せられる。

F1マシンは、新しいタイヤ、シャシーとPUマテリアルの変更、コスト削減、さらなる安全対策、標準化されたパーツの導入により、25kg重くなる。

(4)コスト上限の導入
2021年のF1で最も大きな変化として、初めて導入されるコスト制限が挙げられる。

F1チームのコストは、年間1億7,500万ドル(約189億円)の予算上限(21レースカレンダーに基づく)が厳重に管理される。その予算にはマーケティングコストや、ドライバー、チームプリンシパル、その他の上級職員などの人件費は含まれないが、グリッド上のいくつかの大規模なチームによっては新たな課題となる。

これにより、F1の最大チームと最小チームの間で拡大し続ける支出差は、やがて解消される。コスト規制の影響は、技術規制よりも徐々にスポーツに影響を与えることが予想される。

そして、決定的に重要なことは、小規模チームがトップチームに費やされた開発コストを把握してシーズンに臨めることだ。これは、F1への新規参入を検討するチームにとって魅力的な見通しとなる。また、マシンの共通パーツの数が増えると、チームが開発できる領域への焦点が厳しくなる。

F1のスポーティングディレクターを務めるロス・ブラウンは、予算ルールを破ったチームには考え得る最も厳しいペナルティが科せられるとし、「もしも不正にこの財政規則を破った場合には、チャンピオンシップを失うことになる」と語っている。

また、予算上限はカレンダーに1戦が追加されるごとに100万ドル(約1億1,000万円)が追加される予定となっている。

(5)週末フォーマットの変更
2021年のF1世界選手権からは3日間の週末フォーマットは変わらないものの、ドライバーのの記者会見は、FP1とFP2のプラクティスセッションに先立ち、木曜日から金曜日に移動される。

木曜日のイベントが事実上なくなったことで、F1はファンにとってより現実的で予算に優しいイベントになり、チームスタッフからスポーツをカバーするメディアまでF1サーカスに関わるすべての人の生活が楽になる。

週末を凝縮することで、F1はカレンダーの最大レース数を25戦まで拡大する。

また、2021年から、グリッド上のすべてのチームは、シーズン毎に少なくとも2回のフリープラクティスセッションでグランプリ経験が2戦以下のドライバーを走らせる必要がある。つまり、少なくとも10人、場合によっては20人もの新しい世代の才能がレース週末でF1マシンの経験を積めるようになる。

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カテゴリー: F1 / F1マシン