F1 シールド
F1ドライバーは、FIAが2018年に導入を目指しているコックピット保護デバイス“シールド”に対して意見が割れている。

今週、F1ストラテジーグループは、昨年までテストを重ねてきた“ハロー”を廃案とし、“シールド”と呼ばれる新たなコンセプトのテストを優先することで合意した。

シールドは、レッドブルが提案する“エアロスクリーン”に似た妥協案でありで、コックピット前面をスクリーンでカバーする。

FIAは、2018年からコックピット保護を実施したいと考えており、実現に向けてテストを計画している。

ルノーのジョリオン・パーマーは、F1ドライバーのなかでは頭部保護デバイスについて意見が割れていると語る。

「ドライバーのグループとしての意見はない」とジョリオン・パーマーはコメント。

「ありだと考えている人もいれば、なしだと考えている人もいる。とても割れていると。何も望んでいない人もいれば、シールは良いアイデアだと考えている人もいるし、まだハローの方がいいと考えている人もいる。一部の人はありだと考えてはいるけど、ドライバーでコンセンサスはとれていない」

ジョリオン・パーマーは、シールドはビジュアル的には不快ではないが、今のままの方がいいと語る。

「僕の意見は変わらない。F1はそのままで十分に安全だと思う。正直、ドライバーは自分の安全を心配しているならレースはしないと思う。フェルナンドがインディ500でレースをする方が危険だと思う。それは彼の立場を示していると思う。僕は不必要だと思う」

ハローで最も批判された点は見た目の悪さだったが、2009年のF1ハンガリーGPの予選で他のマシンから外れたスプリングがヘルメットを直撃して生死に関わる重傷を負ったフェリペ・マッサは何よりも重視すべきは安全性だと述べている。

「シールドの見た目はいいね」とフェリペ・マッサはコメント。

「まぁ、ファンはシールドの方がいいと思うだろう。僕もクルマの見た目でいうならこっちの方がいい。でも、問題は安全性だ。僕にとってはそれが何より重要なことだ。十分に安全でなかった時に事故が起きて、友人や僕自身が命を失うようなことは起きてほしくない」

「シールドに反対だと言ってるわけではない。僕はより安全な方を好むと言っているんだ。1~2年後にはシールドがハローよりずっと近いものになっているかもしれない。どうなるかはわからないけどね。とにかく、僕は安全性の高いものがいい。F1だけでなく、他のカテゴリでもそうだ。F1が他のカテゴリーの安全を高めるお手本にならなければいけない。それはF4での(ビリー・モンガーの)出来事を見たてもわかるだろう。彼らはF1をかなり参考にしているし、僕たちもしっかり何が起きたのかを知り、他のカテゴリーも改善するように努力しなければなれない」

マックス・フェルスタッペンは、F1はオープンコックピットを維持すべきとの考えを持っており、保護があってもドライバーが破片やタイヤのデブリによって怪我をしたり死亡したりするリスクは完全に排除できないと考えている。

「F1はオープンコックピットのレースだ。どんなスポーツにも必ずリスクはつきまとう。そういうものだと思う。もちろん、過去には不運な事故も起きているけど、それをコントロールすることはできないし、シールドがあっても変わらないと思う」

「タイヤが頭上に落ちてきたらシールドは守ってくれない。それにどうしても僕は好きになれない。クールだとは思えない。F1は今のオープンな状態で昔から記憶にあるからね。それをドライブして楽しんでいるのに、今出ているような良いとは思えない案では乗っても楽しくなさそうな気がする」

ルイス・ハミルトンは、以前にハローに猛反対しており、昨年のF1スペインGPで登場した際には“F1史上最悪の変更”と酷評していたが、その後FIAから安全面についてプレゼンテーションを受けて考えを変えている。

ルイス・ハミルトンは、これまでFIAが提示した中では今回のシールドが一番もいいと語る。

「ハローは見た目が良くなかったし、改善してはいたけど、まだベストではなかった。新デザインのシールドはわりと好きだな。まあまあクールだと思う。今まで出てきた選択肢の中ではいい方だ。うまくいくかどうかはこれからだけどね」

バルテリ・ボッタスは「シールドは別にいいと思う。見た目もまあまあだし、ハローに比べれば良くなったと思う。見た目については僕の個人的な意見だし、そこは気にしない。安全面が常に重要だし、安全についてはどんあことでも改善と開発を続けることが重要だ。シールドを試して、視認性や他に問題がないかどうかを調べてみればいい。安全性に関しては今よりも一歩前進すると思う」

ケビン・マグヌッセンは、ウェットで問題が起きるかもしれないと考えている。

「いくつか画像を見たけど、僕は支持しない。あのようなものが必要だとは思わない。特にウェットでスクリーンがあったら難しいと思う。スクリーンなしでもウェットの時は何も見えないからね。それに加えて、あんなものが点いたら、前を見るのは不可能だろうし、ウェットコンディションではさらに危険が増すと思う。僕は今のままがいいね」

DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)を経験しているエステバン・オコンは、雨天時のスクリーンの問題を解消する方法はあると語る。

「正直、そこが未知数だ。僕は雨の中でDTMをドライブしたことがある。市販車に使われているようなヒートスクリーンにできればいいと思う。ドライの時には見えないものがいい。ジェット戦闘機にもついているし、できないはずがない」

セルジオ・ペレスもシールド案には賛成で、テストによってさらに改善できると考えている。

「見た目は良くなった。安全でもあるしね。安全性の面ではハローほどではないかもしれないけど、FIAはまだ改善の余地があると考えているはずだ。どのくらいのプロセスが必要で、どこまで開発できるかによるだろう」

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カテゴリー: F1 / F1マシン