ナイジェル・マンセル、身体的な挑戦とリスクに欠ける現代のF1に物申す
元F1ワールドチャンピオンのナイジェル・マンセルは、現在のF1マシンには身体的な挑戦が欠如していると主張。レース後のF1ドライバーはまるで“ヘアーサロンから出てきた”ように見えると苦言を呈した。

1992年のF1ワールドチャンピオンであるナイジェル・マンセルは、ターボ時代やグラウンドエフェクトカーといった小さなミスが最終結果に大きな違い、さらには生命さえにも危険をもたらすリスクをはらんだ時代に生きてきた。

F1で31勝を挙げているナイジェル・マンセルは、過去のF1には明確なレベルの差が存在するとして異なる時代のF1ドライバーを比較することには消極的だ。

それでも、ナイジェル・マンセルは、6回のF1ワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンであれば、1980年代や90年代初頭のF1でもうまくやっていくことができただろうと考えている。

「ルイスならばあのような環境でもうまくやっていただろう。だが、時代を比較するのは非常に難しい」とナイジェル・マンセルは Daily Mail に語った。

「当時は、非常に多くの優秀なドライバーが単純な事故に遭い、脚や腕などを骨折し、キャリアを継続できなくなった。今の優れたドライバーは酷いミスを犯しても、怪我はしない」

「彼らはマシンの中でほとんど汗もかかない。レースの終了後は、まるでヘアーサロンから出てきたようばかりのようだ」

「私の時代で美かったことはは、180戦を終えてもまだ生きていると自慢でき、素晴らしいキャリアだったと言えることだ」

ナイジェル・マンセルは、F1におけるルイス・ハミルトンの成功は、彼の才能だけでなく、メルセデスとの関係が大成功している結果でもあると考えている。

「彼が非常に若い年齢から与えられた機会だ」とナイジェル・マンセルは付け加えた。

「ミハエル・シューマッハと同じように、彼はその能力を実証するためにメーカーから信じられないほどのサポートを受けてきた。彼はマクラーレンで彼の最初の世界選手権に勝ち、その後チームを移籍してまた5つのタイトルを勝ち取った」

「歴史は、彼を我々の国の歴史の中で最も偉大なドライバーとは言わないまでも、偉大なドライバーの一人として描写するだろう」

「彼が引退する前までに7回目もしくは8回目の世界選手権に勝つことができない理由はない」

それでも、ナイジェル・マンセルは、偉大なファン・マヌエル・ファンジオを彼の“歴代の偉人”リストの最上位に置く。

「私は常にファンジオと言っている。ルイスも同意すると思うが、その時代に運転した人たちは真のヒーローでした。シートベルト、適切なヘルメット、適切なゴーグル、そして、時にはグローブもなかった」とナイジェル・マンセルは主張する。

「彼らは足の間に燃料タンクがあった。もし事故に遭えば、生きるか死ぬかは五分五分だった」

「だが、ルイスはうまくやっている。あのレベルの称賛を得た人は皆、多くのアドバイスを受ける。彼はちゃんと地に足をつけ、自分で決断し、それらに満足しなければならない」

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メインの写真は1984年にダラスで開催されたアメリカGP。最終コーナーでウォールにヒットしてドライブシャフトを破損したナイジェル・マンセルは、観客の声援を受けてマシンを押し始めるも、フィニッシュラインに到達する前に疲労困憊し、熱中症によって倒れてしまった。

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カテゴリー: F1 / F1ドライバー / F1マシン