F1
2019年のF1世界選手権 第13戦 ベルギーGPの決勝が9月1日(日)にスパ・フランコルシャンで行われた。

前日のFIA F2のレースでのアントワーヌ・ユベールの悲劇的な死で深い悲しみに包まれるなか、幼い頃から彼の親友だったフェラーリのシャルル・ルクレールがF1初優勝を飾り、勝利を捧げた。フェラーリにとっても今季初勝利となった。

優勝:シャルル・ルクレール(フェラーリ)
「このような週末での初優勝は楽しめない。僕はアントワーヌと一緒に育ってきたし、2005年にはピエール(ガスリー)とエステバン(オコン)と一緒に初めてカートのレースを戦った。ずっと忘れられない思い出もある。昨日、彼を亡くしたことは本当にショックだし、僕だけでなくモータースポーツにいる全員がそうだ。ある意味、今日は彼のことをずっと覚えていられるように忘れられない形で勝利できたことに満足している。レース自体は良かったし、チームが与えてくれた最高のマシンがなければ成し遂げられなかった。レースペースに関しては良い進歩を果たしていると思うし、今週末はタイヤマネジメントもそうだった。最後の数周は楽ではなかったけどね。ミラーにルイスがどんどん近づいてくるのが見えていたので、クルマに乗ってやるべきことをやることに集中した。ようやくトップでラインを通過できたし、これを実現させるために懸命に頑張ってくれたチームに感謝したい」

2位:ルイス・ハミルトン(メルセデス)
「モータースポーツの関係者全員にとって、とても辛い週末だった。今日はアントワーヌのことを考えながらレースをした。全体的に不安定な週末だったが、着実な予選と着実なレースができたので本当に嬉しく思っている。もちろん決勝は勝ちたいものだが、全力を尽くした。フェラーリはとても強かったが、終盤あそこまで近づけたので、ポジティブに受け止めるべきことがたくさんある。シャルルのために喜んでいる。彼は週末を通して素晴らしい仕事をしたので、おめでとうと言いたい。ストレートでフェラーリに追いつくために今後4日間でするべき仕事がたくさんあるが、それができるのはこのチームだけだ。来週末モンツァではまた接戦を演じたい」

3位:バルテリ・ボッタス(メルセデス)
「昨日の悲しいニュースで、誰にとっても厳しい週末だった。できるだけ頑張ったが、チャンスはあまりなかった。レースペースは大丈夫だと感じたが、フェラーリは予想通りストレートで強かった。最初のスティントの終わりには、タイヤがドロップオフしてややペースに欠けていたが、第2スティントでは強かった。でも、レース終了まで次のチャンスがなかったので、エンジンとギアボックスを温存することに決めた。スパは僕にとっていつもは難しいトラックだが、良い戦略で順位を上げることができたし、実際にここでの自己ベストのパフォーマンスだったと思う。次はまたフェラーリが速いと予想されるモンツァだが、彼らと戦うために激しく攻めるつもりだ」

4位:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
「僕にとっては決して簡単なレースではなかった。スタートではルイスに奪われたポジションを何とか取り返したけど、タイヤに苦しみ始めて予定よりも早めにピットインせざるを得なかった。ミディアムタイヤは最初は良いペースを維持していたけど、再びタイムが落ちた。2番手を守ろうとしたけど、どうすることもできなかった。あの時点では、再びピットインしてタイヤ交換してそれほど苦しまずにレースを続けるのが最善の選択だった。僕のクルマでタイヤのデグラデーションが高かった理由を理解しなければならない。フィーリングが悪かった原因を理解するために状況を全て分析していく。僕にとっては最高の週末ではなかったけど、チームにとっては良い週末だったし、それが重要だ。チームのみんなを祝福する。それからシャルルの初優勝もおめでとう」

5位:アレクサンダー・アルボン(レッドブル)
「とてもうれしい。5位は素晴らしい結果で、このチームで最高のスタートを切ることができた。今日は楽しい瞬間がいくつもあり、レースを大いに満喫した。レースウイークの始まりは緊張していた。そのときに5位になれると分かっていたら、飛び跳ねていたと思うけど、今は少しホッとしている。レースは厳しい展開で、最初のスティントでは、前車から発生する乱気流のせいでグリップに苦しみ、まったくオーバーテイクできなかった。でも、ピットインしてソフトタイヤに交換してからは、マシンは息を吹き返したように速くなり、僕は“いけるぞ!”と感じた。最終ラップはセルジオ(ペレス)と芝生に片側を落としながらも素晴らしいバトルを展開し、いいレースが見せられたと思う。もちろん、僕自身を向上させなければならない部分がいくつかあるので、次のモンツァまでの期間でよく勉強し、課題を克服していきたい。チームとともに、序盤なぜ苦しんだのかを解明したいと思うけど、このマシンのコツや合わせ込み方も見つけていくつもりだ。今週末、プレッシャーはそれほど感じていなかったけど、メディアの皆さんはそうは見ていなかったようだね。でも、このチームとのレースウイークをエンジョイした。チームによって仕事のやり方が異なるのを見たことも、いい経験になった。僕らルーキーにとって、昨夜はとても苦しい時間になった。みんなアントワーヌ(ユベール)のことをよく知っていたし、とてもつらい時間で、いつもと違う気分で朝を迎えた。サーキットにいる間も、普段と全く異なる雰囲気だった。このレースを、彼に捧げたいと思う」

6位:セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
「僕たちのファミリー、コミュニティーにとって非常に悲しい1日だったのは間違いない。今日ここにいることを心から楽しめた人はいないと思う。僕たちにできるのは、このレースをアントワーヌに捧げることだけだ。彼と彼の家族、友達にはそれがふさわしいと思う。金曜日に起きた問題のことを考れば、チームにとっては良い結果だった。最初から最後まで厳しいレースだったけど、多くのポイントを獲得できたし、今後のレースに向けて良い勢いをつけて終えることができた。スタートはちょっとしたカオスだったし、それを避けるため外側に大きく膨らんでしまい、2~3つ順位を落とすことになった。そこからは取り戻すためにずっと戦い続けた。アタックモードに入って多くのクルマをパスし、5位の可能性も見えていた。でも、最後はアルボンがとても手強かったし、彼を抑え切れなかった。僕たちは非常にアグレッシブな戦略を立てていたし、それがレース終盤に代償を払うことになった。ファイナルラップでポジションを失うのはいつだって辛いけど、やれるだけのことはやった。全体的にポジティブなパフォーマンスだった。僕たちは通常スパで調子がいいので、これから自分たちがどんなレースができるか楽しみにしている」

7位:ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
「最後列から7位という結果で締めくくることができ、素晴らしいレースをすることができた。気温が低いコンディションは僕たちにとっては好条件だったけど、レースでは本当に大きく前進することができた。今シーズンを通じて、僕らのマシンは特に一番大事な決勝で力強いパフォーマンスを見せることができている。数々のオーバーテイク、タイヤマネージメント、そして素晴らしい作戦に加え、今日はレースペースもよかったと感じている。チームで最善を尽くして獲得した7位という結果と、レース内容にとても満足しているし、楽しむことができた」

8位:ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
「スタート直後から難しいレースだった。衝突を避けるために回避行動を取らざるを得ず、そこでいくつかポジションを落とした。今日もミッドフィールドは大接戦で、ポジションを取り戻すのは難しかった。レース終盤にソフトに交換するためにピットインしたのが役に立った。最後の数周はラッキーだったと言ってもいいけど、それもレースだ。特に昨日のショッキングな出来事があった中でポイントを獲得できたのは良かった。今朝は辛かったけど、一度ヘルメットをかぶればアドレナリンが出て仕事をしなければいけない。最後にポイントが獲得できたうれしい」

9位:ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
「この一戦は僕のキャリアの中でも一番エモーショナルなレースとなった。ベストなパフォーマンスで戦うことが、僕にとってアントワーヌ(ユベール)のためにできることだと思っていたからだ。結果も9位で終えることができ、トロロッソ・ホンだでの復帰戦で2ポイントを獲得することができた。難しいレースになると覚悟はしていたけど、チーム一丸となり戦うことができた。早めにピットインして長い周回数をミディアムタイヤで走る作戦で、思い切った賭けに出ることにし、ソフトタイヤで走行する他のマシンとの戦いが困難なレース後半になると覚悟していた。ときには接近戦のバトルをしながら、攻めるときも抑えるときもベストを尽くして戦った。その結果チームとアントワーヌのために2ポイントを獲得でき、とてもうれしく思う。レース中、新たにマシンについて学ぶこともあった。レッドブル・ホンダのマシンと違うことも多く、ラップを重ねるたびに理解も深まってきていると感じたので、今後さらに改善していいレースにしていけると思る」

10位:ランス・ストロール(レーシングポイント)
「僕たち全員にとって簡単な週末ではなかった。アントワーヌの家族にお悔やみを伝えたい。彼を記憶に留めておくいいレースができたと思うし、僕たちにとっては競争力のある午後だった。2台ともトップ10に入り、チームも多くのポイントが獲得できた。僕も16番グリッドからポイントを獲得できてとてもうれしい。でも、レース全体にわたってトラフィックに引っかかってしまったし、ちょっとイライラする展開でもあった。戦略が異なるクルマの後ろにいて、クリーンなエアで本気で攻めるのが難しかった。今考えれば、そのせいでクビアトやアルボンたちに対してレースタイムをかなり失ったと思う。彼らはレース中に僕たちの前に出たからね。それでも良いバトルができた。終盤、ガスリーの真後ろについてあと少しで抜けるところだった。ファイナルラップでイエローフラッグが出なければ彼を抜くことができていたと思う。でも、良いレースだった。最初から最後までとても興奮したし、楽しかった」

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カテゴリー: F1 / F1ドライバー / F1ベルギーGP