アストンマーティンF1 2026年低迷の内幕 ニューウェイ計画はなぜ躓いたのか

2026年仕様「AMR26」は、エイドリアン・ニューウェイ加入の遅れや風洞施設の完成延期、さらにホンダ製パワーユニットの開発遅延が重なり、開幕時点で大きなハンディキャップを背負っていたという。
ハンガリーGPで投入された大規模アップデートによってようやく改善の兆しが見え始めたものの、ベンソンは「ニューウェイが本来目指すマシンが完成するのは2027年になる」との見方を示している。
ニューウェイ加入で開発は2か月後退
ベンソンは、2026年レギュレーションへの対応が当初から予定通りには進まなかったと説明する。
「2026年の新空力レギュレーションは2025年1月2日に正式発表された。しかし、エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンでマネージング・テクニカルパートナーとして正式に働き始めたのは3月2日だった」
ニューウェイは着任直後、それまで進められていた設計作業を中止し、自身のコンセプトへ全面的に切り替えるよう指示したという。
その結果、開発スケジュールは約2か月遅れることになり、プロジェクト全体へ影響が及んだとベンソンは説明している。
新風洞の完成遅れで他チームとの差が拡大
開発をさらに難しくしたのが、新風洞施設の稼働延期だった。
「風洞は4月中旬までモデルを投入できる状態ではなかった。その時点でライバルより約4か月遅れていた」
さらに、ホンダ製パワーユニットについても想定以上の遅れがあったという。
「チームは昨年11月になるまで、ホンダのエンジン開発が大きく遅れていることに気付いていなかった」
これらの問題が積み重なり、バルセロナとバーレーンで行われたプレシーズンテストでは、車体・パワーユニットともに競争力と信頼性を欠いていることが明らかになった。

開発体制を全面刷新してハンガリー仕様へ
その後、アストンマーティンは開発体制そのものを見直した。
ベンソンによれば、ニューウェイは「仕事の進め方を全面的に作り直した」と説明しており、組織改革や新たな開発システムの導入、さらにマシン設計の見直しを進めたという。
その成果がハンガリーGPで投入された16項目に及ぶ大型アップデートだった。
新仕様のAMR26Bは軽量化に加え、空力性能も大幅に改善され、ベンソンは「ラップタイムを約2秒短縮したようだ」と評価した。ただし、実際のサーキットでの改善幅はそこまで大きくはなかったとみられる。
ホンダ新PU投入でも本格勝負は2027年
アストンマーティンは夏休み明けのオランダGPでホンダ製パワーユニットのアップグレードを投入する予定だ。
ベンソンは、このアップデートによって一定の性能向上は期待できるものの、メルセデスなどトップ勢とのエンジン性能差を一気に埋めるほどではないと分析する。
現在の改善幅は30馬力弱とみられる一方、トップとの差は約60馬力あるとの見方もあり、依然として大きな隔たりが残るという。
そのうえでベンソンは、次のように締めくくっている。
「ニューウェイが本当に目指しているマシンを見ることになるのは2027年だ。そして、その競争力はホンダが2027年型パワーユニットでどれだけ成功するかにも左右される」
2026年の苦戦は単一の要因ではなく、ニューウェイ加入時期の遅れ、風洞完成の延期、ホンダ製パワーユニット開発の遅延という複数の問題が重なった結果だった。ハンガリーGPから改善の兆しは見え始めたものの、本格的な評価は2027年マシンまで待つ必要がありそうだ。
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