F1 イギリスGP シルバーストン
F1グループは、今週末のF1イギリスGP開催前にグランプリ開催契約の解除条項を行使したシルバーストン側を非難している。

F1の新オーナーとシルバーストンを所有するブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブ(BRDC)は、1987年から開催されてきた同サーキットでのF1イギリスGPを守るために交渉を重ねてきた。

しかし、11日(火)にBRDCは現在の契約内容では財政的にF1イギリスGPの開催を継続することは不可能だという理由で、2019年のレース後に現行契約を終了できる解除条項を行使することを発表した。

BRDCのジョン・グラント会長は、今回の契約解除の行使は、必ずしもシルバーストンでのF1イギリスGPが終了するという意味ではなく、より良い条件での契約を交渉できることを望んでいると述べた。

「今、我々は契約解除条項を行使したが、我々はF1エクスペリエンスを改善しようとしているリバティ・メディアの変化を完全に支持していることをはっきりと述べたい。我々の望みは、この先長くイギリスGPが持続可能かつ財政的にも有益を上げる契約が合意に達することだ」

Reuters によると、F1グループは、F1イギリスGPを今後5年間にわたって引き継ぎ、年間200万~300万ポンド(約2億9,000万円~約4億4,000万円)の損失を負担するとの提案を行い、決断のための最終期限を11日(火)から7月末まで延長することを申し出たが、BRDCはそれを拒否したという。

BRDCが、この提案を受けなかった理由は、毎年3週間サーキットを第三者に委ねたとしても、サーキットを維持するための年間コストを負担する必要がためだという。

この行為について、F1新オーナーのリバティ・メディアから構成されるF1グループは、シルバーストンが、今週末のレースに集中するのではなく、“自分の立場を有利にするための短期的なアドバンテージ”に目を向けたことを非難した。

F1グループは「イギリスGPまでの1週間は、F1とシルバーストンにとって素晴らしいお祝いの場であるべきだ」と声明で述べた。

「だが、シルバーストンがそうではなく、今週という機会を使って3年で効力を発揮する解除条項を行使して駆け引きをしてきたことを心から遺憾に思う」

「シルバーストンとF1にとって全てを好ましい状況にしていくために、我々は現在の最終期限を延長することを申し出た。残念ながら、シルバーストンのマネジメントは彼らの立場を守るために短期的なアドバンテージを求めることを選んだ」

また、F1の会長チェイス・キャリーは、舞台裏での交渉を拒否し、世間にその動きを示したBRDCの姿勢を遺憾に思っていると Evening Standard に語った。

「このスポーツは人前で姿勢を示すのが好きなスポーツのようだ。私にはそうする理由がわからない」とチェイス・キャリーはコメント。

「状況を非公式にすることによって最も強い関係を築き、その後、なぜそうしたかを説明するのが私のやり方だ。我々の選択は、今後の方法について穏やかに会話をすることだった。人前で交渉するのが好きなスポーツだ。まず交渉し、2番目に行動する」

「バーニーは気の利いた言い回しがうまかったが、スポーツの他の多くは彼と争っていた。種まきとポジショニングのメッセージが多い」

BRDCは、近年のF1イギリスGPの開催料の高騰を強調。F1イギリスGPの開催料金は、年間5%ごとに上がっていく契約となっており、2010年は1150万ポンド(約17億円)だったが、2017年は1620万ポンド(約24億円)まで上昇。現行契約の最終年だったとされる2026年には2500万ポンド(約36億8000万円)まで上がっていたとことになる。

BRDCの発表によると、2016年のF1イギリスGPでは前年度よりも200万ポンド(約3億円)多い480万ポンド(約7億円)の赤字を出している。

ジョン・グラントは、仮に将来にむけた契約を結べなかったとしても、シルバーストンのF1なしで輝くことができると主張している。

「この契約にサインするという決断はイギリスGPを維持し、この歴史ある素晴らしいレースが失われないようにするためだった。当時、交渉のテーブルに乗っていた契約はこれだけであり、イギリスGPを存続するために決断が下された」

「しかし、現実としては長年にわたってイギリスGPは純損失を出してきた。イギリスでも最も人気のあるスポーツイベントであり、35万人を超える視聴者が生放送で観戦するにも関わらず、我々が受け取る純収入はグランプリ諸経費の負担分をカバーするのに十分ではなく、採算も取れていない」

「このような状況では、BRDCにとってだけではなく、イギリスGPとシルバーストンとしても持続はできないものだ。これ以上グランプリに資金を投入するために我々のコア資産を売却し続けることはできない。平たく言えば、我々の道筋は途絶え、解除条項を行使するしかなかった」

「我々の会員は、BRDCとシルバーストンが直面している財政的な困難、および現時点まで維持するために我々が組織として冒してきたリスクを十分に承知している。イギリスGPを失うことは残念だが、F1がなくてもシルバーストンには商業的な面でも、イギリスのモータースポーツコミュニティの中心としても、輝かしい未来があるだろう」

だが、F1グループは、今後もシルバーストンと交渉を続けていくと述べた。

「我々の焦点は今でもイギリスGPを確保するだ。誠意を持ってプロモーターと交渉を続け、フェアで公平なソリューションに至るつもりだ」

F1は、今週末のF1イギリスGPのために全チームがロンドンに集結するイベント『F1 Live London』を12日(水)に開催する。

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カテゴリー: F1 / F1イギリスGP