F1サンパウロGP 予選 ピレリ総括:ノリス再び頂点 決勝は「戦略の読み合い」
マクラーレンのランド・ノリスは、スプリントレースでの勝利に続き、午後の予選でも全セッションを制して今季2度目のポールポジションを獲得した。メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが2番手につけ、フェラーリのシャルル・ルクレールが3戦連続でトップ3入りを果たした。

気温41度、強風という難しいコンディションの中で行われた予選では、前座レースでのバリア修復による短い遅延を経てQ1がスタート。

序盤はソフトとミディアムが混在したが、最終的に全車がソフトでタイムを出した。Q1最大の驚きはレッドブルのマックス・フェルスタッペンの敗退で、一方ハースのオリバー・ベアマンがQ1とQ2の大半をトップタイムで走る好走を見せた。

Q3ではオスカー・ピアストリが最初のアタックでトップに立ったが、ノリスは1回目のロックアップで最下位に沈むも、最終アタックで週末自己ベストを記録。ポールを決定づけた。メルセデスのジョージ・ラッセルは唯一ミディアムタイヤを選択して6番手に食い込んだ。

ピレリ・ポールポジション・アワードは、Netflixシリーズ『エリート』や『Rulers of Fortune』で知られるリオ出身俳優アンドレ・ラモグリアがノリスに授与した。

スプリントレース:ノリスが混乱を制して勝利、チャンピオンシップリード拡大
午前中に行われたスプリントレースでは、ノリスがポールからスタートし、6周目に赤旗中断を挟む混乱の展開を制して優勝。路面は前夜の雨により部分的に濡れていたが、全車がスリックを選択し、右側グリッド(ポール側)はミディアム、左側はソフトを装着するなど、タイヤ戦略が分かれた。

レースの転機となったのは2周目、ピアストリがターン2で縁石に乗ってスピンし、アルピーヌのフランコ・コラピントとザウバーのニコ・ヒュルケンベルグも同様の場所でクラッシュした場面だった。バリア修復のため赤旗が出され、レースは再スタートとなった。

リスタートでノリスはソフトへ交換し、後方のメルセデス勢は逆にミディアムを選択。気温25度、風の強まる中でタイヤマネジメントを強いられたが、ノリスは終盤まで先頭を維持し、メルセデス勢の猛追を振り切って優勝。サウバーのガブリエル・ボルトレトが大クラッシュを喫し、イエローフラッグ下でチェッカーが振られた。これでノリスは今季2度目のスプリント勝利を挙げ、ピアストリに対してチャンピオンシップリードを9ポイントに広げた。

ブラジルグランプリ

マリオ・イゾラ(ピレリ・モータースポーツディレクター)の見解
「昨日の終盤で得られた良好な路面状態は、夜から朝にかけての雨で完全にリセットされた。したがって昨日と比べて路面の進化が見られず、ラップタイムも昨年の同等セッションより遅かった。強風によるマシンバランスへの影響も大きかった。

予選ではようやくミディアムとソフトの性能差を確認でき、シミュレーション通り約0.2〜0.3秒だった。C4コンパウンドのリヤ摩耗はトラクションに影響するレベルで、慎重なマネジメントが必要だ。

決勝に向けては1ストップと2ストップの差がほとんどなく、1ストップならソフト→ミディアムの組み合わせが最適だ。C2(ハード)は温度窓に入れるのが難しく、グリップ不足にも悩まされる。ソフトでスタートするなら24〜30周目あたりでミディアムに交換するのが良いだろう。

2ストップの場合は、C4でスタートしてC3に替え、最終スティントをソフトまたはミディアムで走るプランも有効だ。午前のスプリントでは赤旗中断によりミディアムへの切り替えが可能だったが、もしそれがなければ摩耗による苦戦も見られたはずだ。」

戦略分析:ミディアムとソフトの使い分けが勝敗を左右
予選・スプリントを通じてC4(ソフト)とC3(ミディアム)の性能差はごく小さく、どちらも有効な選択肢となっている。レース当日の気温次第では、ミディアムでの安定性を取るかソフトの初期グリップで先行するかが勝敗の分かれ目になるだろう。マクラーレン勢は予選から決勝への温度変化への対応が鍵となり、メルセデスの戦略的柔軟性も注目される。

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カテゴリー: F1 / F1ブラジルGP / ピレリ