F1マシン列伝:BMWザウバー F1.08 “自ら捨てたタイトルへの挑戦権”
BMWザウバーの2008年F1マシン『F1.08』は、現アルファロメオ・レーシングとして存続しているチームにとって最も成功を収めた一台だったが、当時のBMW上層部は自らタイトルへの挑戦権を捨ててしまった。

BMWは、2005年末にザウバーを買収してBMWザウバーとして参戦。新チームはスイスにあるザウバーのファクトリーと風洞施設を引き続き使用してシャシー開発をし、ミュンヘンのBMWファクトリーでエンジンの開発をするという体制を採った。

BMW F1.08は、前年戻るの正常進化版だが、スーパーコンピュータを備えた風洞施設を活用して様々な空力パーツが投入された。フロントノーズにはマクラーレンが考案した“ホーンウイング”が搭載され、3層構造のフロントウイングは、ノーズから吊り下げるステーが2段目のプレートに接続される特徴的な構造。サイドポンツーン周辺には多数のフィンやミニウイングが搭載された。

ペトロナス、インテル、セルティーナ、DELL、クレディスイスのロゴが掲載されたBMWザウバー F1.08のカラーリングは美しさも兼ね備えていた。

前年にフェラーリ、マクラーレンに次ぐポジションにつけていたBMWザウバーは、2018年シーズンの開幕から速さをみせた。第2戦マレーシアGPではニック・ハイドフェルドがBMWザウバーにとって初ファステストラップを記録し、第3戦バーレーンGPではロバート・クビサが初ポールポジションを獲得。そして、第7戦カナダGPではクビサ・ハイドフェルドの順でチームにとっての初優勝を1-2フィニッシュで飾った。この時点でクビサはポイントリーダーとなった。

しかし、BMW上層部はレギュレーションが大幅に変更される2009年を最大のチャンスとみなし、早々に開発の焦点を次シーズンにむけた。その結果、パフォーマンスは徐々に低下した。

最終的にロバート・クビサはチャンピオンを獲得したルイス・ハミルトンと23ポイント差のランキング4位、ニック・ハイドフェルドは6位という結果。クビサとハイドフェルドの2人あわせて11回もの表彰台を獲得し、前年よりも3ポイント多くのを獲得したものの、フェラーリから38ポイント差のコンストラクターズランキング3位でシーズンを終えた。

迎えた2009年、BMWザウバーはトップに近づくことすらできずにシーズン中盤にBMWはF1から撤退。2008年に大きなチャンスを失ったことが明らかとなった。

BMWザウバー F1.08 (2008年のF1世界選手権)BMWザウバー F1.08 (2008年のF1世界選手権)BMWザウバー F1.08 (2008年のF1世界選手権)BMWザウバー F1.08 (2008年のF1世界選手権)BMWザウバー F1.08 (2008年のF1世界選手権)BMWザウバー F1.08 (2008年のF1世界選手権)BMWザウバー F1.08 (2008年のF1世界選手権)

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カテゴリー: F1 / BMW / F1マシン / ザウバーF1チーム