アストンマーティン・ホンダF1 “3秒差”脱却へ前進もアロンソ「PUと空力が必要」

アストンマーティンはシーズン開幕前のテストで深刻な走行不足に苦しみ、ホンダ製パワーユニットの振動問題にも直面した。
しかし、マイアミGP以降は信頼性が改善され、チームはようやく“通常の開発サイクル”を回せる状態になりつつある。
走るたびに改善するAMR26
スペイン紙『AS』によると、アストンマーティンはシーズン序盤から徐々に予選ペースを改善している。
Q1基準では、オーストラリアGPでトップのメルセデス勢から3.10%遅れていたが、中国GPでは2.7%まで縮小。その後、日本GPでは再び3.0%まで悪化したものの、マイアミGPでは2.7%、カナダGPでは今季最少となる2.4%差まで改善した。
ただし、その背景には膨大な走行不足がある。
ホンダはプレシーズンテストをわずか2111kmで終えた一方、メルセデスは6193kmを走破。メルセデスPU勢全体では2万1515kmにも達していた。
開幕後もホンダ勢は振動問題に悩まされ、アストンマーティンはようやく他チームがバルセロナやバーレーンテストで経験していた開発工程を、実戦の中で消化している段階にあるという。
ホンダが取り組む“ドライバビリティ改善”
カナダGP週末では“ドライバビリティ”改善も大きなテーマとなった。
これは単なるセットアップ変更ではなく、ドライバーが扱いやすい特性を実現するためのエンジン側制御も含めた総合的な調整を指す。
ホンダのトラックサイド責任者を務める折原伸太郎は次のように説明した。
「エンジン側のデータ調整です。キャリブレーション、点火タイミング、ラムダ(空燃比制御)のセットアップ、噴射タイミングなど、ドライバビリティを制御するために多くのパラメータがあります」
さらに折原伸太郎は、現在も改善方向を模索していると明かした。
「ドライバーが求める特性と、我々のトルク供給との間にはまだギャップがあります。ただ、改善の方向性は見えてきています」
一方、アストンマーティンのマイク・クラックは、シャシー側で小さな前進があると認めた。
「データ上では小さな前進がある。ただ、ドライバーたちは大きな改善を求めている。彼らは可能な限り遅くブレーキングし、可能な限り素早くシフトチェンジしたいんだ」

アロンソ「3秒差は空力とPUでしか埋まらない」
フェルナンド・アロンソ自身も、走行を重ねるごとに改善があることを認めた。
「走るたびに進歩がある。マシン、エンジン、セットアップ、ギアボックス……毎回何か新しいものがあるし、それがラップタイムにつながっている」
「カナダでは、マシンを変えていないのにマイアミより速かった。いくつか細かい部分を煮詰めたからだ。小さな改善はこれからも積み重なっていくと思う」
その一方で、アロンソは現在のパフォーマンス不足が“小手先”では解決しないと強調した。
「ただ、3秒足りないという根本的な問題は、エンジン性能とシーズン後半に投入される空力パッケージによってしか解決できない」
ニューウェイ主導の“大型アップデート”へ
現在のAMR26は、空力面でも大きな弱点を抱えているとみられている。
アストンマーティンでは、エイドリアン・ニューウェイを中心とした技術陣が大規模アップデート計画を進行中で、チーム内部では“Bスペック”とも呼ばれる改良型マシン投入が夏休み明け頃に予定されているという。
ホンダ側も、FIAによるADUO(性能不足救済措置)の承認を前提とした内燃エンジン改良型を準備中で、折原伸太郎によると「夏休み頃」を目標にしている。
それまでは厳しい戦いが続く可能性が高い。それでも、アストンマーティンとホンダは、現在のパッケージから少しでもパフォーマンスを引き出そうとしている。
チームに残された選択肢は、“諦める”ことではない。
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